写真は都内のタワーマンションの内覧会で撮りました。ご覧頂きたいのは、水栓の蛇口から出ている水の角度です。このマンションは1年程前から売り出され、既に住んでいる人もいますが、住民からのクレームの一つにシャワーにすると水が撥ね過ぎるというものがあります。
これは、食器洗いをしていると、シンクの底で撥ねた水が、自分の方に飛び散ってくるというものです。水栓は外国製でシャレたデザインなのですが、水の出口である蛇口の向きが、もう少し下向きであれば良かったと思います。これを直すには、蛇口の手前に向きを変えるものなどを入れるしかないでしょう。
マンションのモデルルームに行きましたら、キッチンの水栓の水も出してみましょう。シャワーにしても撥ね過ぎないか、シンク内だけでスムーズに流れていくか、確認した方が良いと思います。(09)
写真はマンションの内覧会で撮ったものです。写したものは、キッチンシンクの上にある照明です。ここで、ご覧頂きたいのは、矢印で指している照明のスイッチです。この照明は、このスイッチで点けたり消したりします。一方、ここにスイッチが無くて、長さ20㎝程の短いヒモを引っ張って、照明を点けたり消したりするものもあります。
照明を点けたり消したり出来るなら、スイッチでもヒモでも良いのですが、ここにヒモは見栄えが悪いと感じます。オープンで対面キッチンとなりますと、キッチンとダイニングの間にヒモが来ることになります。ヒモがあるとうっとうしいし、汚れてきたりもします。
新築のマンションでも戸建でも、多くはないですが、ここにヒモが付いている場合があります。特に対面キッチンとなりますと、このヒモがリビングから見えて、その部分だけ昭和の雰囲気、という感じになってしまいます。細かいことですが、モデルルーム等に行きましたら、このようなところも覗いてみて下さい。(81)
写真は、マンションの24時間換気の部屋側の給気口です。吸気口ではなく、給気口と書きます。ここは、外壁に貫通した穴が開いていて、そこから外の空気が部屋の中に入ってきます。建材のホルムアルデヒド等に起因するシックハウスが社会問題となり、対策として、居室に新鮮な空気を取り込むための給気口の設置が、2003年に建築基準法に盛り込まれました。ですので、24時間換気は、それ以前のマンションや戸建てにはありません。また、居室とは人が定常的にいる部屋で、例えばリビングや寝室です。トイレや廊下は居室ではありません。
従い、住宅の居室には、必ず、このような給気口が壁のどこかに設けられています。この給気口にはレジスターと呼ばれる風量調節器が取り付けられます。ここから外気を取り込みますので、レジスターにはフィルターも内蔵されています。このフィルターも汚れてきますので、カバーを外し、水洗いが出来るようになっています。写真のカバーは45度回転して、外すタイプとなっています。
この部屋の内覧会は2週間ほど前にありました。その時点では、このカバーを45度回転させると、角の部分がぶつかってしまって45度回転させることは出来ませんでした。取り付けただけで、外すチェックをしてなかったのです。内覧会ではその点の指摘をして、2週間後の確認会では、ちゃんと外せるように直っていました。内覧会に行きましたら、このような給気口が各部屋にありますので、カバーがちゃんと外せるかも確認して下さい。(76)
一戸建てを注文した人なら、「もう一度家を建てられるなら」と思う人が多いでしょう。家を建てるということは、建ててみないと分からないことが多いですから。何度も図面を見て考えても、図面は縦と横の2次元の世界、家は高さがある3次元ですから、この辺りが難しい点と思います。
写真は、注文戸建の内覧会の時のものです。ここの奥様は、この吊り戸棚の右側の扉の開く向きが逆の方が使いやすかった、それから、戸棚と天井の間との隙間の掃除をどうしよう?と言いました。確かに、右端の扉の開く方向は逆の方が使い勝手は良いですね。また、戸棚の上部と天井との隙間は3㎝程で、掃除が大変です。
このようになってしまった原因は、吊り戸棚の位置がなかなか決まらず、最終的にこの位置になった、そして、その時には既に、業者は、吊り戸棚を発注してしまっていたのです。また、隙間については、天井と壁の間に、廻り縁(まわりぶち)を設置してから、吊り戸棚を据えてますので、こうなってしまいました。
注文住宅の場合、設計段階が極めて大事です。図面は2次元ですから、どうしても、部屋の広さや配置に目が行きがちになりますが、このような高さ方向にも注意が必要となります。特に、途中で、平面計画を変更した場合など、その変更がどこまで影響するのか、よくよく、気を回さないといけなくなります。(11.8)
写真は戸建ての内覧会で撮りました。ご覧になって頂きたいのは、赤い矢印で示した部分です。ここは外からの電力の引込線となっています。気になったのは、この引込線の一部が隣の敷地に僅か越境していることです。上空であっても、電柱から引き込む配線は隣地に出ることはできません。
土地を所有することは地上権及び地下権も持ちます。地上権と言っても、飛行機や高圧線などは除外となりますから、常識的には高圧線の高さぐらいと考えれば良いでしょう。また地下権につきましては地下鉄を通すなとも言えませんので、そのあたりまでとなるでしょう。戸建ての内覧会では、上の方なので分かりにくいですが、このような部分も確認して下さい。同じようなものとして植栽の枝などがあります。尚、越境してるどうかの基準点は土地の境界線となります。(1528)
写真は、新築マンションへ入居後数ヶ月したら、畳が縮んできてしまったものです。原因は、夏の気温や湿度が高い時に畳の施工が行われ、冬になって、気温も湿度も下がり、畳床(畳の芯)に含まれていた水分が乾燥し収縮したものです。写真の場合には、入居後でも、畳は交換となりました。
新築のマンションや戸建で使われる畳は、ほとんどが美草やスタイロと呼ばれる化学畳となっています。畳には、昔からの本畳(自然畳)と化学畳があります。本畳とは畳床(畳の芯)も畳表もい草で作ったものです。また、化学畳とは、畳床は発砲スチロールとファイバーボードを張り合わせたもので、畳表はい草もしくは樹脂、最近は和紙を使ったものもあります。厚さは15~60㎜まであります。化学畳の畳床にもいくつかの種類があって、この畳は乾燥収縮しやすいものだったわけです。
化学畳の特徴は、工業製品なので、品質が安定している、耐久性がある、断熱性に優れる、軽い、水を吸収しない、ダニが発生しにくいことです。でも、目に汚れが溜まったり、食品や醤油・ビールなどこぼした時は、カビが発生したり、変色する事があるので、ふきとっておいた方が良いでしょう。写真の畳も化学畳です。
内覧会で異常がなくても、お住まいになってから写真のように縮まってくるなどの不具合が出てくれば、なるべく早く売主に言うべきです。内覧会の時には、畳床の水分の状態まで確認できませんが、畳をチェックする場合には、
➀畳表の色が一様に青くてきれいか、浮きやシワがないか、表面のささくれがないか。
➁敷いてある畳は一様に平らか、敷居との取り合いに段差はないか。
➂全ての畳の上を歩いてみて、沈むなどヘンな感じはないか等です。(6.4)
マンションは管理を買え、とも言われます。新築されたマンションでも管理が悪ければ、価値が下がっていってしまう、ということでしょう。新しく建設されたマンションが住民に引き渡されますと、住民が管理組合となって、共用部の管理を行っていきます。管理組合と言っても、最初は、住み始めるのもバラバラだし、住民も建物を理解しているわけではありません。これでは、引き渡しが済んでも、管理組合は、建物の管理は出来ないので、通常、管理委託内容や管理会社は、売主が決めています。通常、最初の管理契約は、期間1年間、業務は、①事務管理業務(管理費や修繕費の保管と運用) ②管理員業務 ③清掃業務 ④設備管理業務です。これらの業務に対し、売主は管理費を算定し、マンションの契約時に管理費を買主に示します。
初の管理会社も管理費も、売主が一方的に決めたものとなっていますが、これは、新築マンションの現状を考えると仕方がないでしょう。通常、最初の管理契約は1年間ですので、それ以降は管理組合が主体性を持って、管理契約を締結していくことになります。最初の管理費、管理委託契約、管理会社、これらは全て売主が決めているので、1年間の状況を見て、最初の管理委託契約の更改時には、必要なところは修整して行く必要があります。場合によっては、管理会社を変える、ということもあるでしょう。
住民として、マンション管理に携わるのは面倒なものです。でも、管理費として月々払っているお金の使われ方を確認するのも大事なことです。それには、先ず、現在の管理契約の内容を知ることが基本になります。そして、契約に従って業務が為されているか、この業務は必要なのか、契約形態はこれで良いのか、これらを考えることによって、充実した管理契約になり、また、無駄な管理費も削減されていくと思います。(7113)
写真は、マンションの内覧会撮りました。写したところは、アルコーブ(玄関ドア前のスペース)の壁の下部分です。緑の付箋が貼ってあるところを見て頂くと、壁のタイルが一枚欠けているのが分かります。工事中に何かをぶつけてしまって、タイルが欠けてしまったのでしょう。
この部分は外の壁ですから、マンションの共用部(住民みんなの財産)にあたります。共用部ですが、内覧会では、このような不具合も当然指摘の対象となります。外壁のタイルは、建物の美観を保つだけでなく、中のコンクリートを守る、大事な仕上げ材です。タイルは玄関のアルコーブだけでなく、バルコニーの外壁にも良く使われますので、全てチェックです。
タイルの割れ、欠けなどは張り替えとなります。タイルの不具合として、割れ、欠け、浮き、不陸(平らでないこと)、目地のモルタル充填不足などがあります。タイルの浮きや不陸を見極めるのは簡単ではありませんが、タイルの割れ、欠け、は分かりやすいです。内覧会では、外回りであっても、外壁タイルの状態も良く見て下さい。(712)
写真はマンションの内覧会で撮りました。写したものは、ベランダにあるシンクです。水の配管は、床下を通って、壁の中で立ち上がって、外壁に穴を空けて、蛇口につながっていきます。ここで、指の先の水道管が外壁から出ている箇所をご覧下さい。タイルと水道管の周りに隙間が出来てしまっています。
本来なら、ここはコーキングを打って、隙間を埋める処置をしなければならないのですが、忘れてしまったのです。こうして隙間があれば、外壁ですから、雨が降れば、壁の中に入ってしまいますし、虫なども入ってくるでしょう。また、蛇口もグラグラしてしまいます。このように、外壁に何かが取り付くところ、このした箇所はちゃんとコーキングで塞がれているか、内覧会では注意してチェックして下さい。
蛇足ですが、ベランダにある流し(シンク)のことをSKと呼びます。SKとはスロップシンクの略で、バルコニーなどに設けられた底の深い流しのことです。スロップとは泥水のことです。(86)
内覧会では、その時点で電球が付いているのは、バスルーム、洗面所、キッチンなどです。照明が点灯するかどうかの確認も必要ですが、このように照明のカバーにキズが入っていることもありますので、照明器具の確認も必要となります。
このようなキズはお住まいになってから指摘しても、誰の責任なのか分かりにくくなります。ですので、売主の責任下である内覧会で指摘すべきです。照明のカバーは、このようなキズだけでなく、内部に虫などが入ってしまっていることもあります。その場合は、クリーニングしてもらえば良いです。
部屋内の照明の確認が終わりましたら、玄関外の廊下の天井に付いている照明、戸建の場合には門灯なども見て下さい。この照明のカバーが汚れていることもあります。
写真はマンションの内覧会で撮りました。ここで、指の先で示しているのは、洗面所の三面鏡の上下に付いているアルミ製の下枠の部分です。三面鏡の上下には、鏡を押さえるため、幅1㎝程のシルバーアルミの枠が取り付けてあります。写真では分かりにくいのですが、下枠の部分が少し黒ずんだキズ(矢印部分)になっています。
マンションでは、洗面所の幅いっぱいに大きな三面鏡が設置される場合が多いです。内覧会では大きな鏡の表面のキズの有無もチェックしなければなりませんが、意外とキズがあるのが、このシルバーアルミの枠です。キズをチェックする際には、鏡の表面だけでなく、是非、鏡の周りのシルバーアルミの枠も見て下さい。この枠に目立つキズがあれば指摘をして新品のものに交換してもらって下さい。
三面鏡の表面は鏡とこのシルバーアルミの枠で出来上がっていますので、全体に透明感があり金属的な感じとなります。このような透明感のあるところでは、たとえ鏡の枠とは言え、キズは気になります。この枠にキズがあっても、鏡の映り方には支障はありません。でも、この場所は清潔感を持ってお化粧するところ、隅から隅まで、1点のキズもなく、光輝いて欲しいと思います。(712)