人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

日本は世界第三位の経済大国・・・人口の多さに起因する

2015-09-10 06:08:00 | 時事/金融危機
 

■ 円安でドル建ての賃金は韓国と同等になった日本 ■

アベノミクスで輸出産業が元気を取り戻したと言われる昨今、一方で輸入物価が上昇して食料品を始めとする値上げは庶民の生活を圧迫しています。

デフレの原因として一部のリフレ論者が敵視する円高ですが、円安になるとこんな事も起きてしまいます。



上のグラフは各国の平均賃金の比較ですが、なんと日本を韓国が抜いています。日本の賃金が停滞している間に、韓国人の賃金は着実に上昇してきました。そしてドル換算の賃金はとうとう日本を抜いてしまったのです。

これをして一部のリフレ論者は「日本がデフレで賃金が抑制されてたからだ」と声を荒げるでしょう。しかし、これグラフはドル換算なので円安の影響も大きいかと。(日本の賃金の変化が緩やかなので、過去のデータも現在の為替レートで換算されていると思われます)

日銀の異次元緩和で日本円の価値は半分に減ってしまいました。尤も、民主党政権時代の円高は円キャリートレードの巻き戻しと、ドルやユーロの信用不安によって円に資金が逃避ししていた影響で行き過ぎた円高が発生してたので、ドル円の適正為替水準は100円/1ドル程度かと思われます。従って現在の120円/1ドルという為替水準は2割程円安が行き過ぎている様に思われます。

しかし、仮に1ドル100円で換算しても、日韓の賃金の差は2割程度しか有りません。日本は既に中国の中間層とも肩を並べられています。最近私の所には「上海で働いてくれる日本人デザイナーは居ないか?」という問い合わせが有りますが、既に上海の中国人の人件費が日本の若者のそれを超えているので、日本人を雇用した方が安く上がる状況になっているのだとか・・・。

■ 人口の多さが世界第三位のGDPを作り出す日本 ■

中国に抜かれたとは言え、ドル換算でも日本のGDPは世界第三位です。これだけ見ると日本はまだまだ経済大国と言えます。

1 ルクセンブルク 111,716
2 ノルウェー 97,013
3 カタール 93,965
4 スイス 87,475
5 オーストラリア 61,219
6 デンマーク 60,564
7 スウェーデン 58,491
8 サンマリノ 56,820
9 シンガポール 56,319
10 米国 54,597
11 アイルランド 53,462
12 オランダ 51,373
13 オーストリア 51,307
14 アイスランド 51,262
15 カナダ      50,398
16 フィンランド 49,497
17 ベルギー 47,722
18 ドイツ      47,590
19 イギリス 45,653
20 フランス 44,538
21 ニュージーランド 43,837
22 アラブ首長国連邦 43,180
23 クウェート 43,103
24 香港      39,871
25 イスラエル 36,991
26 ブルネイ 36,607
27 日本     36,332
28 イタリア 35,823
29 スペイン 30,278
30 バーレーン 28,272
31 韓国      28,101
32 キプロス 26,115
33 マルタ      24,876
34 サウジアラビア 24,454
35 バハマ  24,034
36 スロベニア 24,019
37 台湾     22,598
38 ポルトガル 22,130
39 ギリシャ 21,653

上の数字は国民一人当たりのGDPの国別ランキングです。日本はG7の中ではイタリアに次ぐブービー賞です。これもドル換算なので、1ドルを100円で換算すると少し上昇しますが、それでも日本はフランスと並ぶレベルです。

世界第三位のGDPは日本の1億3前万人という人口が作り出しているのです。

■ 日本人が貧しく無いのは物価が低い影響が大きい ■

1. スイス - 126.03
2. ノルウェイ - 118.59
3. ベネズエラ - 111.01
4. アイスランド - 102.14
5. デンマーク - 100.60
6. オーストラリア - 99.32
7. ニュージーランド - 93.71
8. シンガポール - 93.61
9. クウェート - 92.97
10. イギリス - 92.19
11. アイルランド - 92.09
12. ルクセンブルグ - 91.78
13. フィンランド - 89.68
14. フランス - 88.37
15. ベルギー - 87.22

18. 韓国 - 82.90
21. 日本 - 80.53
26. アメリカ - 76.53

上の数字はニューヨークの生活費を100とした場合の世界各国の生活費の比較です。

THE HUFFINGTON POSTより引用
http://www.huffingtonpost.jp/2015/01/22/most-expensive-countries-to-live-in_n_6528630.html

2013年7月1日から2015年1月2日までのデータなので、円安後の状況を反映しています。

なんと韓国の生活費は日本より高いく、意外にもアメリカ全土の生活費の平均は日本よりも安い事が分かります。ヨーロッパ各国の生活費も日本よりも割高です。

かつては日本の生活費は高いと言われていましたが、デフレが継続していた影響で、日本の生活費は意外に割安になっています。賃金が伸び悩む中で、私達の生活がそれ程悪くなった様に感じられないのは、デフレによって物価が抑制されていた恩恵が大きい様です。

日本の場合は「住居費」が生活費に占める割合が大きいので、食費などの物価はむしろ安い方に入るかも知れません。ヨーロッパに行くと物価の高さに仰天しますから・・・。

■ 実質賃金を低下させる円安 ■

インフレが得か、デフレが得かという議論が盛んですが、インフレやデフレって実は貨幣現象であって、物価に賃金がペックしているならば、私達の生活にそれ程影響は有りません。

むしろ私達の生活に直接影響を与えるのは為替水準と賃金です。



インフレが予想されれば通貨価値が下がるので、為替は円安に触れます。その結果、輸入物価が上層して、益々インフレに拍車が掛り、円安のバイアスが高まります。

良いインフレは需要の拡大が生み出すので、企業業績が伸び、インフレ分の賃金が上昇します。

しかし、円安によるインフレでは、需要に変化が無い中で物価が上昇するので、需要は圧迫され企業業績も低下します。結果的に賃金は増えるどころかむしろ減少します。実質賃金どころか中小企業では名目賃金も低下します。実際に日本人の平均所得はマイナスで推移しています。


日銀の異次元緩和が景気回復をもたらさない事が明らかになりつつありますが、それどころか円安によって国民生活は以前にも増して貧しくなっているのです。