バロック期におけるフランドル絵画の巨匠ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)と彼の工房が手がけた 「マリー・ド・メディシスの生涯」の二回目。
繰り返しになるが、ギャラリー・メディシスの四囲の壁を埋め尽くす王妃の生涯など24枚からなる大連作、個々の作品のでかさ、縦版が 3.94×2.95 m、横版に至っては 3.91×7.27 m もあって圧倒される。
その二回目は、「♯9 摂政制度」の次作から。 ( ※ : 特に、著名とされる作品。)
♯10 マリーの戴冠式 ※
王のドイツ遠征を前に国内の統治を任された王妃、パリ北部郊外サン・ドニの大聖堂で戴冠式
♯11 アンリ4世の神格化 ※
戴冠式の翌日、暗殺され天に上げられるアンリ4世、9歳のルイ13世が即位、ためにマリーが摂政に
いわゆるアンリ4世の神格化、地面で槍を刺されて苦しむ蛇は暗殺者を象徴
フランスを擬人化する人物が統治を意味する玉を喪服のマリーへ、この国がマリーの手に渡った瞬間
♯12 神々の評議会/マリーの統治
スペインとの同盟のため、神によって選ばれたフランスの統治者マリーの役割を表現
ユピテルとユノー、ミネルヴァなどの神々総出で二匹の鳩=国がとまる世界を表す玉を囲み評議
マリー・ド・メディシスの生涯をルーベンスは、“ 寓意と神話上の人物を、古代を想起させる装飾の中で取り混ぜた複雑な手法を用いて、摂政政治の政治的正当性を確立した ” と、同館のHPにある。
♯13 ユリエールの陥落
オーストリアに占有されていたドイツの町ユリエールを征服
兜を被ったマリーの横でラッパを吹き勝利を伝えているのは名声の神ファーマ
♯14 王女の交換
ルイ13世はスペイン王女のアンヌ・ドートリッシュを妻に
フランスからはフェリペ4世の許にマリーの娘のエリザベートが嫁ぐ
幾度も登場する青いマントの対面する獅子の兜の人物はスペインの擬人像
♯15 摂政政治の至福
輝かしい摂政時代のマリー、左手は、世界を表す球体に手を乗せている
右手は、公正や正義のアレゴリー・寓意である天秤を掲げ、得意の絶頂
♯16 成人したルイ13世
ルイ13世が成人と認められる年齢に達し親政を始めると母子で対立
国政を表す船の舵を引き継いだ冠を戴く13世、胸も露わに船を漕ぐのは、力、宗教、正義、和平
早い話が、評判芳しからぬ王妃を、“ 神話を題材とする寓意的なアプローチによって世俗的に陥ることなく母君としての正当性と尊厳を示した ” ということらしい。
が、凡庸なペトロ、その図体のでかさに 「う~む?」と訳の分からない声を発し、そのうち見上げてばかりで首が痛くなるのである。 (この稿、さらに続く。)
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1051
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