■ 期待通りのゴタゴタを演じるギリシャ ■
ギリシャは相変わらずのグダグダが続いています。
5月15日の国債償還分は、4億3500万ユーロ(5億5200万ドル)。
これは、債務交換に応じなかったヘッジファンドへの召還分です。
これに先立って、欧州金融安定化基金(EFSF)は9日、
ギリシャに52億ユーロ(約5300億円)の融資を実施することを決めています。
ギリシャはこの資金提供されながらも、
ギリギリまで召還するかしないかで、世界をヤキモキさせました。
結局はヘッジファンドが4億3500万ユーロを
美味しく頂いて5月デフォルト危機は収束しています。
次は再選挙の結果、緊縮反対派が過半数を取れるかどうかに注目が集まります。
彼らの主張はこうです。
緊縮財政は受け入れられない。
でも、ユーロには残りたい。
はっきり言ってガキです。
お金を沢山使っちゃって、借金がいっぱいになっちゃったけど、
お小遣いを削ってまで、お金を返したくないんだ。
それでね、良いこと考えたんだけど、
お小遣いを今までより沢山くれたら、
お金を返せると思うんだよね。
だから、ママ、お願い・・・。
これがギシシャ国民の共感を呼んでいます。
■ 民主主義の末路は衆愚政治 ■
多数決で国の政治を決める民主主義は
絶対的な危機に対応出来ません。
国民は身勝手ですから、増税には反対ですが、
一方で福祉などの既得権を手放す事を拒否します。
ですから国家の債務が積みあがった時に、
債務を抜本的に減らす事が出来ないのです。
好景気と不景気が交互に訪れる景気循環が作用していれば、
政府が積み上げた債務は民間の債務を肩代わりした事になり、
景気回復局面で、税収として民間から政府にお金が返ってきます。
しかし、金融システムが崩壊する様な恐慌状態が発生した場合、
民間の景気回復は望めませんので、
政府の債務は、無限に膨らんでゆきます。
1920年代の世界恐慌を例に取れば理解し易いのですが、
各国で金兌換の復帰など様々な政策が試されますが、
結局は戦争経済による景気刺激という出口しか残されていませんでした。
その結果のインフレによって、各国は債務を圧縮しました。
結局、不特定多数の最大公約数を選ばざるを得ない民主主義は
衆愚政治となってしまう事は、この方が指摘した通りです。・・・あれ?
■ 本来デフォルトとユーロ離脱はセットであるべき ■
ギリシャのゴタゴタを世界は呆れて見ていますが、
実はどの国も、ギリシャの様な状態になれば、
政治が機能しなくなる事は明確です。
通常はデフォルトで借金をチャラにして出直してきました。
イギリスはデフォルトの常習犯ですし、
最近ではロシアやアルゼンチンもデフォルトしています。
デフォルトによって借金がチャラになるばかりで無く、
自国通貨が下落するので、輸出競争力が上がり、
デフォルト後の混乱期を経た後に、経済は好転するのです。
ところが共通通貨ユーロを導入したままでデフォルトを選択すると、
結局「通貨安」という手段が取れないので、
国内の民間債務の圧縮が不可能で、景気が回復できません。
ですからデフォルトとユーロ離脱はセットでなければ意味が無いのです。
この点をギリシャ国民は全く理解していません。
いえ、彼らは理解していてその上でデフォルト後のEUからの支援を要求しているのです。
大衆は常にフリーランチを求めています。
「大衆の声に耳を傾ける」というのは、正しい事の様に言われていますが、
それでは国家が滅亡してしまいます。
■ ギリシャは日本の鏡 ■
ギリシャ人はバカだなあ・・・日本人の多くがそう考えています。
しかし世界から見れば、GDPの200%という国債残高を抱えながら、
増税も福祉削減も拒否する日本人も、同じ姿に写っているはずです。
日本は日銀のデフレ政策で、経済成長を犠牲にして、
日本国債の延命を図っていますが、
これは持続可能な政策では無い事は明確です。
しかし、民主主義において国民は、破綻が明確になるその時まで、
現実から目を背けて、自分の利益の最大化だけを主張し続けます。
そして、既に世界の多くの先進国で、
ギリシャ化や日本化が進行しているのです。
私達が現在直面しているのは、資本主義や市場原理主義の限界では無くて、
民主主義の限界なのかも知れません。