人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

『宇宙よりも遠い場所』聖地巡礼2・・・船橋港SHIRASEツアー

2018-02-23 09:47:00 | アニメ
■ 南極へは行けないけれど・・・初代「しらせ」へ聖地巡礼 ■


『宇宙より遠い場所』より

『宇宙より遠い場所』より

今期の私的な覇権アニメは『宇宙より遠い場所』で揺ぎ無し。

いしづかあつこ監督の最新作は女子高生版『宇宙兄弟』・・・『宇宙よりも遠い場所』 「人力でgo」2017.01.17

いよいよ女子高生4人が南極観測船に乗り込んで南極圏に到達しましたが、流石に南極へ聖地巡れには行けません。彼女達の学校がある群馬県館林市周辺が限界。

彼女達が乗り込む南極観測船は「2代目 しらせ」ですが、こちらも現役だけに、一般公開の時にしか内部を見る事で出来ません。

しかし!!実は「初代しらせ」ならば、簡単に見学する事が出来ます。


■ スクラップを免れた「初代 しらせ」 ■

「初代・しらせ」は2008年に観測船としての役割を終えましたが、引き取り手が無くスクラップにされる事が決定します。しかし、リーマンショックが発生し、くず鉄の価格が暴落してしまい、解体が延期される事に。

そんな折、民間の気象観測会社「ウェザーニュース社」が買い取りに名乗りを上げます。同社は「しらせ」に搭載されていた観測機器をそのまま入手して、世界の氷のモニタリング業務を開始します。さらに艦上に新たに小型気象観測レーダーを設置して首都圏の気象観測を開始しました。

一方で「しらせ」を無料で一般公開(予約は必要)したり、映画撮影に提供するなど退役後の艦を有効に活用しています。

退役した「しらせ」は艦番号「5002」はそのままに、艦名をローマ字表記の「SHIRASE」に改めます。おりじなるの「しらせ」は「二代目しらせ」が使用しているからです。

■ 出来立ての生ビールとセットで1000円の見学ツアー ■

千葉県船橋港のサッポロビール千葉工場に隣接する埠頭に係留されている事は、以前から知っていしたが、昨年末からサッポロビールの工場見学ツアーに「SHIRASEツアー」がセットになって「SHIRASE5002ツアー&サッポロビール千葉工場・黒ラベルツアー」
2時間コース1000円。

出来立てのビールが飲めるとあって、なかなかの人気で、土日の予約は直ぐに一杯になってしまいます。そこで、1月31日に仕事の合間に妻と娘を連れて見学に行って来ました。

■ 何と貸し切りだった!! ■

平日の見学とあってツアー参加者は私達3人だけ。なんと貸し切りです。

案内して下さるのは元自衛官(自営艦の艦長)の方。実は南極観測船は文科省がお金を出して建造されましたが、艦の設計や運営は海上自衛隊が担当しています。艦を動かしているのは自衛官。

アニメは「2代目しらせ」が退役後に民間の南極観測隊に払下げられるという設定なので、艦番号は「2代目しらせ」の「5003」ですが、船橋港に停泊している「SHIRASE」は「5002」。

近くで見るとその大きさに圧倒されます。「砕氷貨物船」と呼ぶのが相応しいのでしょう。全長134m、全幅28m、満載時の排水量は18900トンです。



『宇宙より遠い場所』より



『宇宙より遠い場所』より


■ 直前にアニメの声優さん達が収録されていた!? ■

最初に案内の方が「さっきまで、アニメの声優さん達が収録してカレーを食べていたから、カレーの匂いがしますよ」と言われました。「アニメご覧になられました?」と伺うと観ていないとの返答。「面白いですよ」とさり気無くPRしておきました。

艦に乗り込もうとタラップまで行くと、アニメの関係者らしき女性数人が車で帰られる所でした。何となく横顔が早見沙織さんに似ていらしたので・・・もしかしたら。

デッキに上がると、アニメそのものの光景を目にする事が出来ます。


『宇宙より遠い場所』より



最初にブリーフィングルームの様な所でOHPを用いて「初代しらせ」の歴史や活躍が紹介されます。説明して下さる方も元自衛官の方だそうです。



部屋の後ろにポスターが貼ってありました。隣に貼られているのは船橋出身の人気作家、森沢明夫の『きらきら眼鏡』の映画ポスター。ロケは船橋市内各所で行われています。




一通りの説明が終わり、いよいよ「艦内ツアー」に出発です。先ずは甲板に出ます。先週、キマリ達が嵐の夜の海を見る為にハッチを開けるシーンが有りました。


『宇宙より遠い場所』より



タラップを上って艦橋を目指します。船の階段は角度が急です。





『宇宙より遠い場所』より



■ 赤い椅子は艦長席 ■

ブリッジの中は驚く程広い。

赤いカバーの椅子が有りますが、これが艦長席。艦長の階級は「一佐」なので軍隊ならば「大佐」。艦長って偉いんですね。


『宇宙より遠い場所』より




『宇宙より遠い場所』より


「未だに伝声管ですか?」と質問したら、上部のデッキとの連絡用だそうです。



ジャイロもアニメの通り。ジャイロの本体は船体中央部の安定した場所にあるそうで、そこから電気信号でブリッジのジャイロが動くそうです。


『宇宙より遠い場所』より




『宇宙より遠い場所』より


壁に貼らていた「搖動記録」。砕氷船は氷を割って進む為に、船の揺れを抑えるビルジキールが有りません。だからムチャクチャ横揺れが激しい。それで暴風圏に入って行く訳ですから、船体の傾きはパナイ。「初代しらせ」の横揺れ53度というのは海上自衛隊の記録だそうです。(静的復元力は110°もあるそうですが・・・。)




■ 艦内は広くて迷路の様だ ■

プリッジから艦内の梯子の様な階段を下ると、副艦長室と艦長室が有ります。



『宇宙より遠い場所』より





調理場にも案内してもらいました。調理担当ももちろん自衛官。海上自衛隊では金曜日はカレーの日と決まっているそうです。カレーが出されたら「今日は金曜日なんだ」と思うんだとか・・・。

船で尤も怖いのは火災です。ですから、調理場でも火を使わないそうで、加熱は動力系で発生する高温のスチームが使われています。


『宇宙より遠い場所』より



艦内では自衛官と観測隊の居住ブロックは分かれています。こちらは自衛官の居室。ベルトは落下防止でしょう。揺れますから・・・。



海では真水は貴重です。洗面や入浴は基本的に「海水」。入港前の真水で甲板を掃除するそうです。



半年近い航海なので、「床屋」も在ります。もっとも艦員同士で切り合うのですが・・・・その名も「タイガーカットハウス」。




観測隊の居住区に入って行きます。現役しらせの建具はスチールですが、初代しらせではドア枠などは木製。


『宇宙より遠い場所』より


ベットや机や棚も初代しらせは木製です。


『宇宙より遠い場所』より



■ 南極観測の資料館みたい ■

艦内には南極観測の資料も展示されています。



下の写真は艦首部分の装甲の厚さを示す鉄板。何と45mmの厚さが有ります。通常は1.5mの氷を連続して砕きながら航行します。(トルク重視なので、ディーゼルエンジンは発電機です。スクリューは電動モーター)。

氷が厚くて連続砕氷が出来ない場合は300m後退して勢いを付けて氷の上に艦首を乗り上げ、艦の重さで氷を砕きます。これをひたすら続けて昭和基地を目指しますが、氷が厚すぎて接岸できない年も在ります。



■ 後部飛行甲板は幼稚園の園庭程の広さ ■

船の一番後ろにはヘリコプター用のフライトデッキと格納庫が有ります。


『宇宙より遠い場所』より




『宇宙より遠い場所』より



1時間の間、我が家族3人の貸し切りツアーでそした。丁寧に説明して下さりありがとうございます。アニメの放送で艦内が登場する度に、家内とワァワァと盛り上がっています。


■ 最期は出来立てのビールを堪能 ■

実はこのツアー、後半はサッポロビール千葉工場の見学が付いています。これも3人だけの貸し切りツアー。実は私は地元なので4回目ですが・・・。以前はビールがタダで飲めたので・・。

ビール工場の窓からも「SHIRASE」が間近に見えます。






2時間のツアーですが、出来立てビールを2杯頂いて大満足でした。夏場はツアー参加者が増えるそうなので、今の時期の平日がお勧めです。

『宇宙より通り場所』のファンで無くとも、お勧めのツアーです。時間に余裕が有れば、工場の敷地内の「サッポロビール園」でジンギスカンに舌鼓を打つのも良いでしょう。

ちなみに車や自転車で行くとビールは飲めません。無料送迎バスがJR津田沼駅、京成津田沼駅、JR新習志野駅から出ています。


本日は南極には行けないけれど、南極に行った気分になれる「SHIRASE」の聖地巡礼をお送りしました。