



かの国では電気の灯りのない日を何日も経験した事がある。
もうあまり経験出来なくなってしまった“夜の闇”
闇の中だからこそ見つけられた物があった。
月の光の青い輝き。
煌く星と煙るようなミルキーウェイ。
そして蝋燭の揺らめく灯り。
灯りは道しるべ。
一年で最も夜の長い冬至を過ぎて
少しずつ太陽の光が長くなり始める約束事。
その時期にクリスマスを祝うようになったという。
日の光は希望。
クリスマスは私にとってはそういう日なのだと思う。
闇の中の灯りはどれも温かく、迷子にならないように包み込む。
クリスマスを迎える前に一年を振り返る。
沢山笑った事だけ思いだして幸せ見つける。
心がほっこりした事だけを思い出せる。
いい事いっぱい見つける。
うん・・・いいね。
ほら・・・幸せでしょ?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そして私は、昨日、クリスマスを前に見つけた。
初めて見つけた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あ、あたまの後ろの横っちょに
じゅ・・・じゅ・・・十円はげ!・・・

なんでやねんっ!!
ク、クリスマスを迎えるっちゅうのに、はげてどうすんねんっ!!
なんだ?なんだ?
高校時代にハレルヤコーラスの練習中。
どうみても鬘だった素晴らしいテノールの音楽教師の事を
陰でこっそり“ハーゲルヤ♪ハーゲルヤ♪”と歌った報いか?
30年以上も昔の報いが、遅れ遅れて今やって来たのか?
けど、先生、私はファンだったんだよ!
・・・って何のこっちゃようわからんっ

しっかし、10円禿って突然襲ってくるのね。
噂には聞いていたけど、まさか私が餌食になろうとは。
え~っ!え~っ!どねんしよう!!
これってどうやった治るですかぁ!?
「どねんしよ!どねんしよぉ!大変やぁ!」
と、背の君に向かって叫んだら彼は言った。
「大丈夫や!黒いマジック塗っといたら分からへん!!」
・・・・・・・・・・・・・・大丈夫な事あるかぁ
