現在、WTOの農業自由化によって、途上国で広く展開されている畜力農業が「非効率」のレッテルを貼られて淘汰されています。途上国は穀物自給率を低下させるとともに、米国などからの穀物輸入量を増やしています。途上国の側は、小規模農家の穀物生産が淘汰され、代わって前の記事の写真にあるようにアブラヤシ、コーヒー、ゴム、綿花、バナナ、コショウなどなど、輸出向け商品作物のモノカルチャー経営がますます興隆しているのです。
これを熱力学的なメガネで見れば、エネルギー効率の非常に優れた畜力農業が、エネルギー効率が最悪の米国型機械農業に侵食され、地球生態系の破局と石油資源の枯渇を早めているだけということになるのです。
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現在世界を席捲しているWTOによる農産物貿易の自由化とは、世界的規模において、下の写真のような多様性のある景観を、上の写真のようなモノカルチャー景観に変えていくということを意味しているのです。実際、インドネシアでは現在も、下の写真のように住民が慣習的に利用していた多様性のある農地・林地が、企業に奪われ、上の写真のようなモノカルチャー景観へと強制転換されているのです。プランテーション開発をしようとする企業と住民のあいだの土地紛争は絶えることがありません。 . . . 本文を読む
前回の記事の続きです。前の記事のコメント欄で、山澤さんがG・エドワード・グリフィン著(吉田利子訳)『マネーを生み出す怪物 -連邦準備制度という壮大な詐欺システム-』(草思社)という本を紹介してくださいました。面白そうだと思って読んでおります。私の目から見て、著者の主張は「半分支持できて、半分支持できない」というものです。間違っていると思う主張も多いのですが、FRS(米国の連邦準備制度)やIMFは . . . 本文を読む
自由貿易批判の続きです。昨日と今日の新聞各紙で大きく報道されています通り、米国の貿易赤字は2005年の1月から11月までで6617億ドルに達し、ついに年間で7000億ドルの大台を突破したのは確実になったとのことです。一方、中国の05年の貿易黒字は、前年比3倍増という驚愕的な伸びを見せて1000億ドルの大台を突破し、日本を上回って世界最大の貿易黒字国となった公算が大きいそうです。こうした報道を表面 . . . 本文を読む
本年11月17日に「自由貿易の何がいけないのか?」という文章をエントリーしたところ、けっこう多くの反響がありました。その続きを書きます。先のエントリーでは、Chic Stoneさんとのあいだで「自由貿易への代替案は?」という議論になりました。私は、当面有効だと思うやり方として、「国際的最低賃金制度の導入」と「貿易黒字国、赤字国双方に対して課徴金制度を導入し、貿易不均衡を取り締まる」という提言を行 . . . 本文を読む
しばらく忙しくしているうちに時事問題を全く書いておりませんでした。共謀罪のこと、米国産牛肉再開のこと、政府系金融機関のことなどは、他のブログでもよく書かれていますので譲ります。この間の出来事の中で、私にとって一番心配だったのは、WTOのドーハ・ラウンドで「農産物の上限関税を100%に設定しよう」という動きでした。こんなことをやったら日本の稲作農業は壊滅的打撃を受けるでしょう(既に半壊しているのに . . . 本文を読む