写真はマンションの内覧会で撮りました。写したところは、洗面所に入る引戸の鴨居(かもい:引戸の上部)部分です。ご覧頂きたいのは、矢印部分の金具です。これだけのものですが、大きな仕事をします。それは、引戸を閉めた際に、ブレーキをかけ、引戸が壁に当たる時の衝撃を和らげます。衝撃を和らげると、ぶつかり音も減りますし、引戸が勢い余って元に戻ることも少なくなります。
このタイプの金具は後から付けていますので、引戸のぶつかり音が気になる方は、付けると良いと思います。鴨居の溝の幅を測って、中に入るものを選び、付ける位置は壁の手前10㎝前後が良いでしょう。(92)
写真は戸建ての内覧会で撮りました。この建物は3階建てで、写したところは、1階の駐車場です。ご覧になって頂きたいのは、基礎の立ち上がりで、少し黒く湿っている部分です。ここは上から水が漏れてきた跡です。この駐車場の2階部分は台所となっています。内覧会なので、台所の水を出したら、排水管に穴が開いていて、そこから水が滝のように漏れ出したわけです。
幸いに、排水管の穴の位置が壁側だったこと、また、台所の下は駐車場だったので、水が漏れても被害は少なかったと言えましょう。なんで、排水管に穴が開いていたのか?理由は、駐車場の天井を取り付けるための下から打った釘が排水管に届いてしまい、穴を開けてしまったことでした。排水管ですから、住む前に気が付いて良かったことになります。
内覧会に行きましたら、売主に確認をして、水道も全て出してみることが大事です。水を出して、見られる範囲で、排水経路に沿って、漏水がないかを確認すべきです。キッチンや洗面台なら、下の扉を開けて見る、トイレなら便器周りを見る、お風呂なら床下点検口を開けて見る、このような点です。(3823)
例えば、写真のように収納の上部に棚があって、その棚板の下にハンガーパイプが取り付けられている場合を考えてみましょう。天井から棚板は直接見えますので、棚板は実線、その下にあるハンガーパイプは点線となります。但し、複数の棚板がある場合には、全部を描き表せないので、枚数が表示されます。また、天井から見たことにしますと、梁があって、壁の厚さが分からなくなりますので、壁は実線、梁や下り天井(さがりてんじょう)は点線で表されます。
マンションを購入する際に、最も気になるのは場所、価格、部屋の広さでしょう。部屋の広さは不動産用語では住居専有面積と呼ばれます。それでは、住居専有面積が80㎡と記載されている場合、どこをどのように測った広さを指しているのでしょうか?
一般的なマンションの部屋では、四隅に柱があって、その真ん中に戸の境となる壁があります。この壁を戸境壁(こざかいへき)と呼びます。この壁の中心線で囲まれた面積が部屋の広さとなります。壁の中心線ですから、壁の厚みも半分入っています。これを壁芯(かべしん)面積と呼びます。戸境壁の厚さが20㎝であれば、10㎝分は壁で使えない部分だけど、部屋の広さに入っているわけです。
建物というのは、下の階に行くほど上の階の重さが加わってきます。例えば、20階のマンションであれば、20階の上には何もないので、20階の柱や壁の骨組みは支えるものはありませんが、1階は19階分を支えなければなりません。そうなると、20階と1階との骨組みの大きさは変わってきます。柱の場合、大体、5階分で5㎝ほど縦横が太くなります。20階の柱の大きさが縦横60㎝とすると、1階では80㎝になるということです。戸境壁も20階の厚さが18㎝、1階は22㎝こんな感じになります。
こうなると、同じ間取りの縦系列の部屋であっても、20階と1階とでは、専有面積は同じですが、実際に使える面積(内法面積:うちのりめんせき)は異なります。20階の方が、僅かですが、1階よりも広くなるわけです。本来なら、内法面積で広さを表した方が現実的なのですが、こうなると計算が非常に困難で複雑になってしまいます。ですので、建築の図面では、壁芯間の長さや面積の表示が使われます。(72)
写真は、注文戸建の内覧会で撮りました。家がある程度出来上がって、買主の方は、これでは玄関ドアの開く向きが逆では?と疑問に思い始めました。確かに、写真のような状態では、玄関への階段が右側(矢印部分)ですから、外へ出る時にもドアが邪魔して通路が狭くなるし、引越しの際も不便です。写真のような反時計回りではなく、時計回りにすべきだったです。
これでは、という事で、売主に何でこういう設計にしたのか?と尋ねたところ、「時計回りだとお客さんが来た時に階段部分で待つことになる」と返事をしてきました。これを聞いて、呆れてしまいました。ここにお住まいになる買主の使い勝手が最優先で、いつ来るか分からないお客の都合なんか二の次と思います。こういう売主では困ります。売主は家の設計及び建設のプロですから、家としての常識は最低限確保しなければならないと思います。
結局、写真のケースでは、これから長く使う上で不便なので、ドアの開く向きを逆にする工事を行いました。この場合、結構なお金と時間がかかります。注文住宅の場合、設計の段階で特に注意が必要となります。売主は設計のプロですから、買主が満足するような家を建てなくてはなりません。家について、設計、構造、法律、設備、品質等について、買主はよく分からない場合が多いです。売主は誠実さと良識を持って対応せねばなりません。でも、後々、住んで困るのは買主ですので、部屋の位置と広さだけでなく、全体的な設計についても隅々までチェックすること、なるべく売主任せにしないことも大事となります。(103)
写真はゆるんで大きくなってしまったビス穴に竹串を入れて、ビスがしっかりと締まるようにする方法です。
玄関ドアや部屋内の木製ドアの上部に付いているクローザーにかかる力は強いので、使っているうちに、特に、枠側のビスがゆるんでしまうことが多いです。
ビスがゆるめば、ドアクローザーは開閉時にガタツキ始め、ひどくなると、ドアの下の端が床に接してしまうこともあります。そういう場合には、クローザーを外して、クローザーの留め具の上から、写真のように竹串を入れてビスを締めると、しっかりと固定することができます。(21)
写真は一戸建ての内覧会で撮りました。写したところは、外壁の外側にある竪樋(たてどい)です。この樋で屋根に降った雨を地中にある雨水桝に運びます。
矢印の部分をご覧頂くと、この竪樋の途中が接続されていないことが分かります。これでは、雨が降れば、ここから雨が飛び散ります。
一戸建ての内覧会に行きましたら、家の中だけでなく、外回りも確認して下さい。人が作るもの、こんなウッカリミスというのもあります。(884)
写真は戸建ての内覧会で撮りました。2階の天井に設置してある点検口のカバーを開けてみたところです。開けた理由は、天井裏の断熱材の敷き並べてある状態を確認したかったからです。カバーを開けてみたら、断熱材が写真のようになっていました。ここには厚さ100㎜のグラスウールの断熱材が敷かれていますが、これでは、断熱材を何のために置いたのか、全く意味を成しません。断熱材は、家の中を隙間なく、すっぽりと包み込むようにしておかないと断熱の機能を発揮しません。写真の状態では、あってもなくても、同じです。
一般に、内覧会の時点では、屋根裏の断熱材の状況まで確認することは少ないでしょう。だからこそ、売主側には、このようなところは念入りに施工してもらいたいものですが、残念ながら、現実はそうでもありません。戸建ての内覧会に行きましたら、是非、天井裏に付いている点検口のカバーも開けて、中も確認してみて下さい。確認するのが、難しいようでしたら、売主に対し、「もう一度屋根裏の断熱材の状態を見て下さい」と言えば良いです。こういうところは、お住まいになったら、まず、ご覧になるところではありませんので。(4823)
写真は、マンションの内覧会で撮りました。ご覧頂きたいのは、白い矢印部分で、ビス忘れと書いてあるところです。窓のサッシは、しっかりと窓の枠に取り付けられなければなりません。当然、ビス穴が開いているところは、全てビスで固定する必要があります。この部分は、ビスを打つのを忘れてしまったわけです。数が多いので、結構、ビス忘れはあります。
家の中には、相当数の窓や扉があり、これらはビスによって枠に取り付けられます。窓や扉は、何十年間という無数に近い開閉に耐えなければなりません。ですので、1本のビスでも大事となります。内覧会では、数が多くて大変ですが、建具や扉のビス穴が全てビスによって固定されているかも確認して下さい。確認する場合には、細かいし、暗くて見づらい箇所もあるので、懐中電灯を使うと確認作業がしやすくなります。(24)
写真は中古マンションの内覧会で撮りました。このお部屋の購入を考えた人は、現在の住まいから近かったこと、1階で小さな庭があったこと、値段も手ごろであったこと、このような条件が合致したためです。でも、専門家から見てどうだろう?ということで、私に検査を依頼してきました。
私が中古マンションを検査する場合は、特に、共用部の設備と構造的な状態を確認します。専有部の内装や設備はリフォームをすれば、ほとんどが更新できるでしょう。しかしながら、マンションの場合、共用部の構造的な欠陥は、補修するのが非常に困難です。
写真の部屋は、洋室ですが、天井の斜め方向にクロスが破れています。クロスが破れている原因は、クロスの内側の床スラブ(床を支えている鉄筋コンクリート)にひび割れが生じているからです。この天井はクロスの直貼りです。つまり、二重天井ではなく、鉄筋コンクリートの床スラブの底面に直接クロスを貼っています。床スラブはこの上の階に住む人、そして生活に必要な品々の重さを支える構造体です。そこにこのようなひび割れが入っていては、構造体としての性能は相当に落ちてしまいます。私は、こういう部屋は買ってはダメ、と言いました。(3625)
この写真の例では、車を止めますと、ガスメーターからは10㎝ぐらいしか空きがありません。大きな車に変えた場合は、車との空きが更に少なくなってしまいます。運転に気をつければ、ガスメーターにぶつけることはないでしょう。でも、ウッカリ、ということもありえます。ウッカリでも、相手はガスですから、ぶつけたら大惨事になります。
そこで、内覧会の時に、このガスメーターの位置では車をぶつける可能性があるので、家の正面側に移設して欲しい、という要望を出しました。移設工事は大変なので、最初は業者も渋っていましたが、どうにか説得して、最終的には、無償で移設することを了解してくれました。 移設することを無償で了解してくれましたが、このような設計上の問題は、計画の段階でチェックしておく方が手間がかかりません。ガスメーターは月に一度は検針に来ます。ですから、人が入れない位置に置くことは出来ません。検針も問題なく出来て、危険性もないところ、設計の段階で吟味して、適切な位置に置かれるべきです。(76)