代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

経済苦・ブラックバイト・管理強化に退学

2014年10月13日 | 教育
 文科省が発表した資料によれば、経済苦による大学中退者が急増している。「中退者数は7万9311人で、前回調査よりも約1万6千人増えた。中退理由で最も多かった「経済的理由」(20・4%)は、3番目だった前回調査から6・4ポイント増」とのこと。(「朝日新聞」9月25日付 下記リンク先参照)

http://www.asahi.com/articles/ASG9Q6R9MG9QUTIL042.html


出所)『朝日新聞』9月25日付記事、前掲サイト。

 大学でも中退者を減らすための取り組みが行われていて、教員は成績不振で進級・卒業できそうにない学生たち一人一人に面接をしている。ちょっと前まで大学教員にはそんな業務もなかったのだが、退学者を減らすようにという文科省の指令にもとづき、年々、教員の業務は増えるばかりだ・・・・。

 面接していると、成績不振の理由でいちばん多いのは、「バイトで授業に出てこれない」というものだ。これは、どう考えても、教員の努力でどうにか対処できる次元の問題ではない。 

 前期にほとんど単位を取れていない学生に面接していると、こんな例があった。
「コンビニのバイト先でバイトのスタッフの取りまとめ役をしているので、人手が足りないと責任をとって自分がシフトに入らないとならない。どこの大学も試験期間がかぶるので、その時期は人手が足りなくなる。リーダーの自分が代わりにシフトに入らざるえを得ず、自分の試験を受けられなくなってしまった」。
 これをブラックバイトと言わずしてなんと呼んだらよいのだろう? 

 ちなみに彼は家計が苦しくて、授業料も自分で稼いで出しているので、バイトを辞めたくても辞められない状況なのである。

 ただでさえこういう状況なのに、文部科学省は学生に自宅での予習・復習を義務づけようとしている。うちの大学でも、来年度のシラバスから予習・復習を必須項目として記述するようにとのお達しがあった。大学基準協会の評価基準、さらに中央教育審議会の答申に、私学も逆らえないのである。

 文科省は、一方で退学者を減らせと要求しながら、他方では単位を厳格化せよ、予習・復習を義務付けよと、退学者が増えざるを得ないような要求ばかりしてくる。夜勤バイトで睡眠時間3時間というような学生に、どうして予習・復習などする時間があるのだ。
 文科省は、これ以上、学生たちに過重な負担を背負わせようとすべきではない。これだけブラックな環境のバイトで働いてきたその経験自体、何単位分にも相当する貴重な社会勉強なのだから。

 
 

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