習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『チェイサー』

2009-12-31 21:54:04 | 映画
 韓国で500万人を動員したメガヒット作。単純なアクション映画ではない。それどころかこの不快感。韓国人はこういう映画が大好きだ。タイプとしては同じく大ヒットした『殺人の追憶』のような映画で、これらの映画を見ていると、韓国の警察のバカさかげんに驚く。あんな杜撰な捜査を本当にしているのか。実話をベースにした映画らしいから、警察の描写もあながち嘘ではなかろう。『母なる証明』の時も思ったが、悪いのは犯人ではなく、警察ではないか、と思うぐらいに杜撰な捜査しかしない。えげつなさすぎる。

 特に今回の映画は凄まじい。21人もの殺人を犯すのに逮捕できない警察っていったいなんなんだ? やる気ないとしか思えない。犯人を拘留しているのに、まるで何もできないというのも、あんまりだ。

 主人公の中年オヤジがひとりで必死になる。犯人を捕まえ、事件を追う。スーパーマンではなく、個人的な怒りに突き動かされ、全力を尽くす。ただ、あまりに警察がアホなので、映画にリアリティーを感じられなかった。デルヘル嬢の斡旋をしている刑事崩れの中年男が、自分の所の女が行方不明になり、女たちを捜すため犯人を突き止めようとするところから始まり、彼の犯行を知り、追いつめていく。

 ノミとカナヅチで頭を叩く。平気で女たちを殴り殺す。凄まじい暴力だ。犯人はただ殺すことを楽しんでいる。いや、楽しんでいるというよりも、平然と仕事をこなしていくように、殺す。

 追うものと、追われるものの息もつかさない緊迫した映画を期待すると、少しがっかりさせられる。結構簡単に犯人は捕まるからだ。だが、そこからまだまだ続く。彼が殺した女たちの死体を探す部分が長い。映画としてのバランスはかなり崩れている。先にも書いたがそのすべては警察の杜撰さに尽きる。それが最後の惨劇につながる。そのあまりのことに言葉を失う。

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