今期アニメも残り1話という作品が多くなっています。そこで、恒例の極私的ベストの発表
第1位 『無能なナナ』
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『無能なナナ』より
実は1話30秒で切った作品でした。「なーんだ『僕のヒーローアカデミア』の劣化コピーじゃん」って思わせる内容だったから。
ところがネットで評判なので一昨日から見始めました・・・。これ、面白過ぎです。『コードギアス』系の面白さ。それが分かり易く、テンポ良く展開する。
1話最期に「ええええーーーー」って仰天する内容ですが、視聴者がそこまで1話を観てくれるかどうかが勝負の作品。
『涼宮ハルヒ』シリーズの最新刊は「推理小説とは何か」という谷川流の解説本となっていますが(面白いけれど、作品としてはどうよ・・・)、ハルヒ最新刊よりも100万倍は面白い。
内容は一切掛けません。だって知ってしまったら面白くないから。コミックガンガンに原作が連載されている様ですが、日本の漫画文化って本当に奥が深い。
今回はこの作品を上位にする人は少ないと思うので、あえて1位としました。
第2位 『100万の命の上に俺は立っている』
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『100万の命の上に俺は立っている』より
「別冊少年マガジン」に原作が連載されている様ですが・・・・これ、スゴイな・・・。
百花繚乱と言うか、愚作のゴミ箱状態の「異世界転生モノ」ですが、とうとう異常進化の作品が出て来ました。
「異世界転生モノ」のファンは「RPGゲームの中に入って仲間と旅をしたり、敵をぼっこぼこに倒したい」と潜在的な願望を抱えています。要はツマラナイ日常を逃避してゲームの世界に行きたいと願っている。
ところがこの作品は、強制的に異世界に召喚させられ、ムリゲーをプレイさせられた上に負けたら実際の命が失われるという「異世界のデストピア」みたいな設定。生き残る為なら、非情に仲間を見捨てる事が必要。誰かが生き残ってミッションをクリアすれば、全員生き返るから。
これだけなら、ちょっとヒネクレタ作品という評価しかしませんが、実は召喚された異世界とは・・・というオマケ付き。ヒントは『僕らの』。
この作品も一般の評価が不当に低いと思いますので、私としては上位にランクインさせました。
第3位 『体操ザムライ』
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『体操ザムライ』より
シリーズ構成は『ゾンビランドサガ』の村越 繁、制作も同じくMAPPA。
昭和のホームドラマの様式で、充分に魅力的な作品が作れると証明した作品。ポイントは「しっかりとした構成」と「ディテールの積み上げ」。
引退に追い込まれた体操選手が復活するまでの物語ですが、それぞれの人物の骨格がしっかりしています。そして、その人物達が自然に物語に絡む事で、全体の大きなストーリーが動いて行く。まさに脚本のお手本と言うべき作品。
現在の漫画もアニメもドラマも「驚き」と「裏切り」で視聴者の興味を惹く事に腐心しています。一位に挙げた『無能なナナ』や、2位の『100万の命の上に俺は立っている』は、その様な作品です。
刺激的なコンテンツがインフレを起こした現代において、物語の作者達は、より刺激的である事を求めて日夜知恵を絞ります。一方で『鬼滅の刃』が国民的な人気を集めた様に、視聴者が支持するの「物語の作法に忠実な作品」です。
世界の多くの神話が似たような「ストーリー」を持つ様に、「根本的に人が感動する物語=神話の原点」は意外にもシンプルです。「努力の結果、仲間と敵を倒す」・・・ジャンプ作品の王道的ストーリーはテッパンなのです。
但し、それは「大きな物語」を持つ作品のケースで、「日常系=小さな物語の集積」的な作品は「小さな共感の集積」によって人々の心を掴みます。「あ、これ、あるよね・・」的な共感。「こういうのホッコリするよね」という共感を丁寧に積み上げる事が大事。
『ゾンビランドサガ』は「売れないローカルアイドルのロードムービー」という小さな共感の集積で、「ゾンビがアイドルユニットを組む」というムチャクチャな設定をしっかり支えていた。『ラブライブ』もこれに類する作品です。
『体操ザムライ』も「体操選手の家に突然外人のニンジャが居候する」というハチャメチャさが物語を駆動する装置として利用されていますが、その違和感を小さな共感が徐々に取り払って行く。ニンジャは物語に不可欠な存在になって行きます。そしてニンジャは物語の核心と繋がっている。構成の上手さに舌を巻きます。
第4位 『トニカクカワイイ』
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『トニカクカワイイ』より
命を救ってくれた美少女に恋をした少年が、美少女と再会して結婚生活を送るという・・・『おくさまは18才』かよーーー! ってツッコミたくなる作品。(若い人は知らないだろうなーー。『なんたって18才』って続編もあったような・・・石立鉄男って存在自体がマンガ的でしたよね。)
これも「小さな共感」を積み上げる作品。要は「日常系」と言われるジャンルですが、若い夫婦がイチャイチャするだけで、どうして心がこんなにホッコリするのだろう?
イチャイチャと言っても手を繋いだり、キスをするだけでエッチはお預けですが、視聴者もエッチは望みません。キスだけでキャーってなってしまうから不思議。今時の「草食系男子の鏡」の様な主人公に、女性も男性も共感してしまう・・・まさに時代を反映した作品とも言えます。
第5位 『神様になった日』
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『神様になった日』より
「泣きゲー」のカリスマ麻枝唯とPA・WORKSがタックを組むシリーズの第三作。
ゲームブランド「Key」の企画、シナリオライター、作詞、作曲とマルチな才能を発揮して数々の「泣きゲー」の傑作を世に送り出した麻枝唯。
私、ゲーマーでは無いので麻枝唯という名前を先日知ったのですが、アニメファンとして『Angel Beats!』と『Charlotte』の評価を相当に高い。
これらの作品、実は何が良いのか説明出来ないのです。ただ、最後にワーーーと感動が押し寄せて来る。涙腺が暴力的に緩んでしまう・・・。
『体操ザムライ』で構成の確かさという事を書きましたが、麻枝唯作品の構成はかなり強引です。コアなファンの方は「絵は不要」と評する程、ゲームでは会話の強度が高い様ですが、アニメではセリフは普通の感じます。むしろ展開の強引さが目立つ。コメディータッチで物語はスタートして8話辺りでどんでん返しと、舞台の裏が明かされ、そこからは怒涛の展開。そして、才顔は涙でモニターが滲む。
分岐構造を持つゲームと、一本のストーリーしか持たないアニメでは、物語の演出方法がともかく違うので、麻枝唯のアニメがゲーム的であるかと言えば、至って普通のアニメです。ただ、人と人との関係性の構築がエグイ。家族や疑似家族の絆は、かなり強引に結ばれます。そして、「死」或いは「記憶の喪失」がそれを分かつ事で、最大のエモーションを引き出す。
麻枝唯の思うように視聴者は泣かされる訳ですが、それをエグイと思いながらも、心の奥が揺さぶられてしまう・・・。
ゲームはアニメなどに比べてもリアリティーに低いジャンルです。そんな表現分野で如何にプレーヤーを感動させるか、日々切磋琢磨した人が作り出した「感動の方程式」は実は「神話の原点」に近いのかも知れません。
第6位 『安達としまむら』
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『安達としまむら』より
実は6話から先は観ていません。『ケムリクサ』などもそうですがストーリーの希薄な作品はアニメとしては見続けるのが辛くなる。
では何故、5位なのか・・・。やはり、「言葉にならない何かを描く」事に最大限の努力を惜しんでいない作品だから。『神様になった日』の様な強引さも無く、『体操ザムライ』の様な安定感も無く、ただフワフワしたものをフワフワと描く。これは実に難しい。
『安達としまむら』は、女子高生の体温や臭いや息遣いをアニメでどう表現するかと言う点においうて、既存のどの作品よりも突出しています。もうそれだけ・・・されど、それだけ!!
年末のアニメ閑散期にじっくり観ようと、大事に取ってある作品。
第7位 『いわかける!』
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『いわかける!』より
『弱虫ペダル』の女子スポーツクライミング版。それだけと言えばそれだけですが、男子サイクリストのモッコリジャージよりも、女子高生クライマーの方がセクシー。
インドア系女子が、ゲーム的センスでスポーツクライミングの才能を開花させると言う点が、インドア系オタクにも受け入れやすい。
以外と堅実な作りで、良作です。
第8位 『君と僕の最後の戦場あるいは世界が始まる聖戦』
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『君と僕の最後の戦場あるいは世界が始まる聖戦』より
評価ポイントは「異世界もので無い」。以上!!
実は結構好きな作品です。オーソドックスなラブロマンスですが、こういう作品があっても良い。「ロミオとジュリエット」的な「敵同士の許されざる愛」の物語ですが、悲壮感は一切ありません。だって、「会ってはいけない二人」は、毎回会っていますから。美術館に行ったり、劇場に行ったり、パスタを一緒に食べたり・・・時々一緒に戦闘したり・・・。
ところで、パスタを良く茹でる事を「ベンコッティ」って呼ぶの知ってました。硬茹の「アルデンテ」の逆。ベンコッティを知っただけ、このアニメのポイントがウナギの滝昇り!デス!!
第9位 『魔法科高校の劣等生 来訪者編』
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『魔法科高校の劣等生 来訪者編』より
お兄様無双が過ぎて評価が低かった作品ですが・・・女性陣がどんどん可愛くなって行くので評価が上りつつあります。鈍感お兄様が紳士な所も好印象。
お兄様の鈍感って・・多分、精神改造の副作用なんですよね。そんなお兄様も最近では結構空気が読める様になって来ました。10氏族の背景も少しずつ明かされて来て、世界観がしっかりして来たので作品としても面白くなって来ました。
魔法が成立する背景をしっかり説明?しているので、「単に魔法が存在する世界」の異世界モノよりも私的には評価が高い。SFに分類されるべき作品だと思います。
オープニング賞 『体操ザムライ』『トニカクカワイイ』『神様になった日』
オレンジレンジの懐かしい曲に乗って妙なダンスが繰り広げられますが・・・これ中毒性がスゴイ。『BREECH』の第一期のオープニングのテーストですね。
これは曲の勝利。「Future Bass」と呼ばれるジャンルだそうです。細分化されたリズムの上の、ゲームな様なシンセサイザーが被せてあります。ドラムン・ベースの進化系とも言えますが、作曲者のYunomiという方は、若い人のファンも多いらしい。日本では「Kawaii Future Bass」と呼ばれる事もあるジャンルだそうです。
麻枝唯と「やなぎなぎ」のコラボはテッパンです。我が家ではヘビーローテーションしています。やなぎなぎは初代スーパセルのゲストボーカリストですが、柔らかく透明感のある声が魅力。とにかく、歌詞がスーーと心に入って来る。ドラウタで強引に歌詞を押し付ける歌手の多い現代で稀有な存在。彼女のアニメソングの数々は名作しか無い。
一見、シンプルな曲ですが、コーラスとの立体的構造が革新的だと感じています。コール&レスポンスは同じ時間、同じ空間で成り立ちますが、これは多層的にコーラスとボーカルパートが呼応している。チェホフの劇空間の様に、位相の違う世界と呼応するというか・・・。
エンディング賞 『呪術廻戦』
これはスゴイ。OPは凝っている割に面白く無いのにエンディングは神ですね。エ、作品はランクインしないのかって・・・。なんか、新しく無いんだよね・・。驚きが少ない。
個人的には作品の内容より、この動画の評価が高い。
以上、今回も、独断と偏見と勢いでベスト10を選んでみました。年末の休みに「イッキ観」されては。旅行にも行けない正月休みになりそうですから。