3話からなるオムニバスなのだが、「三つの別々のお話」なのに、それぞれが微妙にシンクロしてくる。最後まで見たとき、まるで一本の作品を見終えたような感動がある。個々のお話は完結していない。にも、かかわらず、3本見た時、世界は完結していく。中村さんの上手いところは、そこにある。この淡さは、観客を不安にさせるほどだ。短編のお話として独立しないからだ。しかし、誰もがわかっているはずだ。僕たちは物語のような . . . 本文を読む
前作『神と神』から2年。ようやく、というか、やはり、というか、ちゃっかり続編が登場した。それにしても今までもう、どれだけ悟空の冒険と付き合ってきたことだろうか。天下一武道会の頃から、幾星霜。でも、飽きない。新作が出る度に、見てしまう。だって、世の中にはもっと強いやつがいるからだ。改めてそんなことを思わせてくれる作品である。
今回はフリーザとの再戦である。悟空は、地球のために戦うのではない。彼は . . . 本文を読む
これは1986年についてのお話だ。だが、あの時代を描くのではない。今から、あの時代を振り返るのだが、これはある時代のノスタルジアではない。ソラシドというユニットの音楽をめぐる冒険である。今では活動をしていない幻の2人組。彼女たちはレコードすら残していないから、今では彼女たちの音を聞くことは不可能だ。しかも、彼女たちの活動はメジャーではなかったから、今となってはその存在を知っている人もいない。(ほ . . . 本文を読む
これも再演である。最近再演を見ることがやけに多くないか、と自問する。というか、多い。別に好き好んで、ではない。僕が見ているそれぞれのカンパニーが、そうするからだ。新作が書けないから、なんていうのではない。(はずだ)それどころか、再演を通して進化している。そうじゃなければ、再演をする意味はない。笠井友仁さんの『桜姫』は、再演ではなく、新作と謳う。前回は鶴屋南北の『桜姫東文章』であり、今回は、その世 . . . 本文を読む
こんなにも手強い映画を見るのは久しぶりだ。こんなものをDVDなんかで見るべきではない。劇場で襟を正して対決しなくては、とても太刀打ちできない。これをつまらない、と斬り棄てるほど、バカではない。しかし、感動した、と言えるほど、ノーテンキでもない。ただ、わからない、と頭を抱えるしかないではないか。凡人には理解不能の世界、と突き放すほど、単純ではない。この衝撃を無視できるわけではない。難解な芸術映画と . . . 本文を読む