写真は注文戸建住宅の内覧会で撮りました。ここで気になるのは、レンジフードの高さです。写真に記載したように、レンジフードの高さが、床から165㎝となっています。これでは、身長が165㎝以上ある人の場合には、頭がぶつかってしまいます。このレンジフードは空気を引き込む本体が大きいので、余計に邪魔になってしまいます。
売主に、「これでは、背の高い人には、頭がぶつかって、使い勝手が悪いでしょう」と言ったら、「この高さが当社の標準です」との返事でした。標準的なキッチンの高さは床から85㎝です。消防法では、ガスレンジからレンジフードまでの高さは80㎝以上と取り決めています。このキッチンでも、ガスレンジからレンジフードまでは80㎝で、その点はクリアしています。そうなると85+80で165㎝となるわけです。法律的には問題はないのですが、このような吸い込み口が大きなレンジフードでは問題が出てくるわけです。
特に身長が高い人が使う際に、ガスレンジを使うたびに、頭をかがめて使わねばならないのは我慢できるものではありません。売主に対しては、「これでは問題なので、レンジフードを10cm以上、上げるように」と指示しました。マイホームを購入する際には、レンジフードの高さまで気にしないと思いますが、確認しておくべき点です。(59)
人間、誰しも、いずれは老いていきます。老いていけば体力も反射能力も落ちて行きます。そうすると、転ばぬ先の杖、何かの対策が必要になってきます。厚労省の調査によりますと、「家庭内の不慮の事故」で死亡した65歳以上の11,429人のうち、家の中の平面上で転んだ人は1,278人、階段などで転んだ人が317人とのことです。家の中で転んで命を落としてしまう年配者が多くいることがわかります。
転びやすいところは、居間、廊下、階段、お風呂、玄関などです。トイレに向かって急いでいる時、夜中などの眠気がある時間帯、お酒を飲んだ時、体調がすぐれない時など転ぶ危険性が増します。
上のイラストは新聞の記事からで、転倒防止策を示したものです。すぐできる対策としては以下があります。
①部屋の中の整理整頓。
②スリッパを避ける。素足の方が感覚がつかめ、滑りにくい。
③階段のステップの先端に光るテープを貼る。
④段差には「すりつけ板」と呼ばれる三角形の板を添える。
⑤階段やお風呂など転倒の可能性が高いところは手すりを付ける。
以上は防止策なので、元気なうちに、事故が起きる前に、対策を実施することが大事と思います。
写真はマンションの内覧会で撮りました。写したところはバルコニーです。ご覧になって頂きたいのは、見難いのですが、ドレーンレールと書いたところとドレーンレールがない(付箋を貼ってます)と書いたところです。
ドレーンレールとは、エアコンの室外機から出る結露水を流すためのレールです。これがないと、エアコンの稼働時、相当量の結露水が出ますので、流れ出た水は、ダラダラと広がってしまいます。そうならないように、レールを設置して、レールに沿って流れていくようにするためのものです。
ここの壁には、2か所のエアコンのスリーブ(貫通孔)が見えます。つまり、こちら側はリビングのエアコンと室外機とを結ぶスリーブで、向こう側は、洋室のエアコンと室外機とを結ぶものです。従い、ここには2台の室外機が来ることを考えていますので、壁の2か所にスリーブがあるわけです。
室外機が2台付くことを考えていますので、当然、ドレーンレールも2か所に設置されねばなりません。手前の方は、実は、売主が付けるのを忘れてしまっていたのです。エアコンが設置される場所に、室外機とを結ぶスリーブがあるか、そして、結露水を流すためのドレーンレールも設置されているか、内覧会では、この点も確認して下さい。(43)
新聞記事に、「自宅トイレに8日間、救出」というのがありました。記事を読んでいて、こんなことがあるのか?と思いましたが、あるのですね。記事の内容は、「マンションで一人住まいの女性が、午前1時ごろ、トイレに入ったら、ドアがひとりでに閉まった。ドアが閉まったのは、トイレ前の廊下に立てかけてあった『こたつセット』の段ボール箱が倒れ、壁とドアの間にはさまってしまったのが原因。助けを求めたけれども届かず、入院中の母親が変だと思い、通報して、8日後に助け出された」というものでした。
8時間ではなく、8日間ですから、餓死してしまうかもしれません。でも、トイレの中ということで助かったのでしょう。一般的に、ドアの開く向き、というのは、部屋では内開きとします。その方が動線上便利で安全で、廊下も広々使える、ということです。ただ、トイレのドアだけは、原則、外開きに作ります。理由は、中で人が倒れてしまった場合に、助け出せなくなる可能性があるからです。でも、このケースでは、ドアの外開きが災いしたのです。一人住まいのマンションで、このような事故を防ぐためには、トイレのドアを開けっ放しで使う(一人住まいだから)、トイレの前に物は置かない、ということになります。それから、携帯を持って入るのも対策になるでしょう。でも、このドア、体当たりしても壊せなかったのかな?とも思いますが…
写真はマンション再内覧会で撮りました。写しているのは、ルーフバルコニーへ出るドアの部分です。ご覧頂きたいのは、矢印の金属で出来ているステップです。2週間ほど前に行った内覧会の時点では、このステップはありませんでした。
このドアの内側はキッチンとなっています。キッチンからルーフバルコニーへ出るには、高さ20㎝程の段差をまたがねばなりません。向こう側で20㎝、こちら側で20㎝ですから、この部分をまたぐのは大変です。ここからルーフバルコニーへ出る際は、一度、立ち上がりの部分に上がって、そして、また下りるということになります。これでは、ちょっと面倒です。
その面倒さを解消するために、内覧会の時に、こちら側にステップを設置するように要望しました。そして、2週間後の再確認会の時になって、ルーフバルコニーを見たら、このような立派な金属のデッキプレート製のステップが置いてありました。これなら、またぐ必要もないし、滑りにくいし、見栄えも良いです。ルーフバルコニー付きのお部屋の内覧会に行く場合には、部屋の中からルーフバルコニーへの出易さも確認下さい。(74)
写真は一戸建ての内覧会で撮ったものです。写した場所は洗面台の下の扉を開けて、中にある排水管の部分です。ご覧になって頂きたいのは、赤い矢印で示したところです。ここに水滴が付いています。水滴が付いているのは、排水管から水が漏っているからです。内覧会では、洗面台の水栓からも水をしばらく出して、漏水の有無を調べます。稀ですが、写真のように排水管などから漏水してしまうことはあります。この漏水の原因は、矢印上部の排水管のジョイント部分の締め付けが不十分だったからです。
マンションや一戸建ての内覧会に行きましたら、水道のあるところは全て水を出してみて下さい。水をしばらく出してみて、下の排水管や給水管の表面を懐中電灯のライトを当てて、良く見て、手で触れてみて下さい。漏水が起き易いのは、管のジョイント部分ですので、そこを中心に観察して下さい。(39)
写真はマンションの内覧会で撮りました。一見、何の変哲もありません。でも、状況をご説明しますと、変なことが分ります。ここはウォークインクローゼットの中です。右側のドアの向こうは主寝室、左の奥に写っている引戸を開けると廊下に出られます。ですので、このウォークインクローゼットは主寝室からも、廊下からも入ることができます。
この状況が分りましたら、再度、右側の主寝室へのドアの取っ手の上の鍵(矢印部分)を見て下さい。鍵のレバーがクローゼット側に来ています。これでは、鍵をかけたら、主寝室からクローゼットに入ることが出来なくなってしまいます。こうなると、この鍵は一体何のため?と考えてしまいます。本来、この鍵は主寝室側に付けられるべきものでした。つまり、鍵をセットする向きが、表・裏、反対になってしまっているわけです。マンションでは、一般的に、主寝室だけドアに内側からカギが付きます。
とても珍しいことですが、このような間違いもあるのですね。売主側も、内覧会まで何度もチェックして、気が付かなかったとは・・・。これでは、トイレの鍵が、トイレの内側からではなく、外側から鍵が掛かるようになっているようなものです。こういうのを見てしまうと、内覧会では、鍵がちゃんと掛かるかだけでなく、鍵の向きも確認が必要となります。一般のマンションの洋室では、内側から鍵が掛けられるように作ってあるのは、主寝室だけです。(72)