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バーチャルな経済空間と仮想通貨・・・既存通貨システムの限界

2018-01-24 04:12:00 | 時事/金融危機
 

■ 通貨とは国民の借金である ■

1) 中央銀行は間接的に国債を買い入れて通貨を発行する
2) 国債は将来的な国民の納税によって償還される
3) 通貨とは将来的な国民の財産や労働を前借りした借用証書である
4) 信用創造という借金増殖システムにより、国民の借金が膨らむ事で経済は拡大する

現在の通貨システムは「蜃気楼」の様なもので、「将来の富が拡大する」=「経済成長」という幻想によって支えられれいます。

1) 経済成長によって国債は税金によってきちんと返済される
2) 経済成長によって民間の借金は踏み倒される事無くきちんと返済される

プライマリーバランスが重視されるのは、「借金は返済される」という幻想が、通貨システムや信用創造システムの根幹を支えているからに他なりません。

■ ドルはアメリカ人の借金である ■

1) FRBはドルを発行して米国債を購入している
2) ドル紙幣は小口の米国債である
3) 世界の国々は基軸通貨であるドルを手に入れようとしている
4) 世界の国々は米国債も手に入れようとしている
5) 世界の国々は、アメリカ人の借金を喜んで買っている

基軸通貨のメリットとは、貿易や金融取引に用いられる事で、自国の借金を他国に付け替える事の権利に他なりません。

世界の経済規模が拡大し続け、ドルの需要が拡大し続ける限り、アメリカは借金を膨らめる事が出来るのです。

■ 既に1980年代には実体経済の規模を借金が越えている ■

1) アメリカ人の借金がアメリカの金の備蓄量では賄えなくなった
2) ニクソンショックによってドルは幾らでも発行出来る様になった(金兌換停止)
3) 借金を踏み倒す為に、石油ショックによってドルを減価した(修正ブレトンウッズ体制)

4) 1980年代に金融システムの拡大が始まった(金融革命・レーガノミクス)
5) 実体経済に変わり、資産市場がドルの需要を生み出す様になった
6) 資産市場は需給バランスが崩れやすくバブルの生成と崩壊を繰り返しながら拡大した

ニクソンショック以降、いくらでも増える事が出来る様になったドルは、石油バブル(オイルショックによる原油価格の上昇)と、金融市場のバブルによって、ドルの需要を生み出して来ました。

■ 大量に発行された通貨の一部が実体経済を拡大する ■

1) 大量に発行された通貨は、主に資産市場における需要で信用創造を繰り返して増大する
2) 資産市場から溢れ出した通貨が、実体経済に流入して経済を拡大させる

サマーズなどが言い出した「長期停滞論」は、世界の実態経済を拡大する為には、資産市場のバブルが不可欠と看破しています。

■ 既にアメリカや日本において通貨の量は、将来の経済成長の範囲を超えている ■

1) 中央銀行は通貨の発行を実体経済のインフレ率を基準に調整している
2) 通貨の需要は主に実体経済では無く、資産市場の需要によって生まれている
3) 実体経済の成長率が鈍ると、通貨が過剰供給となる
4) 実体経済の成長力が鈍った経済では、通貨が過剰供給され、実体経済の将来の規模を簡単越えてしまう

日本の国債発行残高がGDPの200%を超えたなどと報道されますが、資産市場に資金と供給する為に過剰に通過が発行され、通貨の大本となる国債も大量に必要とされた結果とも言えます。

増えすぎた国債の償還を済成長によて賄う事は不可能です。

■ 国債発行の縛りが、通貨の拡大の足枷になる ■

1) リーマンショック以降の金融緩和は資産市場の維持の為に必要だった
2) 現在の資産市場の規模はリーマンショック以前の規模を越えている
3) 次なる金融崩壊によって、再びお大量の通貨発行が必用になる
4) 国債をベースにした通貨発行は「国債発行量」という制約によって通貨供給の制約が掛かる
5) 通貨発行量に制約によって資産市場の崩壊の歯止めが掛からなくなる
6) 中央銀行が国債以外の大量の資産(株式や債権)を買い入れて通貨を大増刷する

リーマンショック以降の金融緩和で、FRBはMBS(住宅担保証券)を大量に購入し、その市場の崩壊を防ぎました。日銀は今でも大量の株式EFTや不動産REITを購入して市場を支えています。

次なる金融ショックが発生すれば、各国中央銀行はもっと大量に、そして広範に、様々なゴミの様な資産を買い入れるので、中央銀行のバランスシートは「ゴミ溜め」と化すでしょう。事、ここに至って通貨の信用危機が発生するハズです。

■ 現在の通貨システムの真の姿 ■

1) 金兌換通貨
2) 石油兌換通貨
3) 資産兌換通貨

あまり指摘されてはいませんが、現在のドルの価値を支えているのは原油決済通貨としての価値いてでは無く、資産市場(金融市場)で使用される「トークン」(引換券)としての価値です。

「資産市場で使われるトークン(引換券)が実体経済でも流通している」というのが、現在の通貨システムの本当の姿なのかも知れません。問題は「トークン」を生み出す資産市場がバブルの生成と崩壊を繰り返して不安定な事。

■ バーチャル化する経済 ■

陰謀論者の多くが、次なる金融危機によって通貨の信用危機が発生して、中国やロシアなどは金兌換制の復活によって通貨の価値を守るだろうと予想しています。しかし、これは実体経済主体の非常に保守的な通貨観を基本とした考え方に過ぎない。

一方で、金融市場などは既に実体を持たない「バーチャルな取引空間」と化しています。取引するものは価値の無い「二酸化炭素」でも何でも構わないのです。ただ、大量のお金が流入し動き回る事で信用創造の歯車が回り、お金がお金を生んでゆく世界。

既に、通貨の発行は「国民経済」という実体を離れ、バーチャルな世界に依存し始めているのが現在の通貨・金融システムの姿だとするならば、通貨の発行も、バーチャルに対応する必要が有ります。

■ 仮想通貨が何故必要とされるのか? ■

暴落によって信用が試されている仮想通貨ですが、ビットコインの様な民間が勝手に発行する仮想通貨は規制によって一瞬で崩壊するハズです。

一方で、ビットコインなどが野放しにされている期間で、仮想通貨の実証実験は確実に進歩しています。ハッキングに対する耐性や、発行額が拡大するにしたがってブロックが超大化して実用性が損なわれる問題、マイニングコストが増大し過ぎると、マイニング自体が無益な行為となる問題・・・現在の仮想通貨が抱える問題をクリアしなければ、「公的通貨」として仮想通貨を利用する事は出来ません。

しかし、経済がバーチャル化する将来において、金融調整機能をマトモに維持する為には通貨のバーチャル化は不可欠でしょう。現在の様に国債市場を通して金利操作を行うシステムでは、バーチャル化した経済空間のスピードに着いて行く事は不可能です。

■ 銀行や口座が不要となる時代 ■

仮想通貨の最大の利点は、銀行や預金口座という「遅いシステム」を介さなくとも、金利操作がダイレクトに出来る点では無いでしょうか?

要は仮想通貨そのものに金利をダイレクトに反映させる事が可能。(当然、徴税などもダイレクトにする事が出来ます)

小さな国家では、中央銀行は仮想通貨を通じて、直接個人の保有する「お金」を管理する事が可能になりますし、大きな国では銀行を介在した分散型システムを構築しても良い。ここにおける銀行は単に「管理者」に過ぎません。

■ 徹底した情報化が実体経済を発展させる ■

現在の実態経済の投資は、あるビジネスモデルに対して、銀行の融資か、株式や社債の発行によって資金が集められます。

ただ、現在でも「証券化」の技術によって個々の案件は、データ化され、金融市場でバーチャルに取引されています。この世界では価値やリスクは金利に置き換えられ数値化され、取引を繰り返す内に、元の資産が何であったのかも分からなくなります。

従来は銀行員が多くの経験によって融資や金利を決定していましたが、将来的には、AIが個人の膨大なデータを元に、融資や金利を決定し、瞬時に債権は証券化(=データ化)されて、バーチャルな金融空間に拡散する時代がやって来るのか知れません。

AIはネット空間に拡散する個人や企業の情報、例えば学歴や年収、購買傾向や、ネットアクセスの記録から知性や性格までも割り出して融資の参考にするハズです。これらは従来は銀行員が個人の繋がりと経験から獲得していた情報ですが、ビックデータを統計的に処理する行為に代替可能です。

■ 現在の通貨システムの徹底した破壊が必用 ■

ちょっとSF的妄想が暴走しましたが、この様な「バーチャル経済空間」実現の為には、現在の通貨システムを根本的に破壊する必要が有ります。

・・・だから未曽有の金融危機や、或いは戦争といったショックドクトリンが必用とされている・・・トランプが大統領を務めているアメリカを見ると、何だかヤバイ気がします。

「オレは天才だから、現在の金融システムを破壊してやった」とツイートする日が来ないとも限らない・・・・。