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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

世界は一線を越えてしまったが幻想はしばらく続く

2014-02-26 09:30:00 | 時事/金融危機
 

■ ロイターコラムの記事が現在の世界経済の状況を上手くまとめている ■

「プット乱発が招く終末論」 河口 浩一(ロイター)

http://jp.reuters.com/article/jp_blog/idJPTYEA1O00S20140225

<全文引用>

1987年10月のブラックマンデー後に登場した「グリーンスパン・プット」以来、乱発されるプットが投機筋を支援している。プット・オプションは保有資産を壊滅的な暴落から守る一種の保険だ。

何か危機が起こり株価が急落した時に、米連邦準備理事会(FRB)が大量の流動性を供給し、投資家に保険を提供したことから投機家は安心して市場に参加できた。98年のロングタームキャピタルマネジメントの破たん、2000年のITバブル崩壊後もFRBは積極的な流動性供給を行って金融市場を壊滅的な被害から救った。

グリーンスパン・プットはバーナンキ・プットに引き継がれ、リーマンショック後の急ピッチなフェデラルファンド(FF)金利引き下げと量的緩和(QE)シリーズにつながっている。

プットと呼べば聞こえは良いが、簡単に言えば八百長賭博だ。博打を張って勝てば大儲け、負ければ、胴元が掛け金を戻してくれるようなシステムであり、それに気付いた投資家だけが大儲けした。プットを前提とする株式市場では、景気や企業業績など実はどうでもよい話で、中央銀行の存続可能性だけをウォッチしていればよいことになる。多少無茶してバブルになっても最後は中央銀行が何とかしてくれるからだ。

プットの匂いを嗅ぎつけた投機筋は、東京株式市場にも大挙流入。連日のように乱高下を繰り返してサヤを抜く売買が行われている。

4月の消費増税後の景気、企業業績は不透明だ。安部晋三首相はデフレ脱却と経済の好循環を実現するというが、賃金の上昇は企業による国内生産への回帰を阻害するかもしれない。設備投資が盛り上がらない中で余剰資金はもっぱら金融市場が引き受け、バブルを生むとの期待が株価を支えている。

いまや市場関係者の最大の関心事は「黒田プット」であり、「KB2(黒田バズーカ2)が何とかしてくれる」という楽観論が支配している限り、株価は大きく崩れないとの見方も多い。米国も同様。経済の先行きが不透明な中、ゼロ金利の長期化期待が株式市場を支えている。何かあれば「イエレン・プット」が出るとの安心感もある。

一方で、世界的なプットの乱発により実体経済の伴わないバブルの生成と崩壊が繰り返され、いずれ資本主義は終えんを迎えると警告する有識者もいる。

だが、終末論を唱えるのは気が早い。日本では長期金利がポイントになりそうだ。

金利が急上昇すれば円安・株高の前提は崩れるが、現状の需給構造では考えにくいというのがプロの読み筋。機関投資家が国債市場を健気に支え続ける限り、外部環境が多少ブレても円安・株高の基盤は揺らぎにくい。破滅的な事態になるのはまだ先とみる海外投資筋の「どんちゃん騒ぎ」は当面続くのではないか。

(東京 25日 ロイター)

<引用終わり>


■ 損失補てんが続く世界 ■

1) 不景気が発生する
2) 中央銀行が金利を下げる
3) 過剰投資が発生し、バブル化する

4) バブルが崩壊する
5) 中央銀行が金融緩和でバブルの損失を補てんする

6) 景気回復に伴って再びバブルが膨らむ
7) バブルが崩壊する
8) 中央銀行が金融緩和でバブルの損失を補てんする

9) より巨大なバブルが発生する
10)バブル崩壊が世界経済の継続性を脅かす規模に拡大する(リーマンショック)
11)中央銀行が狂った様に通貨を発行して損失を補てん、穴埋めする

・・・・・

現在の世界は11番目の状況です。
本来ならば世界的にインフレが発生するはずですが、供給された資金は金融市場に留まり、そこでバブルの芽を育てているので、世界の実体経済はデフレ基調です。

■ どこまで継続可能なのか? ■

金融市場のバブル崩壊が実体経済に影響を与えないのであれば、バーチャルマネーの饗宴は規模を拡大しながら永続します。

しかし、金融市場の崩壊がリーマンショックの様に世界の実体経済に大きな影響を及ぼす以上、この様な空騒ぎもいつかは終焉を迎えます。

では、「終焉とは何か」と問われれば、「通貨の信用の喪失」となります。

中央銀行が発行する債券である所の「通貨」が紙切れに過ぎない事は既知の事実ですが、世界を便利なので通貨を利用しています。現物金では持ち歩きも不便ですし、分割も難しい。さらには量に限りがあるので、経済成長を抑制してしまいます。

だから、ニクソンショックによって世界の通貨は金に別れを告げ、純粋な紙切れを選択しました。

■ ビットコインの様な電子通貨と現存の通貨は何が違うのか? ■

ビットコインの大手取引所であるマウント・ゴックスが営業を停止した事がニュースになっています。

ビットコインは電子通貨の一つですが、中央銀行や政府の裏付けのあるものでは無いので、「電子化された金券」と考えると分かり易いかも知れません。

通常の通貨をあるレートでビットコインに交換して、それを決済に使うのですが、手数料が安く処理時間が短いので、国際決済などに使う人達が現れました。しかし、各国の財務省はこれらの電子通貨を「通貨」とは認めていません。

電子通貨の不透明性の一つに、「通貨の価値の裏付けが無い」と言う点が挙げられます。仮に電子通貨の運営主体がトンズラした場合、誰も電子通貨の価値を保障してくれません。

では、「中央銀行券」の価値は誰が、どの様に保障しているのでしょうか?
・・・・実はこれも良く分かりません。



そもそも日銀やFRBの資産のほとんどが「国債」なのですから、中央銀行の発行する通貨とは、国債を細分化して証券化したものとも言えます。実際にドルにはそう印刷されているみたいです。

人によってはこれをもって、「その国の総生産力や資産が通貨の価値を保障する」と言います。

しかし国土を切り売りする事は事実上不可能ですし(出来なくは有りませんが・・)、その国の生産力を通貨に反映すると言っても、暴落した日本銀行券を為替市場で安いコストで大量に手に入れた外国人が、それこそ札束で頬を打つ様に日本の資産を買い漁る姿しか私には創造出来ません・・・。

こうして考えると、「通貨の価値とは、通貨という便利が紙切れが、常識の範疇の量だけ存在している事によって支えられており、国家の威厳によって価値がある様に錯覚されている」という事になるのかも知れません。

■ 民間の不良債権の証券化商品となった通貨 ■

リーマンショックでFRBはMBSを大量に買い入れています。日銀の日本株や不動産REITまでバランスシートに組み込んでいます。最早、中央銀行券はこの様な民間の不良債権の証券化も含有しているアヤシイ物になってきています。

何だか、江戸末期の小判に金以外の不純物が多くなって、小判の信用が失われインフレが発生した状況に似ています。インフレは下級武士の生活を崩壊させ、討幕へのエネルギーを生み出す事になります。


■ 皆で増やせば怖く無い作戦 ■

リーマンショック後のFRBやECBや日銀の緩和政策は、「みんなで増やせば怖く無い」戦略でした。

通貨は発行量を増やせば価値が減りますが、ドルもユーロも円も等しく増えれば相対的な価値は変化しません。要は為替レートは比較的安定した状態を保つ事が出来ます。

一方、増えたお金が実体経済から切り離されて、金融市場に滞留しているので、極端ばインフレも発生していません。インフレになっているのは金融市場や株式市場、現物市場などに限定されています。

■ 新たなバブルは何処で発生し崩壊するのか? ■

メディアは株式相場を経済の一つの指標にしています。
毎日、株価がニュースで報道されます。

一方、世界の資金の多くは国債市場に投資されています。国債市場は株式市場よりも規模が巨大なので、世界の資金の多くは国債市場にプールされています。

現在は世界的に国債金利が低水準ですが、これは裏を返せば国債価格が高止まりしてうるとも言えます。例えば、アメリカの10年債の金利が現状は3%弱ですが、一昔前は6%~7%が普通でした。国債価格はその時代から比べて値上がりしています。実際の国債価格のい変動は大きくないので、これがバブルかどうかは、国債価格が暴落した時に初めて分かります。

但し、国債の信用は容易には揺らぎません。
その国がデフォルトしない限り、国債は償還まで保有すれば必ず換金出来るので、無価値になる事が無いのです。(但し、インフレの進行で損失は発生します。)

■ 幻想が支える世界 ■

結局、現在の世界は「国家の信用」という幻想に支えられている様です。

国家への信用が、国債の信用を生み出し、通貨の価値という幻想を支えている・・・。

「信用」って何と考え出すと、無限ループにはまる問題ですね。こうして、明確な答えが見つからない事が、実は通貨の価値の源なのかも知れません。


本日はとりとめのないヨタ話でした。