[芸能山城組]は,やくざの[組]ではなく、堅気のパフォーマンス集団で、合唱もする。
合唱では、バリ島のケチャや、ブルガリアンポリフォニーで知られている。
指揮者は山城祥二氏。音響学専攻の学者のはず(詳しくは知りません)。
大昔、会社の運動会で、仮装してケチャを披露した部があって、以前から関心があった。
たまたま見つけて、「入門」、と書いてあるCDを買った。
吃驚仰天、驚天動地ものだった。
特に驚いたのは民謡「刈干切唄」だ。
ここの山の
刈り干しゃ 済んだよ
明日は たんぼで
稲 刈ろかよ
もはや日暮れじゃ
さこさこ 翳(かげ)るよ
駒よ 往(い)ぬるぞ
秣(まぐさ) 負えよ
秋も すんだよ
田の畦道をよ
あれも嫁じゃろ
灯が五つよ
野太い男性合唱を従えて、高音の地声と裏声が混じる日本民謡の発声で、女性が朗々と歌う。
宮崎県高千穂地方の高原の秋の空気が、ヒリヒリと感じられる。
小節を効かせた唄は、哀愁切々として、日本人の遺伝子に直接響いてくるのだ。
管弦楽に編曲した雅楽や邦楽は、時々聴く機会があり、それはそれで良かった。
だが、こういう合唱は初めての経験だった。
このCDには、わらべ歌、小唄、童謡など意表を衝く合唱ばかりか、恐山(おそれざん)や仏教の輪廻を主題にした構えの大きな曲もある。
「入門」と称しているから、ヨーロッパ民謡、アジア民謡(勿論ケチャも)、アフリカ民謡まで収録している。
いずれの合唱曲も、背中がゾクゾクしてくる。深夜、灯りを消して聴くのがいい。
不思議な迫力のある名曲揃いです。
参考記事。
CDタイトル=芸能山城組入門 ビクターエンタテインメント発売 VICL-23094