代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

ウォール街が狙うもの、ゆうちょ、かんぽ、そしてJAバンク!

2014年12月31日 | 郵政民営化問題
 郵政が民営化された2005年以来、9年ぶりに「郵政民営化問題」のカテゴリーに記事を書く。ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式上場問題について一言。このブログを始めた当初の2005年、私は「ウォール街に郵貯とかんぽの資金を渡すな」と、小泉構造改革と郵政民営化に反対する論陣を張っていた。「郵貯の資金は日本国内でのエコロジカルなニューディール政策の実施のために使え」と。

 今回の両社の株式上場により、いよいよウォール街が大量の郵貯株を保有することになりそうだ。日本国債最大の保有者である両社が、安定して国債を消化することは難しくなってくる。財政破たんの危険性は一気に高まるだろう。
 『日刊ゲンダイ』に掲載された、以下の菊池英博先生の御意見に全面的に賛同する。


***『日刊ゲンダイ』より引用***
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/156022/1

「両社の株式が3割強ほど外資に握られたら、どうするつもりなのか。株主提案で『国債の運用比率を見直せ』と迫られたら、従わざるを得ません。両社が大量保有する国債の買い替えを渋るようになれば、日本の国債調達に一挙に穴があき、価格は暴落、長期金利が急騰する事態を招きかねません。両社の株が米国に渡れば、日本国債は常に暴落リスクにさらされることになるのです」(菊池英博氏)

***引用終わり***

 日本国債の最後の頼みの綱はもう一つある。もっぱら資金運用を国債で行っているJAバンクだ。

 安倍政権が掲げる「農協改革」。もちろん、TPP交渉に関連して行われている日米並行協議などで「JA解体」を要求する米国の圧力を受けてのことだろう。それが「農業問題」だと思ったら大間違いである。本質は金融問題である。
 米国(=つまりウォール街)の真の狙いはJAバンクとJA共済の資金だ。JAバンクまで外資に取られれば、いよいよ国債暴落は避けられない。

 米国による「JA解体」指令に関しては、内田聖子さん(PARC事務局長)のブログが詳細に論じている。ぜひ読んでいただきたい。

***内田聖子さんのブログより引用***

http://uchidashoko.blogspot.jp/2014/12/jajaja.html

★在日米国商工会議所による「JA解体」の意見書

 TPPの中で、米国の金融・保険サービスが日本の金融市場を狙っているということはすでに多くの人が指摘をしている。とりわけ「かんぽ」「JA共済」「JAバンク」がそのターゲットである。「かんぽ」や「JA共済」は世界でももっともお金が集まる保険事業であり、米国の保険会社が狙ってこないわけがない。
 在日米国商工会議所は、日本国内の様々な業種、業態に対して、「意見書」というレポートを出しその中で「提言」をしている。同所が6月に発表したレポートを見ていささか驚いた。タイトルは「JAグループは、日本の農業を強化し、かつ日本の経済成長に資する形で組織改革を行うべき」。私は当初、米国内の農産品輸出企業の意向を受けた同所が、JA改革を唱えることで結果的にこれまで以上の市場開放を迫る内容かと感じた。しかしレポートを執筆した担当者は同所内の「保険委員会」「銀行・金融・キャピタル・マーケット委員会」とある。なぜ米国の金融や保険関連の専門家が「JA改革」を唱えるのか? 答えは簡単である。米国の保険・金融業界にとってJA解体の意味はすなわち「JAバンク」と「JA共済」だからである。

***引用終わり***



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