アンサンブル・ド・ミューズ ニュースレター

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ある衝撃…♪

2019-09-02 09:16:46 | Weblog
以前から書店の文庫本のエンド台に積まれているのを目にしてはいたんですけど…。
直木賞と本屋大賞を受賞した作品だってことは知ってはいたんですけど…。
目にするたびにそのヴォリュームに恐れをなしてしまって…。
結局、読み慣れた好きな作家の作品や好きな時代物などを読んでいるうちに忘れていたのです。
でも、最近になってふとしたきっかけがあって、じゃぁ読んでみよう、と…。

               

『蜜蜂と遠雷 上・下 恩田陸箸 幻冬舎文庫

目次の次に国際ピアノコンクールの1次予選から本選までの課題曲が紹介されている。
次に主要人物の1次予選から本選までの選択曲=プログラムが紹介されている。
そして冒頭。
うわわわわぁ…、なんて抽象的なのに明晰なの…
それが第一印象でした。
まずは国際ピアノコンクールに向けたオーディションの場面になります。
あ、この審査員の気持ち、心境、わかるわぁ…、程度の差こそあれ、ね
主人公のひとりである風間塵登場。
うぅっひょぉぉぉ…
それからもう一人の主人公栄伝亜夜の少女期のエピソード、さらに高島明石がコンクールに挑戦を決めるまでのエピソード。
第1次予選前夜のパーティーに主人公の最後のひとり、マサル・カルロス・レヴィ・アナトール登場。
何人ものコンテスタントに交じって22番高島明石、30番マサル・カルロス、81番風間塵、88番栄伝亜夜の順に演奏。
第2次予選には4人とも残り、第3次予選に進んだのは高島明石を除く3人。
その3人が本選まで残り…。
ま、物語の荒筋はともかくとしてね。
第1次予選から本選まで、客席で聞いている明石やマサル、亜夜、審査委員がそれぞれに演奏から受けた音の印象が語られるところがあるの。
その文章がね、というよりその表現がね、豊かで明晰で、まるで協奏曲みたいなのよ。
たとえば、ある曲のあるパートについて、さまざまな比喩によって表現されているんだけど、その言葉の鮮やかなこと
あぁ、そう、きっとそんな風に聞こえるのね、そうなのね、と引き込まれていく。
まるで私自身が主人公たちといっしょに、ホールの客席に座って一緒に聞いているような気分になっていく。
正直にいってしまえば、第1次予選前夜のパーティーのシーンで結果は大方見えてるのよね。
ただその結果に至るまでのプロセスが気になる、主人公たちのそのときどきの思いを知りたい、そんな演奏をする背景を知りたい。
そんな風につかまってしまって、一気呵成に読んでしまいました。
読了後、しばらくはこの作品に酔っているような錯覚をおぼえていましたね。
そして、昨日は合同リハーサルの日だったんですけど、スタジオまで移動するあいだ、頭のなかでずっとガーシュウィンのラプソディー・イン・ブルーが鳴っていました
なぜいま、ガーシュウィンなんだ
リハーサルを終えて、帰りの電車に乗って席に座るとまたラプソディー・イン・ブルーが…。
あぁ、そうか、そうなのねぇ…、分かったような気がします。
10数年前、テレビのニュースで流れてきた辻井伸行さんのラプソディー・イン・ブルーを耳にした瞬間の衝撃と同じような衝撃を、この『蜜蜂と遠雷』から受けていたのでしょうね
コメント
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