詠里庵ぶろぐ

詠里庵

三人三様

2006-03-27 00:22:04 | 日々のこと(一般)
の話を少し。って誰のことかというと、先週ヨーロッパ出張で訪問した三箇所の研究者のことです。三人とも量子光学・量子情報の理論研究者です。

一人は私よりかなり若いアジア人でイギリスで助教授をしています。相変わらず精力的にやっていて、最近は量子情報の分野に移って来て、彼のグループも成長途上にあります。雑談もいろいろした中、彼の先輩にあたるイギリス人教授についての話が印象的でした。私も知っている人ですが、その人の研究分野は古くなってしまったので、新しい研究分野に移ろうと努力したらしいのですが、結局ものにならず、数年後の定年を待たずに後進に道を譲った、つまり早期退職してしまったというのです。それについてその助教授が言った言葉も印象的でした。「私にはできない。将来自分の研究分野が古くなって新しい分野への転身にも失敗するようなことがあったとしても、こう言うだろう。自分には教育ができる、と」

二人目はとっくに退職している70才を越える人ですが、まだ大学からの嘱託で週に一度通っています。いまこんな研究をしているんだと言って、書きかけの論文を見せてくれました。内容は流行を追ったものではなく手堅いもので、結論がすぐに見通せない点で、それでどうなるのだろうと興味をそそる研究でした。進展が楽しみです。

三人目は私より少し若い、今バリバリの人で、グループも拡大傾向。小ぶりの国の人なので要人扱いされていて、テレビに出たり、私が行った日もその国の首相に呼び出されて一時消えたりでした。さすがに自分で研究する機会は減っているようですが、元気満々です。

どの人も活動的で刺激を受けます。また毎度のことながら思うのは、グループメンバーや共同研究者が国際色豊かなことです。欧米だけでなくアジア人とも混成チームを作っています。パッとメンバー表を見たらそれぞれどこの国のグループか全くわからないほどです。異文化の融合は間違いなく活力を生んでいます。日本も徐々に「グループメンバーは日本人だけ」から脱しつつありますが、実際見てくるとまだまだです。
コメント
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