左の表は、平成23年3月に国土交通省が公表した、分譲マンションの修繕積立金の目安です。これは、部屋の専有面積80㎡として、84のマンションの実例を基に算出しています。この表を見ると、例えば、10階建てで、戸数120であれば、マンションの維持管理のために必要な月当たりの修繕費は14,240円になるわけです。1㎡に当たりにすると、14,240円/80㎡で178円となります。一方、マンションの売り出し時において、不動産が会社が提示する月当たりの修繕費は、同程度の部屋で7,600円、1㎡当たりにすると95円程度となっています。維持管理していくのに必要な修繕費は178円、ところが販売時に売主である不動産が提示する金額は95円ですから、約半分の金額となっていることになります。
このように、建物の維持管理に必要な積立額になっていない理由は、売主が購入者に対し、販売時に負担を感じさせないためです。そうなりますと、将来の改修時には、積立金が不足してしまうということになります。国土交通省としては、修繕金の実態を不動産会社に周知し、購入者に説明するようにするとのことですが、それで意味をなすのか疑問です。
マンションの管理費や修繕積立金は、売出し時には既に金額は出ています。これらのお金は、本来、住民が管理するものですが、売出し時は、管理組合が機能しないので、売主がとりあえず金額を決めているに過ぎません。売主が、一方的に決めている金額ですので、当然、売主の思惑が入っています。管理費は、自分達のグループ会社になるから高めに、修繕積立金は、売れやすくするために低めに、こういうことは当然考えるでしょう。ここで、大事なことは、住民が、管理費も修繕積立金も、業務の内容を精査し、それに見合ったお金を払う意識を持つことだと思います。
家の環境はピンからキリです。誰でも静かな環境を望みますが、都会ではなかなかそうもいきません。車の音、電車の音、私達の生活はいろいろな音に囲まれています。それでは、騒音というのは、どれぐらいまで許されるのでしょうか?騒音規制法では、夜中(午後10時~午前6時)の騒音が40~45db以内になる様に規制しています。40~45db以内であれば安眠できるという判断です。
外からの音が最も侵入し易いのは窓です。窓の設置は明り取り及び換気のために建築基準法で床面積に対し必要面積が定められています。ですので窓がない部屋はありませんが、外からの騒音に対しては弱点となってしまいます。そんな経緯から、窓のサッシには遮音性能を持たせるようにしています。周りの騒音が高い所では遮音性能の高いサッシを使うわけです。
窓のサッシの遮音等級には、T-1からT-4まで4等級あります。T-1等級というのは、25等級とも呼ばれ、25db分、外からの音を遮断します、ということです。等級が上がる毎に5db分遮音性能が高まり、T-4等級になりますと、40db分遮音し、2重サッシになります。つまり、外の騒音が80dbあっても、T-4等級のサッシを設置すれば、80-40で、家の中の騒音は40dbになるというわけです。家を設計する際には周りの環境騒音を測定し、サッシを選択することになります。
写真はマンションの内覧会で撮りましたが、窓は二重サッシとなっています。二重サッシの場合には、外窓を閉めれば25db分、内窓も閉めれば15db分、両方合わせて40db遮音します。内窓の枠は樹脂で作られていますので、断熱性も高く、結露もしにくくなります。ただ、開閉が少し面倒になり、部屋も僅かですが狭くなります。自分の部屋の窓の遮音等級が知りたい場合には、売主に尋ねてみて下さい。(8.7)
写真は、マンションの内覧会の後の確認会で撮りました。写した場所は、洋室のクローゼットの扉の下部です。ここの部屋の買主は、洋室にカーペットを敷こうと思っていました。そこで、気になっていたのが、部屋の扉やクローゼットの扉のフローリングとの隙間です。
部屋の扉は、換気のために、扉とフローリングとの間には、アンダーカットと言いまして、10~15mmほどの隙間が設けられます。部屋の扉を閉めても、空気が流れるようにしてあるわけです。でも、クローゼットの扉にはそういう処置はする必要がないので、アンダーカットはありません。アンダーカットがないので、扉とフローリングとの隙間がほとんどない場合があります。隙間がなくなると、クローゼットの扉の開きの部分には、カーペットを敷きこめないことになってしまいます。これでは、段差が出来てしまいますし、見た目も悪いです。
内覧会の時点で、そのような指摘をしたところ、それでは、扉の寸法を短くしてあげましょう、と売主が言ってくれました。そして、写真のようになったわけです。写真では、フローリングとの隙間が約15mmです。こうなったら、カーペットも、部屋の隅から隅まで敷き込むことが出来ます。今回のケースではこうなりましたが、一般的には有料になると思います。ですので、出来れば購入時にこのような点も確認しておいた方が良いでしょう。(12.3)
左のグラフは、柱状図と言いまして、地盤のボーリング結果です。左側の地盤は、茨城県潮来市で、液状化した地盤です。右側は、茨城県神栖市で、液状化が起きなかった地盤です。左と右で、大きく異なるのは、地表面近くの表層部の土質です。左側は、地表面から4mの深さまで、中砂(中砂とは中粒の砂です)で、その下は、シルト質粘土、地下水位は1mの位置です。右側は、地表面から6mの深さまでシルト質粘土で、その下は固い細砂層、地下水位は0.5mです。
今回の地震で、液状化現象が発生したのは、左側の地盤の表層部にある深さ4mの中砂層でした。液状化現象は、地表面に近い地盤が砂層で、地下水位が高いと発生しやすいと言われています。理由は、砂の粒が地震力で揺らされ、間隙が縮小、間隙間の水圧が上昇、そして、つながっていた砂の粒子が外れ、液状化してしまうことです。
通常、戸建を建設する場合には、地盤調査としてスウェーデン式サウンディング(SWS)試験を行います。SWS試験結果からは、地盤の強さはある程度分かりますが、それぞれの地層からのサンプルが採取できないので、地層の確認は出来ません。本来ならボーリング調査をした方が良いのですが、お金がかかってしまいます。
それでは、SWS試験だけで、どのように自分の家を守ったら良いのでしょう?地盤が液状化の可能性が高いのか、これを知るには、地盤調査会社によく聞いてみる事、役所に行って、ハザードマップで確認すること、そして、周りの家の状態を良く見ること、これらの方法で情報を集めることです。