いつもよりお洒落して、ぐっと綺麗な若いお母さん達とすれ違う。
その手をぎゅっと握っているのは、少し大きめの真新しい制服に身を包んだ小さい小さい子供達。
襷にかけたカバンの肩紐を引っ張って齧っている少し不安気な表情がいとおしい。
その側を、ちょいと大きすぎる詰襟姿の中学生が追い越していく。
ズボンの折り目やパリッとした学生帽が初々しい。
満開の桜がちらりほらりと舞う道での通りすがりの出会いだけれど
いつもと違うまっさらの色。
「なりたいものはなんですか?したい事はなんですか?」と聞かれたら
目をキラキラと輝かせながら、夢一杯に答えられるといいね。
なんて気分にさせてくれるから、桜の季節は心躍る。
現実は心地よい事ばかりではないのだと、少しは知っているのだけれど
夢見心地の薄桃色に心惑わされるその感覚は
一瞬、異次元への旅へと誘う妙薬の香りを嗅がされたのと似ている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ま、そんな妙薬の香りなんぞ知りませんが
今年は咲きはじめた途端に急な寒の戻りで、どうも花見の気分にはなれなかったのに
やはりそこは桜花。独特の魔力があるようで、束の間虜にさせられてしまった。
かぁちゃんを車椅子に乗っけてクリニックへ向かう道すがら
耳元で「桜、綺麗やねぇ。」と囁いてみる。
かぁちゃんは私の言葉を全く無視して、ひたすら前を見つめたまま。
前は花の季節になるとあれ程はしゃいでいたのにねぇ。
「前はよう喋ってくれたのになぁ。」と言ったのはクリニックの先生。
「おかぁちゃん、もうここ来て8年もなるんやなぁ。」なんてカルテを見ながらしみじみと。
「笑ろてぇや。今日は笑えへんの?いっつもにっこぉって笑ろてくれるのに。」
先生、かぁちゃんのほっぺをつんつんつつきながら、ちょいとがっかり。
いやぁ先生、かぁちゃんにふられはった
なんて、しみじみ言ってる暇はない。
桜はちらりほらりと風に舞い・・・
いや、はらはらと舞い散り・・・いやいや、舞い乱れ・・・
いやいやいや、舞いすぎてますから!吹雪いてますからっ!!
さて、春休みが終わった
さてさて、今日は始業式。ぽんは高校3年生、ろんは無事に3回生
さてさてさて、私はこっそり独りで始動式
・・・きゃはっ・・・
その手をぎゅっと握っているのは、少し大きめの真新しい制服に身を包んだ小さい小さい子供達。
襷にかけたカバンの肩紐を引っ張って齧っている少し不安気な表情がいとおしい。
その側を、ちょいと大きすぎる詰襟姿の中学生が追い越していく。
ズボンの折り目やパリッとした学生帽が初々しい。
満開の桜がちらりほらりと舞う道での通りすがりの出会いだけれど
いつもと違うまっさらの色。
「なりたいものはなんですか?したい事はなんですか?」と聞かれたら
目をキラキラと輝かせながら、夢一杯に答えられるといいね。
なんて気分にさせてくれるから、桜の季節は心躍る。
現実は心地よい事ばかりではないのだと、少しは知っているのだけれど
夢見心地の薄桃色に心惑わされるその感覚は
一瞬、異次元への旅へと誘う妙薬の香りを嗅がされたのと似ている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ま、そんな妙薬の香りなんぞ知りませんが

今年は咲きはじめた途端に急な寒の戻りで、どうも花見の気分にはなれなかったのに
やはりそこは桜花。独特の魔力があるようで、束の間虜にさせられてしまった。
かぁちゃんを車椅子に乗っけてクリニックへ向かう道すがら
耳元で「桜、綺麗やねぇ。」と囁いてみる。
かぁちゃんは私の言葉を全く無視して、ひたすら前を見つめたまま。
前は花の季節になるとあれ程はしゃいでいたのにねぇ。
「前はよう喋ってくれたのになぁ。」と言ったのはクリニックの先生。
「おかぁちゃん、もうここ来て8年もなるんやなぁ。」なんてカルテを見ながらしみじみと。
「笑ろてぇや。今日は笑えへんの?いっつもにっこぉって笑ろてくれるのに。」
先生、かぁちゃんのほっぺをつんつんつつきながら、ちょいとがっかり。
いやぁ先生、かぁちゃんにふられはった

なんて、しみじみ言ってる暇はない。
桜はちらりほらりと風に舞い・・・
いや、はらはらと舞い散り・・・いやいや、舞い乱れ・・・
いやいやいや、舞いすぎてますから!吹雪いてますからっ!!
さて、春休みが終わった

さてさて、今日は始業式。ぽんは高校3年生、ろんは無事に3回生

さてさてさて、私はこっそり独りで始動式

・・・きゃはっ・・・
