詠里庵ぶろぐ

詠里庵

今夜のNHKスペシャル

2018-12-22 23:41:20 | 日々のこと(一般)
平成史スクープドキュメント 第3回 “劇薬”が日本を変えた ~秘録 小選挙区制導入~」は、見るつもりで見ました。というのは、1996年(平成8年)から実施の小選挙区比例代表並立制が1994年(平成6年)成立したとき、世の中は世相もマスコミも一致して「政治改革に反対する者は抵抗勢力である。そして政治改革イコール小選挙区制である」とする風潮だったのです。声高な主張ばかり説明なく繰り返され、たまになされる説明もさっぱりわからなかったことに違和感を感じたのを記憶していたので、今さらながら経緯を知りたいと思ったのです。

番組は「秘録」という看板に偽りなく大変面白かったのですが、小選挙区比例代表制の善し悪しや、導入されたプロセスの善し悪しがスッキリわかったわけではありません。わかったのは、制度を変える・決めるというのはとても難しいことだなということです。顔や声になじみのある政治家たちがこの問題に対してどう考えどう振る舞ったか、初めて知ったことも多々ありました。番組の中身については、政党や派閥や個々の政治家の信念や利害が絡んで錯綜とした話なので、結論はおろかストーリーも竹を割ったようなものではありません。再放送があればぜひ見てください。

中身以外の感想を2つ、メモ代わりに書いておこうと思います。
ひとつは、ドキュメンタリーといいながらNHKに(民放でも)よく見られる「わかりやすい、感動的なストーリー」的演出を敢えて避けているのが良かったなと思いました。私はプロジェクトXがあまり好きでなかったのですが、それは取材を料理づけしてドラマに仕立て上げた臭いがプンプンしたためです。

もう一つは、制度や仕組みを決めるときに、その意図とは思いもよらない方向に他の政党・派閥・政治家たちや有権者たちが動く可能性を見極めることの難しさです。昨今の類似の例で言うと、来年10月からの消費税増税の景気対策として導入するポイント還元の悪用の懸念がありますね。なので政治家だけで「よかれ」と考えるのでなく、どうなるかをより広い知恵を借りて予測することはできないかということです。実際に悪用した人たちに知恵を借りるのはまずいのかもしれませんが、新聞にはときどきゲーム理論の専門家が面白い話を書いたりしています。ノーベル経済学賞ってどのくらい意味があるのかわかりませんが、アメリカでは政策決定時に諮問されることがあるらしいので、あながち無駄な話でもないのではないでしょうか。
コメント
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