代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

日本は社会主義で駄目になったのか?

2005年02月16日 | 政治経済(日本)
 「戦後の日本は実は社会主義国だったのであり、だから駄目になったのだ」という命題が、市場原理主義者のあいだで今更ながらによく語られています。「日本の官僚たちは、旧ソ連のノーメンクラトゥーラたちのように特権階級を形成し、それが業界と癒着して不効率な産業部門を温存させ、国際競争力を低下させたのだ」と。彼らのいう「社会主義」とは、田中角栄型のケインズ主義のことを指すのでしょう。
 しかし、「社会主義」体制が必ず競争力を低下させるというのであれば、何故、彼らが「社会主義」と呼ぶところの戦後日本の規制だらけの官僚主導体制によって、世界でもっとも競争力のある製造業を建設し得たのかまったく説明できません。
 確かに、長年の「日本型社会主義」によって制度疲労が起こり、官僚が思考停止状態に陥ってきたという側面は大問題です。しかしながら、この10年のあいだの財政政策によって明らかになった命題は、「官僚腐敗による予算配分の硬直化が、財政政策の有効性を減じさせてきた」ということであり、それが一足飛びに緊縮財政と市場原理主義の礼賛論につながるとしたら、あまりにも大きな論理の飛躍であり、論理のごまかしです。何故、こんなウソに騙されなければいけないのでしょうか。
 「社会主義」で官僚が民意から乖離し特権化して駄目になったのだとしたら、それを「社会民主主義」に変えれば問題点は克服されるはずです。予算配分を官僚が独占して人々の社会的ニーズからかけ離れていることこそが問題の本質なのですから、財政規模はそのままにしても、納税者がそれを民主的にコントロールし、中・長期的な社会の持続可能な発展に資する分野に投入すればよいだけなのです。

  

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