一房ひとふさ、縦、百四十糎を生らす、不届きな太さなる一粒ずつだった。
月で遺伝子操作、難波の食料専門庫に、灰色の発泡スチロール箱と共に転送、中京の卸屋に到着。
多くは難波の品評会ひんぴょうかい、で吟味屋の目に晒され、いかがわしさを匂われるのみ、に終わっている。
一粒の直径は十一糎から、十六糎。
月の大型店、イオン系で一房七千円で売られていたが買う者は、料理店の飾りが狙いだった。
食しても害は無い。
年に三十度、ねおの廊下に出されていた。
皮が身と接着している強度が堅い。
気合でどうにか剥くべし。
廊下を往く異人種は気付く。
・・・な、何かおかしいぞこれ。
・・・自然生育種ではないな。
・・・何だこの旅館は。
知らん者同士が、七千円の前で混ざり合い、講評を交わし合う。
おかしいですねこれ。
ええ・・・遺伝子操作を過ぎるとして・・・栽培領域との距離があまりに遠方と思われます。
この果実の巨大さです。
どうやって、転送が実現されたの。
結論、この旅館や近隣での、芸能興行の風評が恒常的。
近くには手洗い用の、現代的風貌給水器、高さ一・三米が水色の巨大バケツ、ビニール袋の上で、水滴をしたたらせていた。
外星人は、月人、金星人が一粒ずつを、世から消している。
味は、マスカットの甘味、ほんの少し鈍い版で、これとの感想を毎瞬蹴り飛ばすは、マスカット果肉、異常肥大視野と、端の我が指。
幾らかじっても、まだ、ど大量が。
種無し。
近くには、座ると往来の衆目からは外れた方角に体が向かう、椅子が四つ置かれていた。