つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

役目を終えた津幡町の路。

2012年05月08日 22時11分26秒 | これは昭和と言えるだろう。
「今日の一枚」は、近所の住宅街のスナップ。
木造家屋とコンクリート塀から覗くツツジの組み合わせは、
僕が小学生当時に見ていた風景とピッタリ符合する。
しかし、違和感を覚える点が一つだけ…。
水路から水が消えている事だ。

昭和の頃、雨水や家庭からの排水は、野天の溝を流れていた。
そこは水草が茂り、藻類が栄え、なかなか豊かな植物相。
また、水辺に頼る生き物の棲家だった。
そして、僕達・ガキ共の遊び場でもあった。

…あれは、何時だっただろう?
四半世紀以上昔のある日、生家一帯で水路の掃除が行われた。
底に溜まった泥土を除去するため、一旦、流れが堰き止められた。
水面が下がるほど、水量が減ってゆくほど、生き物たちの姿は露わに。
手掴みで蛙や鮒、鯉、アメリカザリガニ、ゲンゴロウ、ヤゴ、アメンボ、
ミズムシ、ミズスマシ、タイコウチやミズカマキリなどが捕り放題。
お世辞にもキレイとは言い難い水環境なのだが、
僕らにとっては文字通りのパラダイス。
残酷な小学生にとって絶好の狩場となった。

津幡町の下水道は、平成2年(1990年)より供用開始。
町の上下水道課によれば、平成20年3月末現在で86.6%の普及率。
かなり整備が進み、かつての水路は枯れ、所によっては暗渠となっている。

衛生面で言えば、躍進。
しかし、水が消え、生き物の姿が消えた今の状況は、
幾つかの意味で、後退なのかもしれない。
コメント
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