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暴動に怯えるアメリカ・・・多くの人が危機感を持っている

2013-07-17 05:51:00 | 時事/金融危機


■ 暴動の発生に怯えたアメリカ ■

17才の黒人少年を、ヒスパニックの自警団の男性が射殺した事件の判決で、
被告のジンマーマンに無罪判決が出た事で、アメリカでは各地で抗議デモが起きています。

大方は半分お祭り気分のデモ行進ですが、
一部では暴徒化した集団が店舗を襲ったり、
アメリカ国旗を燃やしたり、街頭に火を放ったりしています。

判決を前にしてカリフォルニアでは警察が非常事態宣言を発令し、
警察の威信に賭けて、暴動を未然に防ぐ警備体制を敷きました。

こうした策が功を奏して、大規模な暴動や衝突は起きていません。

判決を前にして、「無罪だったら暴動に発展するかも知れない」という予測もあり、
アメリカのメディアと国民は、固唾を飲んで判決の結果に注目し、
その後のデモや一部の暴動の報道に神経を尖らせました。

ほぼ、全てのメディアが終日、各地のデモのニュースを流し続けました。




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放火や破壊、店舗の襲撃などが小規模ながら発生しています。


■ 暴動なんて起きなかったじゃないかと主張するニューズウィーク ■

ニューズウィークは一連の経過に対して、
「心配された様な暴動は起きなかったじゃないか」と主張しています。


「黒人射殺、無罪で暴動はでっち上げ?」
(NwesWeek 2013.07.16)

http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2013/07/post-2994.php

<全文引用>

判決後、抗議デモ10+ 件が全米で過熱していると一部のメディアは報じているが、実際は「民衆の暴走」には程遠い
2013年7月16日(火)18時25分
デービッド・ウィーゲル


無罪となったら、暴動が起きるかもしれない――そんな懸念が漂うなか、米フロリダ州で話題の裁判の判決が下された。

 被告は昨年2月末に黒人の高校生トレイボン・マーティンを射殺したジョージ・ジマーマン。同州サンフォードの裁判所は13日、正当防衛の主張を認め、ジマーマンに無罪の評決をした。

 ジマーマンは事件当初、マーティンを不審者と思い込んで追跡し、もみ合った末に射殺したと供述。警察も彼の正当防衛の主張を受け入れて釈放したが、マーティンが黒人だったことから、事件は人種差別問題に発展した。

 米ニュースサイトのドラッジ・リポートは、判決後に起きた抗議デモの写真をトップページに掲載し、「怒りに揺れるアメリカ」というイメージを生み出した。しかしこの写真を注意して見ると、周囲の建物が燃えているわけでもなければ、警官めがけて石や瓶が投げつけられてわけでもない。

 英デイリー・メール紙の14日付の電子版も、「判決から2日目の夜も、アメリカは怒りに突き動かされている」という見出しを掲載したものの、記事の中では下記のように記している。


 裁判が行われたフロリダからアトランタ、ワシントン、ニューヨークまで、各地で抗議デモ10+ 件が行われたが、大半は平和的なものだった。ロサンゼルスでデモ隊が高速道路を一時占拠したり、ニューヨーク市内のタイムズスクエアに数千人が結集して1時間近く道路が通行止めになったりはしたが。


 高速道路を占拠して機能停止に陥らせたとしても、ドラッジ・リポートや他のメディアが想定していたような暴動には程遠い。

 しかし、ドラッジ・リポートなどが伝える情報しか見聞きしていなかったら、黒人暴動は頻繁に起きているのに被害者が黒人という理由でメディアに無視されていると勘違いしかねない。

 判決後、警察が都市部での抗議行動が過熱しないよう手を打ったのが功を奏した面もある。しかし実際、状況が悪化したケースがほとんどなかったのは驚くべきことだ。

 これまでは何かにつけて、「もし~がうまく行かなければ、都市部の黒人市民は暴動を起こすだろう」と言われてきた。08年の米大統領選では、「バラク・オバマが負けたら暴動が起きるかもしれない」と言われたし、12年にも同様の懸念が指摘された。

 しかし今回通行止めを引き起こした抗議活動は、国を引き裂くような怒りの行動とは違う。今回パニックを煽ろうとしている人々がそう思わせようとしているだけだ。

© 2013, Slate

<引用終わり>


■ 暴動が起こらなかったのでは無く、想定された様な大規模な暴動が起きなかっただけ ■

この記事は表面上は、不安を煽る人達や報道を非難したものです。

しかし、冒頭に紹介したいくつかの映像の様に、
全米各地で小規模な破壊や略奪や放火などが発生した事も事実です。
多くのアメリカ国民がニュース映像でこららの事実を知っています。

ですから、ニューズウイークの記事は、「想定した様な大規模な暴動は起こらなかった」
そう、表現するのが妥当かと思います。

言い換えるならば、アメリカ国民は「大規模な暴動の発生をも想定に入れていた」のです。

■ アメリカ人が徐々に危機感を募らせている ■

日本の報道だけ見聞きする私達には、アメリカのピリピリした空気は伝わりません。
しかし、リーマンショック以降拡大し続けるアメリカの格差に対する不満が、
最終的には大きな暴動となって噴出する事に、多くのアメリカ人が怯えています。

今回のデモでも、黒人以外の人種がデモに参加しています。
ワシントンやニューヨークなどではリベラル派の知的な人達が多い様ですが、
地方都市などでは、明らかに貧困層がデモに乗じて日頃の不満を発散している様です。

相変わらず、日本のメディアはこういったアメリカの実情を黙殺し続けますが、
ウォールストリートとワシントンだけがアメリカではありません。

私達は注意して報道に触れなければ、事実と違う世界を信じ込んでしまいます。
これは、日本の経済の現状と、アベノミクスの幻想にも共通した事が言えます。


youtubeで世界の映像がほぼリアルタイムで見られ、
そして、個人がアップした生の映像や音声に触れられる現在、
私達は、ちょっとしたコツさえつかめば、世界の本当の姿の一端を垣間見る事が出来ます。

何を信じて、何を疑うのか。
これからの社会で生き延びるには、個人の情報分析力が問われるのかも知れません。