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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

オリンピックが来る度に・・・ロシア周辺国の混乱

2014-02-25 08:40:00 | 時事/金融危機
 


ティモシェンコ元首相

■ ウクライナってどんな国? ■

この所ニュースを騒がせているウクライナ情勢。

ウクライナと聞くと、私などは「美し過ぎる首相」と呼ばれたティモシェンコ元首相の美貌が頭に浮かんでしまう「パブロフの犬」と化していますが、最近のニュースの獄中の彼女の映像は、随分と苦労の様子が伺えます。

社会化の授業では「ヨーロッパの穀倉地帯」と習った記憶がありますが、その他にウクライナと言っても特には思い浮かぶ事はありません。

■ ヨーロッパとロシアの狭間で ■

現在のウクライナは1991年に旧ソ連が崩壊した時に独立して出来た国です。

ソ連から引き継いだ5000発の核兵器を有する列記とした核保有国であり、中国の空母「遼寧(りょうねい)」を建造したのもウクライナです。「ワリャーグ」という名で旧ソ連時代に建造が始まりますが、完成前に廃船となり、艤装を外してスクラップとして中国に売られました。

軍事的には決して弱小国家では無いウクライナですが、独立以来混乱が続いています。その混乱の原因は、ウクライナがロシアとヨーロッパの狭間に存在するから。

ウクライナ国民の少なからぬ人達は豊なヨーロッパの一員になる事を望んでいますが、ウクライナのロシア系住民などはロシアとの関係を重視しています。ウクライナは独立以降ヨロッパとのつながりを深めて行きますが、これをロシアが面白く思うはずがありません。

特にウクライナにあるレーダー網や核兵器などが欧米側の陣営に組する事となれば、ロシアと欧米諸国の軍事バランスは大きく崩れます。この為、ロシアはウクライナとグルジアのNATO加盟は断固として認めてはいません。戦争も持さないという強硬な姿勢を貫いています。(ロシア自身はNATOの準加盟国ですが)

極論すれば、ウクライナ問題とはウクライナの保有する核ミサイルの目標がヨーロッパを向くのかロシアを向くのかの問題だとも言えます。両陣営とも経済援助をチラつかせて、ウクライナの歓心を引こうと必死なのです。<補足> ウクライナは旧ソ連からの独立した時に5000発の核兵器を保有する世界第3位の核保有国でしたが、1996年に全ての核弾頭の管理をロシアに移管。弾頭はロシアに移送されいました。(スミマセン)

■ 内紛とカラー革命 ■


ヤヌコビッチ大統領


ユシチェンコ元大統領


2004年の大統領戦でウクライナの国内は大混乱します。クマチ大統領の後継者のヤヌコビッチと、親欧米派のユシチェンコが僅差を争いました。この選挙で不正があったとして、キエフなどでユシチェンコ派の大規模なストライキが発生します。これを「オレンジ革命」と呼びます。

欧米の政治干渉もあり、再選挙が行われら結果、ユシチェンコが大統領の座を獲得します。
その後、ユシチェンコは天然ガス関係のエネルギー企業の経営者で政治家としても国民に人気のあったティモシェンコを首相に迎えます。彼女は「ガスの女王」と呼ばれていました。

■ ロシアの干渉 ■

これを面白く思わないロシアは陰険な手段に出ます。それまでウクライナでは市場価格の半値程度で供給していたガスを市場価格同等に値上げしたのです。

ロシアのガスプロムとウクライナの交渉は決裂し、ロシアはウクライナ向けのガスのパイプラインのバルブを閉めてしまいました。実はロシアからヨーロッパに向かうパイプラインはウクライナを経由しているので、ウクライナへのガスの供給を遮断するという事は、ヨーロッパへのガスを止めるのと同じ意味を持ちます。これによりウクライナのみならず、西ヨーロッパ諸国も震え上がります。

ユシチェンコ大統領はロシアに出向いて交渉をしますが、その結果は好ましく無く、空気を読む事に長けていたティモシェンコもユシチェンコの対応を非難し始めます。経済的スキャンダルも発覚したティモシェンコは首相を解任されます。

一方で、2006年の撰選挙でユシチェンコ派は大敗をきします。大量の票を獲得したティモシェンコは彼と再び連立しっようとしますが、ヤヌコビッチが3党連立で政権を獲得します。

ティモシェンコはその後首相時代の不正が発覚し、刑務所に収監されています。

■ ヤヌコビッチ政権の崩壊 ■

しかし、親ロシア派のヤヌコビッチ政権では親欧米派の国民が納得しません。ウクライナの政情は以前不安定な状態が続きます。

EU諸国やアメリカはウクライナの親欧米派を経済的にも支援しています。アメリカなどはウクライナから移住した人達も多く、彼らは資金的にも、あるいはロビー活動でもウクライナの親欧米派を支援したと言われています。

昨年末頃からウクライナの国内情勢は急激に不安定化しましたが、2月に入って親欧米派の国民の暴動が各地で過激化します。

ヤヌコビッチは軍や警察によって鎮圧に当たりますが、これを欧米諸国が強烈に非難します。そして、ついにヤヌコビッチ政権は崩壊し、彼は逃亡する事となります。

■ どうしてオリンピックと重なるのか? ■

今回、ヤヌコビッチ政権を攻め立てる欧米の動きに対してロシアは大きく反論していません。これには訳があったと私は睨んでいます。

それはオリンピックです。

丁度ソチオリンピックに合わせるかの様にウクライナ情勢は激化しています。ロシアは本来はもう少し強気にヤヌコビッチ政権を支援するハズですが、西側諸国にオリンピックのボイコットなどの政治的行動を取られる恐れがあったので、強い姿勢に出られなかったのでは無いでしょうか?

これには前例が有ります。2008年8月7日、グルジア軍がの南オセチアに侵攻を開始します。このタイミングが丁度、北京オリンピックの開幕と重なり、プーチンは北京、メドベェージェフは休暇中というタイミングでした。当時のグルジア大統領はアメリカに支援を受けるサアカシュヴィリでしたが、彼は欧米の支援を当てにして南オセチアに侵攻したとも言われています。

ところが、ロシア軍の反撃は思いの外迅速で、小規模な戦闘の後にグルジア軍は撤退を余儀なくされます。CIAはロシア軍の動きを事前に察知してサアカシュヴィリに警告したがこれを彼が無視したとの噂もあります。

当時はロシア軍がオリンピックのドサクサに紛れてグルジアに侵攻したという正反対の情報が西側マスコミに流れましたが、事の顛末は全く逆で、オリンピックに便乗したのはグルジアと欧米諸国だったのです。

これなどもオリンピックを人質に取って中ロの反抗を阻止する狙いがあったと思われますが、ロシア軍の迅速は反撃の前に失敗に終わっています。

■ 全ては霧の中ですが・・・ ■

この様な国際謀略の話は真実は霧の中であり、私達は結果を適当に繋ぎ合わせて空想を膨らめるだけに終わります。

ただ、イケメンだったユシチェンコの顔が何故かボロボロになっていたり(一説には毒を盛られたとか・・・)、気になる事は沢山あるのです。

ただ、私などは「陰謀論者」ですから、これらのイザコザですら、誰かにコントロールされていて、世界がそれらしく変わって行く様に見せる「演出」なのではないかと疑ってもいます。

日本の右傾化と日中韓の対立などは、外から見れば同様に見えるのかも知れません。渦中に居る我々は、自分達の意思で未来を選び取っていると思っていますが、案外誰かの手の平の上で踊らされているだけなのでしょう。


最近、アメリカが日本に冷たい様ですが、太平洋戦争前夜も、アメリカの手の平返しで日本は戦争へと駆り立てられて行きました。同じ過ちは繰り返したくないものです。

尤も、米国債を大量に購入すれば、オバマ大統領も笑顔ですっ飛んで来るのでしょうが・・・。