※ ドイツ ‐ ハンブルク/ハンブルガー・クンストハレ編 (5) ‐ 中欧美術館絵画名作選 (96)
風変わりな作品ばかりを選んでいる訳ではない、が、今回の作品も聊か変、しかもご婦人方の顰蹙(ひんしゅく)を買いそうな気がしないでもない。
展示室で足を止めて見入る酔狂に、誰かさんは 「・・・」呆れ顔で別の展示室へ行っちまった。
描いたのは、フランス・アカデミア美術の大御所ジャン = レオン・ジェローム(1824-1904)、顰蹙を買うかもしれない作品とは 「アレオパゴス会議のフリュネ」(1861年/80×128 cm)。
そもそもアレオパゴス会議とは何ぞや? 古代アテネ、アレスと呼ばれた神の丘に貴族たちの会議所(評議所)が置かれたのだとか、いわば政治機構の中枢だったらしい。
何んと不謹慎な、そこで女性の競売中? なんて疑問がわくのも尤もだが、実は裁判の場面なんだそう。
裸の女性フリュネが被告、青い服の男が彼女の愛人の一人で弁護士のヒュペレイデス、赤い服のおじさん達は裁判官。
罪状は、人間を神と成し不死とするエレウシスの秘儀を冒涜したこと。
それは口実で、高級娼婦の彼女、持ち前の美貌を武器に、助平なおっさん連中を篭絡、巨万の富を得た・・・と、つまり、高額なお遊び代を毟(むし)り取られた腹いせってこと。
ンじゃ、そんな裁判でなんで裸にされたのかって? よくぞ聞いて下された、ソクラテスやプラトンの弟子だったヒュペレイデスの弁舌をもってしても裁判官を説得できない。
窮して彼、「これほどの美に罪はあろうか!」と、大方の意表をついてフリュネの服を引っ剥がせば、これに応えてとっさに顔の方を隠した彼女、果たして吉と出たか凶と出たか・・・。
判決? 二人の戦術にまんまと嵌った裁判官ども、男って阿呆なんだか無邪気なんだか、ねえご婦人方。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1387
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