習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『海にかかる霧』

2015-04-29 17:57:15 | 映画
ボン・ジュノによるプロデュース作品で(脚本も手掛ける)、彼の傑作である『殺人の記憶』において脚本を書いたシム・ソンボの監督デビュー作品だ。期待は高まる。「『殺人の記憶』のスタッフが手掛ける」という常套句である宣伝文句に乗せられ、いやがうえにもどんどん期待値は上がる。それだけのがっかり度も高い。これではダメだ。 いったいどんな話なのか、予備知識もなく見たのだが、お話のターニングポイントとなる船長( . . . 本文を読む
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浪花グランドロマン『親愛なる凹と凸へ』

2015-04-29 16:53:54 | 演劇
NGR史上初の試みである。演出がなんと浦部喜行さんの手を離れたのだ。劇団創設25年目にして、これは彼以外が演出を手掛ける初のNGR作品となる。劇団の若手、細川愛美(25歳、ということはこの劇団の誕生した時に生まれている)が作、演出を手掛ける。今までのNGR作品とはまるで肌合いの異なる作品が生まれた。だが、それにも関わらず、これは確かに浪花グランドロマンではないか。そう思えるのが凄い。 今では老 . . . 本文を読む
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『ぼくを探しに』

2015-04-29 16:39:35 | 映画
江國 香織の『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』を読み終えて直後、この映画を観たのは、たまたまだ。でも、その運命の不思議に心打たれる。5歳の子供の内面世界を描いたあの小説を読み、改めて子供時代って何だったのだろうか、と思っていた。そこにこの映画である。 なんと今度は、2歳の赤ちゃんが主人公だ。彼の途切れた記憶の秘密に迫る。33歳になった彼は、2歳の時から言葉を失った。それだけではなく、成長も止めた . . . 本文を読む
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ババロワーズ『ショートショート・カタログ vol.1 ホワイトの巻』

2015-04-29 15:49:12 | 演劇
2年半振りのババロワーズとなる。なんと、そんなにも長く公演がなかったのだ。でも、今年は、今回のこの作品を皮切りにして、なんと9カ月連続で公演がある! 50本のショートショートとなるらしい。 これは彼らが初心に戻る企画であろう。たかせかずひこさんはババロワーズを始めた時、こういうコント集からスタートした。それは、3話、4話からなるオムニバス形式だった。それが長編へと変化した。もともと彼はババロワ . . . 本文を読む
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江國 香織『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』

2015-04-29 15:47:46 | その他
今年一番の凄い小説だ。たくさんある彼女の優れた作品の中でもかなりの上位に位置する傑作ではないか。たった5歳の子供の心に迫る。 彼の中では世界はまだ確立されてない。未分化の世界は神の領域と近い。彼は小さな虫たちと話ができる。でも周囲の人たちとはうまくしゃべれない。というか、彼はまだふつうには、しゃべらない。言葉が足りないのではない。しゃべるという行為を理解しないのだ。家族の彼に向けて発した言葉に . . . 本文を読む
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