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円高がジワジワと邦銀の首を絞める・・・100円割れのリスク

2020-12-02 04:45:00 | 時事/金融危機
 

■ どうして円高になるのか ■

1ドル103円台を付けた円高・・・と言うかドル安。

私達にとっては輸入物価が安くなるので生活は楽になりますが、輸出産業にとっては利益が減少します。極端な円高は日本経済にとってはマイナス要因として働く。




ドル円のチャートを見るとドル安傾向が始まったのは2014年頃で、6年間継続してドル安が続いている事が分かります。ただ、比較的に安定して推移してたので、「円高(ドル安)」という印象は受けにくかった。

通過定量説が正しいならば、中長期の為替相場にはマネタリーベースが影響ましす。そこで日米のマネタリーベースを比較してみましょう。



FRBはリーマンショックごからマネタリーベースを急拡大しまいたが2014年頃からマネタリーベースを縮小し始めました。これはテーパリングの影響です。一方、日銀は2017年頃までは一貫してマネタリーベースを拡大し続けています。

単純に考えれば、2014年以降はドル高要因となるのですが、実際にはそうなっていません。要因は市場に実際に流通する通貨量にあると思われます。日銀は異次元緩和で円を増やしましたが、邦銀の多くはその資金を日銀当座預金にブタ積しています。マイナス金利は一部にしか適応されておらず、ブタ積み資金が日本国債の購入を支えていました。

この間、日本の景気低迷は続き(安倍政権の元景気拡大は消費の面では嘘)、実質金利は高い状態が続きます。これによって日米金利差も実質的にはそれ程拡大しておらず、円キャリートレードによる円安圧力もそれほど高くは無かった。

その他にも様々な要因によって、緩やかな円安が2014年から6年間続いて来ました。

■ ドル安を決定付けた新型コロナ ■

新型コロナ騒動で、各国中央銀行はマネタリーベースを拡大しますが、FRBは一気に200兆円を市場に放出します。これが現在のドル安の最大の要因です。

さらに緩和マネーの急増を受け、一時は下落した資産市場が、その後一気に上昇に転じた事もドル安要因となっています。リスクオンムードの高まりで、ドル資産から、より金利の得られる別の通貨の資産への資金移動が起きています。

コロナ前より続いていたドル安傾向に、コロナは拍車を掛けた。

■ 100ドル割れの可能性 ■

直近で103円を付けたドル円ですが、当面のボーダーは100円でしょう。

これを反転させる要因は、ワクチン接種でもコロナ禍が終息しなかった場合で、本来ならばリスクオフで短期的にドル回帰が加速します。ただ、緩和マネージャンキーの市場は、コロナ禍の長期化を好感する可能性も高い。緩和マネーの供給が長期化する事は市場の維持に不可欠だからです。

現在の市場は予測の斜め上を行くので、何が起こるか分かりませんが、何が起きても「プラス材料」と解釈する傾向が強い。(バブルの特徴)
■ 民主党政権下ではドル安が進行する ■

リーマンショックご、オバマ政権下ではドル安傾向が続きました。経験的に民主党政権はドル安を容認する傾向が高い様です。

バイデンも「強いアメリカ」に固執しませんから、ドル安は容認されるでしょう。財務長官にイエレン元FRB議長を据え、金融+財政で資金供給を続ける構えを見せています。


■ 100円を割り込む時はバブルが弾ける時 ■


では100円割れは起こるのか・・・・。これは現状では難しい。何かの弾みが無いとこの壁はなかなか越えられない。

但し、リーマンショックの後に急激なドル安が進行した様に、今回もバブルが弾けた時に一気にドル安が進行し、1ドル70円台まで下落する可能性は高い。

邦銀が為替リスクをどの程度見ているかは分かりませんが、100円割れは想定していないでしょう。多分、100円を割る様な事態に陥ると、邦銀の海外資産の損失が拡大し始める。当然、資産市場もパニックになっていますから、海外資産をたたき売りして、慌てて円を買い戻すハズです。これによって円高はさらに加速します。

■ 一部の地銀が経営危機に陥る ■

この時点で経営体質の弱い一部の地銀や、積極的な海外投資を拡大した地銀が経営危機に陥るでしょう。

同時に邦銀が抱え込んだ海外資産の損失に世間の目が集まります。ゆうちょ銀行や農林中金の損失にも注目が集まります。

一部の人達は、預金を下ろして現金化する動きを見せるでしょう。特に経済紙などが「危ない金融機関ランキング」などを発表すると、その上位にランクインした銀行で取り付け騒ぎが起こる可能性も否定出来ません。

メガバンクも他人事ではありません。ゆうちょ銀行がもしもの事態に陥れば、とばっちりを食う可能性も在る。ソフトバンクにもしもの事があれば、「みずほ銀行がヤバイ」なんて噂も飛び交うでしょう。

■ ペイオフが注目されると危険 ■

この時点で政府は素早く大手銀行に資本注入をして自体の鎮静化を図りますが、一方で経営体質の弱い地銀は資本注入の条件として統廃合を要求すると思われます。1行か2行は生贄として破綻させられるかも知れません。

当然、預金者はペイオフの対象となり、1000万円以上の預金がリスクに晒されます。

ここで、ワイドショーなどがペイオフの特集などを組むと、ペイオフ対策でメガバンクなどから一気に資金が流出する可能性が有り危険です。

最後は政府が資本注入を拡大して鎮静化するでしょうか、もうこの時点で損失は国家、そて将来的には国民に押し付けられます。

■ ベールインが叫ばれた場合 ■

上記は救済(ベイルアウト)のシナリオですが、アメリカなどでは逆にベイルインとなる可能性も否定出来ません。

資産の多くを富裕層が独占するアメリカでは銀行救済は「富裕層救済」と同義になります。リーマンショックの時もそうでしたが、アメリカ国民の多くが税金で銀行(富裕層)が救済される事に疑問を持っています。

リーマンショックの際にも銀行への資本注入の是非を巡り、米議会は真っ二つに割れました。最後は親の葬儀で地元に帰っていた議員を専用機でワシントンに呼び戻して賛成に一票を入れさせて銀行救済法案(TARP)を可決しました。(ヤラセくせー!!)

仮に再び銀行救済がアメリカで必要になった場合、アメリカ国民がそれを許すかは微妙です。何故なら、リーマンショックで救済された銀行が、再び同じ過ちを犯した事を国民が許さないから。もう、自分達の税金では救済しないと彼らは主張するでしょう。

■ 銀行の終わりと電子マネーの始まり ■

仮にベイルインに広がった場合、世界中で銀行の信用は失墜し、銀行不要論まで出始めるでしょう。

同時に通貨危機も発生していますから、電子マネーを中心にした新しい通貨制度の整備への要求が急速に高まるハズです。電子マネーならば銀行を介さずとも決済が可能になります。こうしてマネーはバーチャル空間に完全に移行され、新たな通貨の時代が始まる・・・。

日銀は来年から電子マネーの実証実験を始めます。


・・・円高について書き始めましたが・・・妄想が暴走しました。週末は房総を自転車で暴走して来ます・・・。