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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

電子通貨に関する考察・・・属性を持った通貨

2015-09-23 03:08:00 | 時事/金融危機
 

■ 消費税還元にマイナンバーを利用する計画は否定された様だが・・・ ■

財務省は消費税が10%に増税された場合、一人当たり最大4000円のキャッシュバックをマイナンバーを利用して還付する方法を検討していましたが、これには3000億円程度のコストが掛る事が判明して国民が反発し、この案は白紙になった様です。

ところで唐突に「個人番号カード」の活用が浮上しましたが、私は違和感を禁じ得ませんでした。もっと簡単な還付方法が有るにも関わらず巨額の投資をする理由が他に有るのでは無いか?

ネットでは「財務官僚の天下り先」とか「ITゼネコンへの利益誘導」などの理由が噂されていますが、私は財務省の本当の目的はもっと深遠なもので無いかと邪推しています。それはズバリ「円の電子マネー化」。

■ 現在の電子マネー ■

「ビットコイン」で注目される電子マネーですが、現代でも通貨の一部は電子マネー化しています。

1)金融機関の決済
2)クレジットカード
3)SuicaなどICカード
4)ビットコインなどの「電子マネー」



1)「金融機関の決済」では口座間の決済や金融機関同士での決済では実際のお金は移動しません。電子的な帳簿の間でデータのお金がやり取りされます。これは金融機関の間で共通の「オンライン・インフラ」が確立されている事で実現しています。

2)「クレジットカード」もオンライン・インフラによって成り立つサービスです。サービスとしては「短期の信販」ですが、小売店と信販会社の間の決済はデータのやり取りで行われるので電子マネーと考える事が出来ます。

3)ICカードは現金の代用品として一番電子マネーに近い存在と捕えられがちですが、これの原型は「商品券」です。それが「テレフォンカード」や「オレンジカード」と言った磁気カードに進化し、さらに非接触型に進化したものが「Suica]に代表される「ICカード」です。

4)「ビットコイン」などは電子マネーと呼ばれますが、法的には通貨としては認められていません。通貨はその国の中央銀行が発行した物しか認められないからです。ですがらビットコインなどは「商品」と考えた方が理解し易いでしょう。現在はLineのアイコンやネットゲームのアイテムなど、「電子データ」が「商品」として流通しています。ビットコインもこの様な商品の一種で、それを「通貨」で売り買いしているに過ぎません。現在では「商品」の購入の決済をビットコインで出来る様になっていますが、これは「物々交換」に近い行為です。ビットコインの利用が拡大すると、通貨の代替としての機能を持ち始めるので、その時点で「私造貨幣」として法律に抵触して来るかと思われます。そもそも現在でも相当グレーな存在なのですが、当局が摘発しないのは「取り締まる法律が無い」事も原因ですが、「電子データに信用を付与する事が出来るのかという実験」を観察している様にも感じられます。

■ 個人のお金の流れをトレース出来る電子マネー ■

現代の技術を持ってすれば、全ての小売店などに電子マネーの読み取り機を設置すれば紙のお金を廃止する事は技術的には問題有りません。ただ、家庭内で子供に小遣いをあげる時に不便は有るでしょう。飲み会で割り勘する時にも不便ですが・・・。

「電子通貨」の利便性は「清算」の速さです。ICカードやクレジットカードの利用が増えているのもこれが大きな理由になっています。

一方、「電子通貨」が「個人番号」とリンクした場合には、全く違う利用価値が生まれて来ます。本来お金には「匿名性」が有ります。自分の手元に有る紙のお金が、どういう経路で自分の手元に来たかを知る事は不可能です。

ところが電子通貨を個人番号で管理した場合、お金の流れのトレースが可能になります。要は「国家が全てのお金の流れを特定」出来るのです。誰が何処で何を買ったとか、どこの会社に支払をしたなどというデータを国家が握る事になります。

これは結構重要な事で、会社の取引内容もスケルトンになるので、「二重帳簿や裏口座で売り上げを隠す」などという初歩的な脱税が出来なくなります。マイナンバー制度は大昔から導入が検討されて来ましたし、法案も国会に提出されて来ましたが、その都度廃案になって来た最大の理由が「事業者の反対」です。特に商工会議所を支える個人商店などが反対したので自民党議員もこの法案に賛成しなかったのです。

■ 税金や年金の強制徴収も可能になる ■

電子通貨を国家が管理する場合、国家は様々な利用方法を生み出す事が出来るでしょう。例えば税金や年金の強制徴収などという事も可能になります。現在でも法的な強制力で悪質な滞納者の口座を凍結する事は可能ですから法的にも問題は無いでしょう。

「紙のお金」ならば「タンス預金」で隠す事も出来ますが、電子通貨ではこれも不可能です。電子通貨導入時点で全てのタンス預金が炙り出されます。

■ アングラマネーに課税出来る ■

通貨の流通をトレース出来れば所謂「アングラマネー」の流れもトレース出来てしまいます。パチンコ屋や暴力団のビジネスに課税する事も容易です。日本の地下経済の規模は20兆円程度とされていますから、これに課税すれば少なくとも2兆円程度の税収になるでしょう。

尤も、違法なビジネスが多い地下経済自体、電子通貨が普及すれば存続が難しくなります。

■ アングラマネーが出現するだろう ■

仮に通貨で電子通貨され、マイナンバーとリンクした場合、必ずや「アングラマネー」が生み出されるはずです。「ビットコイン」などは既にそういう使われ方をされており「マネーロンダリング」の手段となっています。

例えば誰かがエロ本を買おうしますが、電子通貨で購入すると足た着くので躊躇したとします。しかし、「商品券」を購入してそれでエロ本を買えば、電子マネー上の取引は「商品券の購入」になります。

地下経済で共通の「商品券」を利用すれば、これはアングラマネーとして機能するでしょう。「商品券」はビットコインの様な「電子マネー」の形を取るのでしょう。

■ 将来は電子通貨になって行く ■

利用者の利便性と、国家の利便性を考えると将来的に電子通貨は実現するでしょう。その為のハードルは偽造と不正利用ですが、これも技術の向上で克服されるかと思います。

仮に個人や企業の資金の流れが国家に把握されたとすれば、経済の流れがリアルタイムに観察され経済運営などにも役立つかも知れません。何処にお金が滞留しているかなどが一目で分かるからです。


電子通貨化の最大の関門は、個人の経済活動が国家に掌握される事ですが、多分個人情報の保護の観点から、電子通貨の最大の争点になるハズです。国家は電子通貨をマイナンバーなどとリンクさせたいと考え、国民はこれに反対します。

軽減税率を巡る財務省の唐突な案の背景には、電子通貨とマイナンバーのリンクの既成事実を作る事が本来の目的では無いのか・・・陰謀論者の私はそう邪推してしまいます。

そして将来的に日本の財政が破綻しかけた時、アングラマネーにアクセス出来る人以外は、一網打尽にされるのでしょう・・・。

尤も納税は国民の義務ですから、それをチョロマカせる現在の方式に問題が有るのですが・・・。そして、それが政治家への裏金作りに使われているというジレンマ・・・