写真はマンションの内覧会で撮りました。ご覧になって頂きたいのは、ベランダの手すり壁に取り付けられた3本の物干し金物です。一般的には、物干し金物は2本です。手前側の2本の物干し金物は普通の長さで、奥の1本は少し短めとなっています。
多くのマンションの内覧会に立ち会ってきましたが、ベランダに3本の物干し金物があるのは初めて見ました。でも、これなら便利です。特に小さなお子さんがいる場合には、洗濯物を干すところが多いのは助かります。使わない場合には、折っておけばそれ程邪魔にはなりません。細かいことですがグッドアイデアと思いました。ベランダは共用部になりますので、勝手に物干し金物を付けることは出来ません。マンション全体で、最初からこうなっていれば、問題はありません。(5713)
写真はマンション内覧会で撮ったものです。写したところは、廊下からリビングに入るドアの上の枠の部分です。この枠を上枠(うわわく)、左右両側の縦方向にあるのを縦枠(たてわく)と呼びます。この上枠の部分にひび割れが生じています。この枠は、木製の集成材の上にシートを貼ったものです。このシートをダイノックシートと言いますが、これは硬質塩ビ製の粘着剤付きの印刷化粧フィルムです。
内覧会に行きましたら、部屋の中には、このような枠で取り付けられているものが、ドア、窓、クローゼット、吊り戸等、相当数ありますので、全てよく見て下さい。このようなひび割れは、多くはないですが、ある場合もあります。不具合として指摘すれば、きれいに補修してくれます。補修の方法は傷の程度にもよりますが、ひどい場合には、シートを貼り換えます。(467)
写真は、マンションの内覧会でバスルームの窓を撮ったものです。窓の向こう側には景色が見えます。この部屋は4階の角部屋で、ビューバス仕様となっており、お風呂に入りながら、外の景色も楽しめます…というものでした。バスルームは部屋の北側にあります。このマンションの北側は空き地になっています。この部屋を契約した人は、将来、この空き地に何が建つのだろう?と不安ではありました。
そして、不安は的中し、隣の北側の敷地には、4階建ての家具屋さんが建築されること、5階は駐車場になることを、内覧会の時に知ることになります。いずれ、何かが建つかもしれないと思っていましたが、そうなるとビューバスどころではなくなってきてしまいます。
マンションをお買いになる場合、周りに空き地があれば、当然、将来何が建つか気になるところです。特に、外の景色を楽しむようなビューバス仕様となっている場合などには、注意が必要となってきます。契約時にそのような心配があったり、また、内覧会に行ってみて、どうも不安、という場合には、売主に対し、窓にブラインドなどの目隠しを設置してもらうように交渉すべきと思います。住む人達のプライバシーや生活を守ること、更に、快適に暮せることを最優先に考える事が、売主の使命と思いますので。(74)
一戸建の家を作る中で、最も難しいのは階段と思います。玄関やリビングなどは平面的な見方でも感じが掴めますが、階段だけは、3次元の空間を意識しなければならないからです。階段の出来具合で大工さんの技術が分かる、とも言えます。
階段は、転倒、落下など危険が高い場所でもあるので、建築基準法でもいろいろと条件を定めています。例えば、手摺の設置、階段の幅は75㎝以上、踏み板の奥行き(踏面:ふみづら)は15㎝以上、踏み板の段差(蹴上げ:けあげ)は23㎝以下などとしています。
写真は、戸建の内覧会で階段部分を撮ったものです。写真を見て頂くと、階段の真ん中あたりの踏み板に赤い付箋が貼られています。この付箋は私が貼ったものですが、貼った理由は、踏み板に鳴りがあるからです。床鳴りと同じように、階段の踏み板にも、同じような現象が出ることがあります。階段を設置することは技術を要しますので、不具合が出やすい箇所と言えます。チェックの方法は、踏み板を上から足の裏でトントン軽くたたくようにすると分かります。(97)
写真は、戸建の内覧会の時のもので、玄関へのアプローチの階段です。写真で「ここを斜めにした」と書き込んであるところをご覧下さい。元々、ここの階段は四角で駐車場側に角ばっていました。買主の奥様が、図面を見て、「これでは駐車する時、階段に車をぶつけそう、角を取ろう」と言い、角を斜に削ったわけです。この方が、車を止める時に安心です。
玄関への階段は家の顔の一部分にもなるので、ゆったり感も欲しいです。敷地の状態にもよりますが、急な階段は危険です。特に玄関の前が道路になっている場合などは注意が必要となります。玄関へのアプローチ階段の勾配の目安は、踏面(ふみづら:ステップの奥行き)は30cmは欲しいところです。通常、タイルは30cm角ですので1枚分となります。また、蹴上げ(けあげ:ステップの高さ)は15~18cmが良いでしょう。蹴上げの高さ×2+踏面=63cmが目安となります。
設計段階で、家の中の部屋の位置や大きさだけでなく、家の外についても充分検討して下さい。敷地の狭いところでは、特に、玄関周りと駐車場の位置関係は大事となります。図面を見ただけでは、なかなか、このような位置関係を把握するのは難しいです。でも、玄関ドアの開く向き、庇の出具合、階段の幅、踏面と蹴上げの寸法、駐車場との関係、このような点も確認して下さい。
写真はマンションの内覧会で撮ったものです。手前はリビング、向こう側の部屋は洋室となっています。リビングと洋室の間に、オプッションでガラスの3枚吊り戸を設置しました。ここに吊り戸がありますと、エアコンの効率も良くなります。
吊り戸は天井に取り付けたレールから吊られます。床にレールが不要となりますので、床がスッキリして、ここが良い点です。ただ、吊り戸の弱点は、下部が不安定なので、地震時に揺れることです。従いまして、部屋の中に吊り戸が設置される場合には、床との止め方に注意が必要となります。写真のような、ガラス入りの大きな吊り戸ですと、重くなりますし、揺れて外れたら大変なことになります。
標準でも、オプションでも、吊り戸が設置される場合には、地震時の安全性の確認も忘れないようにして下さい。地震はいつ来るか分からないので、開けている時も、閉めている時も、床にフックなどを取り付けて、揺れ過ぎてレールから外れないようにしておくことが重要となります。(911)
写真はマンションのバルコニーの手すり壁です。この手すり壁は、アルミ製で、縦の格子状になっています。手すり壁にも、アルミ格子、コンクリート、ガラス、いろんな仕様があります。お子さんがいる家庭では、落下事故など、特に手すりの仕様については気になることでしょう。
手すり壁につきましては、建築基準法で高さなどが細かく定められています。まず、手すりの高さは、床から手すりの一番上の天端(笠木と言います)まで1.1m以上です。また、写真のように、アルミの格子になっている場合には、アルミの格子の間隔は11㎝以内、下の横桟と床との開きは9㎝以内です。つまり、縦の格子の間に直径11㎝の球(子供の頭の大きさを想定)が通過してはダメですし、下弦材と床との間に直径9㎝の球が通過してはダメです。また、手すりを支えている、支柱(根元がコンクリートに埋め込んである柱)の間隔は、1.8m以内となります。ルーフバルコニーの手すりも考え方は同じです。ルーフバルコニーの場合は、一部足がかりが高くなっている場合もあります。その場合でも、その位置から1.1m以上手すりの高さは必要となります。
内覧会では、上記の数値を頭に入れて、バルコニーの手すりをチェックして下さい。また、子供が足を掛けられるような横桟が、真ん中に入っているような場合には、注意が必要となります。もし、足を掛けられる横桟が床から65㎝以下の位置にあれば、その横桟から手すりの天端までは、85㎝は要ります。尚、一戸建てでも、考え方は同様です。内覧会等で、手すりの高さ、格子の間隔、横桟など、全体的に見て、ここは危険だな!と思ったら、売主に指摘するべきです。(723)
写真は、オール電化マンションの内覧会で、貯湯タンクを撮りました。オール電化マンションでは、夜間の安価な電気を使って、夜の間にお湯を作って、このタンクに貯めておきます。朝になって、お湯を使い始めますので、家族4人であれば、1日の使用量、容量約400㍑、湯の温度は80度、朝までにこうなっているわけです。
ここでご覧頂きたいのは、この貯湯タンクがリビングに面し部屋の中にあることです。熱いお湯を入れておくタンクですから、周りは断熱材で巻かれていますが、熱は外に発してしまうでしょう。冬は暖かくて良いでしょうが、夏の暑い時には、エアコンの効き目がどうなんだろう?とも思います。また、先日のような大きな地震が来た時など、転倒することは無いでしょうが、安定性に不安を感じます。
設計者も部屋の外のバルコニーや玄関の外側に設置したかったけど、止むを得なかった、と考えていることでしょう。オール電化のマンションには、必ず、この貯湯タンクが、どこかに設置されます。このタンクがどこにあるのかも、マンションの購入時にチェックしてみて下さい。私としては、部屋の外に置かれている方が良いと思っています。(92)
コーキングは建物の外壁だけでなく、部屋の中でも、特に水を使うところに使われています。例えば、キッチン、洗面台などの周りです。コーキングを施工する時は、チューブから押し出し、詰めた後は、ヘラを使って表面を均します。硬化するまで時間がかかるものなので、その間に手で押したりしますと、その部分は写真のように凹んでしまいます。そのまま硬化すると形は元に戻りません。また、コーキングの施工の技術にも差があって、表面が滑らかに仕上げられている場合、そうでない場合があります。
内覧会では、玄関、キッチン、洗面台等の周りのコーキングは、特に目に付きやすいところですので、表面の状態を確認して下さい。基本的には、見栄えよりもしっかりと詰められていることが大事です。でも、写真のように目に付く場所で、表面の仕上がりで凸凹等が気になる場合には、再度、コーキングを打ち直すように売主に指示すれば良いです。(84)