「ゆうれいを踏んだりしたらあかんやろ、」と突っ込み入れるところから始めたい。おろおろする片桐慎和子さんの泳いだ目が始まりだ。そこから話は始まる。頭の上に桜の木を付けた彼女が登場して、お話はさらに始まる。何かが始まった、そのきっかけは明らかだ。だが、果たしてそこが原因だろうか。だいたい幽霊(あえてここからは漢字に)なんか踏まない。というか、幽霊なんかいない。だが、彼女には見えてしまう。踏んだ報いか . . . 本文を読む
昨年の大ヒット作『アナと雪の女王』、続いて『マレフィセント』、更にはこの正月の『ベイマックス』と、ディズニー映画の快進撃は止まらない。この後には『シンデレラ』も控える。そんな中、この春公開されたこの作品は、「いかにもディズニー」と言えるらしい華やかな映画だ、と思ったのだが、さにあらず。見てみてこれには驚いた。こんなとんでもない映画だったのか!
意外だった。これは健全ディズニーの毒にも薬にもな . . . 本文を読む
まるでいしいしんじのような小説を小川糸が書いている。それってなんだか不思議だ。彼女が新境地を開拓した、というふうには思えない。でも、それが嫌だ、とかいうわけではない。これはとても心やさしい世界で、少年が少しずつ成長していく過程を静かに描いていく詩的な作品だ。大きな事件もなく、(スーパーサーカスのせいで、興行が成り立たなくなるとか、はあるけど)そこには、まだ少年がここにはいなかった頃と同じような時間 . . . 本文を読む