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燃え上がる中東・・・中東の春」などと書いたマスコミよ、あなた達は何を見ているのか!!

2011-11-26 07:30:00 | 時事/金融危機
 



■ 「中東の春」はロスチャのイメージ戦略 ■

チェニジアを発端とする一連の中東の市民蜂起を、
世界のメディアは「プラハの春」になぞらえて「中東の春」と書きたてました。

「プラハの春」はソ連軍の戦車によって無残にも蹂躙されましたが、
「中東の春」は、穏やかな季節を過ぎて「烈夏の季節」に突入しつつあります。

私は兼ねてより、部族社会と宗教対立の残る中東諸国で
独裁的政権が倒れた後に訪れるのは、際限の無い内乱状態だと書いてきました。
「中東の春」などは、政権崩壊を仕掛たロスチャのイメージ戦略だと。

■ 暴力の連鎖が止まらない ■

ムバラク政権が倒れたエジプトでは、
イスラム系とキリスト教徒の一派であるコプト教の対立が激化し、
さらには、比較的良好だった軍部に対して人々の反感が高まっています。

これはムバラクの独裁によって抑えられていた民衆の不満が
ムバラク政権という分かり易い標的を失った結果、
エジプトの社会の根底に横たわる宗教対立や、
エジプトの真の政治的支配者である軍部に対する不満が噴出した結果です。

カダフィーが虐殺されたリビアでは、内戦で国内に大量の武器が出回っています。
これから部族間の対立が激化するでしょう。

シリアでは一般国民の死亡ばかりがニュースで報道されていますが、
実情は、政府軍と反政府軍に分かれた内線状態になっています。
シリアはイスラエルに隣接する為、
アサド政権が崩壊すると中東情勢は一気に不安定化します。


■ 中東の暴動は裏から操られている ■

これら中東の暴動は、表面的にはそれぞれに国民がバラバラに蜂起した様に見えます。
しかし、そこには一貫した方向性が見られます。

それは、アメリカの影響を中東から排除する事です。
第二次世界大戦後、中東の石油を支配したアメリカの政策は巧妙で、
イスラエルと、サウジアラビアなどのアラブ穏健派と、
リビアやシリアなどのアラブ恐慌派を対立させて、
「三すくみ」のパワーバランスによって不安定の上の安定を作ってきました。

原油価格を操作する時は、これらのバランスを少し崩して
中東戦争を誘発したり、パレスチナを上手くけしかけて、
イスラエルとの間に限定的な紛争を演出してきました。

「中東の春」は、先ずエジプトというイスラエルに隣接する
アラブ穏健派の大国からアメリカの影響は排除しました。

次にリビアというアラブ強硬派を崩しに掛ります。
リビアのカダフィーは反米のポーズを取っていましたが、
裏ではCIAやイギリス情報部のMI6と密接な関係を保っており、
さらには、カダフィー自体が血筋的にはユダヤ人(祖母がユダヤ人)で在る事から、
実はイスラエルとも裏で繋がっていました。
カダフィーの危機に際して、アフリカから傭兵を手配したのはイスラエルの会社です。

リビアが崩壊した後に中東に残されたアラブ強硬派はシリアです。
シリアはアサド大統領の息子が世襲によって政権を引き継いでいます。
前アサド大統領は、カダフィーと並ぶ反米姿勢を示していましたが、
イラク戦争を期に、アメリカの前に屈しています。
それでにどうにか、政権を息子に譲り渡したのですが、
軍事独裁に対する国民の不満が噴出し、
今や政府軍と反政府軍に分かれて内線状態に陥っています。

シリアはゴラン高原をイスラエルに占領されていますが、
アサド政権が盤石だった時代は、ゴラン高原の治安は維持され、
イスラエルとの国境は安定していました。
現在はパレスチナ人がゴラン高原のイスラエル国境を越境するなど、
イスラエルとの間の安定性が不確かなものとなています。

■ サウジアラビアで暴動が始まった ■

中東の民主化運動?の総仕上げは、サウジアラビアです。
アメリカの傀儡である現王家は、
戒律の厳しいイスラム教のワーハーブ派です。
一方、油断地帯が集中する東部の住人はシーア派です。

サウジ王家は、国王が長期入院中で、
先日、国王の弟の皇太子が病死しました。
サウジ王家は世代交代の不安定な時期を迎えています。

サウジアラビア周辺ではイエメンでサーレハ大統領が政権を手放しています。
サーレハ大統領はカダフィーやフセインらと共にイスラム社会主義を推進した人物です。
尤も、イスラム社会主義は世俗的なイスラム主義に変質してしまいましたが・・・。

さらにサウジの隣に浮かぶ島国のバーレーンでもシーア派の住民が蜂起しています。
サウジアラビアは軍隊を派遣してこの運動を弾圧しますが、
拘束した一般人を拷問した事明らかになるなど、
さらに暴動が広がる気配が濃厚です。

サウジアラビアは国内のシーア派住民に、
これら周辺国の影響が及ぶ事を恐れていますが、
今週になってサウジアラビア東部の町で、
シーア派住民と警官隊の衝突が発生しています。

サウジアラビアは中東最大の産油国です。
アメリカの傀儡政権であるサウジ王室は、
シーア派住民の蜂起に怯え、
女性蔑視の政策を緩和したり、
国民の不満を抑える事に必死です。

しかし、サウジの内乱も「仕掛けられる」のですから
防ぐ手立てはありません。

■ 中東から撤退するアメリカ ■

先のヒラリー論文にもある様に、
アメリカは中東における影響力を維持出来なくなっています。
今年の12月をもって、イラク駐留も終了します。

サウジアラビアには米軍基地がありますが、
イスラム教の聖地であるサウジの地にある米軍基地に対する
イスラム教徒達の反感は、日本人が想像する以上のものです。
アメリカの中東における影響力が後退する中で、
中東の米軍基地はだんだんと維持不可能となってゆくでしょう。

■ イランに圧力を掛けるフランスの不思議 ■

フランスのサルコジ大統領は、ロスチャイルドの使いパシリです。
リーマンショック後の彼の活躍には眼を見張るものがあります。

フランスの中に引き籠っていたシラク政権とは180度異なり、
ドイツのメルケルの尻を蹴飛ばし、イギリスのキャメロンに喧嘩を売り、
中国を誘ってIMFのSDRを確立しようとしています。

そのフランスが、イランからの原油の禁輸処置を取る様です。
従来、イランとフランスの関係は良好でした。
イラン革命の父、ホメイニ氏の亡命先もフランスでした。

アメリカの影響力が後退した中東で、
フランスは積極的な外交を展開するかに思えましたが、
イランとの関係を悪化させる、原油取引の中止は意外な展開です。

近年、イランとの関係が良好なのは、中国とロシアです。
すこし深読みすると、ヨーロッパと中露で
中東の石油利権の住み分けをするのかも知れません。

イランとイランの勢力下にはいるイラクの石油は中露。
リビアとトルコはヨーロッパ。

スーダンのPKOにNATOが積極的なので、
アフリカの利権はヨーロッパが掌握するのでしょう。

問題はアメリカが撤退した後にサウジアラビアなど
アラビア半島の利権が中露なのか、ヨーロッパなのかですが、
シーア派という流れから行くと、中露なのかなとも思います。

■ 日本の石油はどうするのか? ■

日本は現在、原油の中東依存度が高い状態です。
アメリカが太平洋国家に変貌する中で、
世界のGDPの1/2を占めるこの地域を支える石油はどうするのでしょう?

太平洋地域の大きな油田は、インドネシアとブルネイにありますが、
これだけでは足りないでしょう。

アメリカも産油国ですが、陸上の有望な油田は開発され尽くしているので、
もっぱらメキシコ湾の海底油田の開発に期待が掛ります。
(一説には、北西部に巨大油田が隠されているとの噂も)

アメリカがミャンマーにご執心なのは、
ミャンマーに有望な海底油田があるからだとも言われています。
中国もミャンマーの油田に注目しています。

東シナ海や南シナ海にも油田がありそうですが、
ここら辺は、中国との揉め事の原因になりそうです。

■ ハイパーインフレはやはり原油価格で操作される ■

現在世界中で通貨の信任が揺らいでいます。
もし、通貨価値が暴落する事があるならば、
原油価格は高騰します。

原油はあらゆる物の原料やエネルギーですから、
原油価格の高騰によりインフレは加速します。

各国はどうにかして原油を手に入れようと必死になるでしょう。
この時、ドルが原油の決済通貨として機能していれば、
ドルの需要が大発生して、ドルとアメリカは一気に復活します。

一方、ヨーロッパや中露がドル不足に喘ぐ事になります。

中東の政治地図の塗り替えは、実は石油決済通貨の多様化に連動していそうです。
ユーロ、元、ルーブル、ドルでそれぞれ決済が行われるようになり、
石油に裏打ちされた通貨が通貨危機で生き延びて、
SDRに組み込まれるのかも知れません。

■ 急激な円安とインフレに注意 ■

現状、日本は円高に喘いでいます。
しかし、一度、原油価格が高騰し始めたら、
円高こそが、日本の生命線になります。

財政危機によって日本国債が暴落したら、
円も同時に暴落します。

急激な円安によって輸入価格と原油価格は高騰します。
石油ショック後に欧米を襲ったスタグフレーションの巨大な波が日本を襲います。

■ エネルギーコストが高騰する ■

さてこの様な状況過で、原発を止め続ける事は出来るでしょうか?
国民は欲のままに動く存在です。

月々の電気代が2倍、3倍になってゆく状況では、
「原発も止む無し」という現実的な判断をするでしょう。

しかし、震度6で確実に原発が壊れる我が国では、
いずれ第二、第三の福島原発事故が発生し、
その度に、国土のいくらかが居住不能となり、
農地のいくらかが、耕作不能となります。

低線量率放射線の安全性(危険性)の問題を、
正面から論議し、その危険性をどこまで許容するか
国民的コンセンサスを現在確立しておかなければ、
日本は原発によって滅ぶ(危険性が存在しなくても)かも知れません。

日本のマスコミは中東情勢や石油情勢を1970年代に比べ、軽視しています。
いつでも世界は石油情勢によって動いている事を、
国民の目から隠しています。

「中東の春」などという世迷言を書き続けるメディアなど、消えて無くなってしまえ!!