林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

隠居大学

2011-09-14 | 林住期

天野祐吉さんが隠居をススメてるそうだ。
隠居大学を創り学長に就任。6人の講師を招き「ラジオ深夜便」で講演会を開催した。

それで、つん読していた天野祐吉編「隠居大学よく遊びよく遊べ」という本を思い出した。
折角買っておいたのだ。面白そうなので読んでみた。

内容は6人の「ご隠居」講師との対談集で、詳しくは朝日新聞の記事のとおりです。
(この記事、朝日新聞の本の宣伝だったんですね)

それはともかく。

いちばん面白かったのは横尾忠則さんだった。外山さんを除き他の四人のご隠居は天野さんに話を合わせているが、横尾さんは違う。
隠居をススメて歩くなんて隠居がやることじゃない、と天野さんを嗜めている。
今までこの人はあまり好きではなかったけれど、その徹底したヘソ曲がりが好きになった。

今まで知らない人だった俳人の坪内稔展さんも愉快なご隠居である。
なにしろ代表作が、

            ・・ 三月の甘納豆のうふふふふ ・・

だそうで、この甘納豆の句が評判になり、甘納豆十二連作を作った。その内の12月です。

            ・・ 十二月どうするどうする甘納豆 ・・

ご本人は気に入ってるが、全然話題にならなかった由。これ、森生は名句として推薦します。
稔展ご隠居に、俳人らしい気取りは全く無く、俳句上達法をザックリ教えてくれる。
知りたい人は「隠居大学」を買って読んで下さい。

外山滋比古ご隠居は難しいことばっかり言う。ニッポン人より欧米人のほうがエライ、と考えているようだ。
天野学長は茶化せばいいのに、ここでは講師に迎合して難しい言葉でマジメに応ずる。
嫌いだね。

「宇宙人だ」と天野さんが紹介する谷川俊太郎さん。なかなか捌けていて面白いご隠居だった。
そういえば大昔高原音楽堂で会ったとき、誰にでも如才ないので驚いたことを思い出した。
この本の中では自作の詩を朗読したりして、ステキなご隠居さんである。

辞世の詩「さようなら」は黒いユーモアが素晴らしい。
現在は過去の詩の売上収入があり、「妻からも開放されて」つまり離婚して、悠々自適の生活らしい。
だったら「林住記」の次の記事「さようなら」に印税無しで転記させて頂きますね。

赤瀬川原平さんは目の付け所が並みの人ではなく、ズーッと前から尊敬してます。
原平さんは2~30年前から、とっくに「ご隠居」の風格を漂わせている隠居の達人です。
「優柔不断術」という本は知らなかったので、取り寄せよう。「明解さんの謎」は抱腹絶倒ですよ。

安野光雅さんの水彩画と文章も若い頃から好きだった。
最近出版した口語約「即興詩人」は分厚い本で、とても付き合えないな、と思っていたが、立ち読みしてみよう。

それにしても、天野学長以下各講師たち、隠居隠居と自称しているが現在でもあちこちに出没し、ガバガバ稼ぎ、到底「ご隠居」には見えず、妬ましい限りだ。
本当の現役隠居ははばかりながら、この森生デアル、と思うんですがだあれも相手にしてくれないよ。

ふんっ。

                      なお、「天野さんが唱える達人の教え」は以下のとおりです。

                      @猫の自由に学ぼう

                      @いい加減にしなさい

                      @うふふ力を磨こう

                            詳しいことは9月4日朝日新聞朝刊の30頁を読んでね。


隠居大学講師連の写真は本の腰巻から。

 110914