この映画のタイトルだが、『バードマン あるいは』ではなく、正確には『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』なのだが、これではあまりに説明的だし、変な効果を狙いすぎていて、好きじゃない。
イニャリトウが放つこの強烈なドラマは、こんなお話なのに、アメリカの今を鮮烈に射抜いた。マイケル・キートンは、自画像のような主人公を自虐的にではなく、とても切実に、でも余裕を持って(見事「余裕なく」見 . . . 本文を読む
ある殺人事件に犯人を追う刑事。そこだけを取ると、よくあるパターンのお話なのだが、それが吉田修一の手にかかるとこうなる。彼のヒット作『悪人』につながる犯罪小説だ。(『悪人』に続いて本作も李相日監督の手で映画化されているようだ。公開は来年。)
表面的には何でもない作品に見える。それが異常な緊張感を持つものとなる。しかも、事件の謎を追う、とか、連続殺人とか、そんなふうにはならない。じゃあどうなるのか、 . . . 本文を読む
こういう小説を読むと、なんだかほのぼのとしていい気分になる。正直言ってこれはたいした小説ではない。でも、そんなことどうでもいい。読んでいて、ほんわかとした気分になり、読み終えて幸せになれる。それこそが、一番大事な点ではないか。みんなそれぞれ悩んで生きている。いいことばかりじゃない。それどころか、毎日憂鬱なことばかりだ。人生ままならない。
でも、生きていたなら、きっつといつか、いいこともある。ヒ . . . 本文を読む