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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

外貨準備の有効利用・・・塩漬けよりは担保

2017-01-03 03:13:00 | 時事/金融危機
 

本日の記事は裏を取った訳ではないので憶測がだいぶ含まれます。



■ 外貨準備128兆円 ■

日本政府が保有する外貨準備は128兆円に拡大しています。この殆どが米国債です。
128兆円は日本政府が保有する外貨準備としては多すぎるとの指摘がありますが、長年に渡る為替介入によって(ドル買い円売り)、外貨準備は膨らみ続け、この間日本政府は米国債を買い続けてきました。

■ 外貨準備の原資は国民の税金 ■

外貨準備は外貨準備特別会計で処理されているので、その実体が国民に把握出来ませんが、実は為替介入の原資は国民の税金です。

1)政府短期証券を発行する
2)日銀、或いは市場が政府短期証券を購入する
3)政府は政府短期証券発行によって得た円を為替市場でドルに替える
4)購入したドルのほとんどは米国債になる

5)政府短期証券は国債発行によって償還される
6)為替介入のコストは結果的に国民の税金に付け変わる

7)ドル買いで放出された円を市場に滞留させれば金融緩和効果を生む
8)白川時代までは放出された円は日銀が回収していた(不胎化)

■ 日本国民はアメリカに税金を払っている ■

政府保有の米国債はほとんど売却されずに増え続けています。この原資は日本人の税金ですから、日本人は米国に米国債購入という税金を納めているとも言えます。

ただ、バランスシート上は「資産」に計上されるので何と無く騙されています。しかし「売れない米国債」は資産とは言い難い。

「外貨準備が減る時があるから米国債を売っているのでは?」との指摘も或るかと思いますが、外貨準備は円建てなので円高に時期には見かけ上は減少します(巨額の為替差損が一時的に発生)

■ 外貨準備の使い道 ■

日本政府が保有する外貨準備はブタ積みにされているだけなのでしょうか?

実はリーマンショックの際に日本政府はIMFに1000億ドルの資金融資をしています。この1000億ドルは米国債を担保として調達した資金の様です。

昨今、安倍首相は外遊先でポンポンと気前よく資金援助を発表していますが、その総額は120兆円に上ります。これ、ほぼ外貨準備の額と同額。多分、外貨準備を担保に資金を調達しているのでしょう。

海外支援には従来はODA(政府開発援助)が充てられて来ましたが、単年度の会計では5000億円程度です。これではとても120兆円を調達する事は出来ません。

■ 外貨準備を国内の景気対策に使えないのか? ■

安倍政権の気前の良い海外支援に対して、「外貨準備を取り崩して国内の景気対策に使えないのか」との指摘が各所から上がっています。

しかし、日本政府の保有する米国債は原則として売れません。これ、そういう決まりになっている訳ではありませんが、でも売れない。だって、橋本竜太郎元首相が「米国債を売ろうという誘惑に駆られたことはある」とNY大学の学生の前でジョークを飛ばしただけで、米国債が大幅に下落した程、日本政府の米国債売却はタブーなのです。そんな事をしたら、首相や財務大臣がこの世から消えます。

では、米国債を担保にドルを調達し、それを為替市場で円に換えて国内の景気対策に使えないのか・・・?一時的には可能かも知れませんが、米国債が売却出来ない以上、借りたお金は税金で返す必要があるので、こんなややこしい事をせずに、一般会計で補正予算を組んだ方がシンプルです。

■ 米国債金利の上昇で含み損が発生する外為特別会計 ■

現在の米国債金利の上昇で外為特別会計の米国債は含み損が発生しているはずです。しかし、売買を前提としない(償還まで保有、さらにはロールオーバー)ので、問題はありません。そもそも為替変動で円建ての残高は大きく変動し続けています。

現在、各国が保有する米国債を売却してドルに換えていると言われています。米国債金利の上昇を受けて(価格は下落)、損失を食い止め様としているのです。

日本はどうかという問いに、財務省はノーコメントの様です。日本が米国債を売ったとなると、市場に与えるインパクトは大きいからです。尤も、日米の関係からすれば、米国債を買い増しているのでは無いかと私は邪推しています。

■ 日本だけ見れば損をするが、世界はそれで発展する ■

日本の外貨準備と、その使われ方は日本人から見れば損をしている様にしか思えません。しかし、世界全体で見れば、それで途上国の産業が発達し、市場が拡大する訳ですから塩漬けにされているよりも有意義に使われていると言えます。

この様に、グローバル化の時代には国家の利益と世界の利益が相反するケースが多々発生します。

トランプを選出したアメリカ国民や、ヨーロッパの極右政党を支持する人達などは、「国家の利益が最優先だ!!」と言い始めました。当然の主張ではありますが・・・それでは市場は拡大せずに経済は縮小を始めます。結局はヨーロッパは経済が失速して政治が不安定化するはずです。

これ、第二次世界大戦前夜に良く似た状況です。歴史は繰り返すのか、それとも人々や世界は進化して行くのか・・・。興味は尽きません。