王の画家にして画家の王と呼ばれるピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640/フランドル/バロック)と彼の工房が制作した 「マリー・ド・メディシスの生涯」。
大展示室、ギャラリー・メディシスの四囲の壁を埋め尽くす王妃の生涯21枚に加えて肖像画など3枚、計24枚からなる連作は、作品としての質は別にして、個々のサイズのでかさもあって圧倒される。
その王妃の生涯、「マリーの運命」から始まる。 ( ※ : 特に、著名とされる作品。)
♯1 マリーの運命
誕生の前、ローマ神話の最高神ユピテル(ギリシャ神話でゼウス)と妻ユノー(同じくヘラ)
そして、生死を司る三人の女神がマリーの運命の糸を紡ぐ
♯2 マリーの誕生
名門メディチ家に生まれたマリー、故郷フィレンツェを表す擬人像が手を差し伸べている
♯3 マリーの教育
知恵の女神ミネルヴァの開く本を覗くマリー、足元には楽器や塑像など、芸術科目もあった?
頭上で翼の帽子を被るのは<メルクリウス>
♯4 アンリ4世へ肖像画の贈呈
今でいう見合い写真をアンリ4世が受け取る場面
頭上で見守る二人は、両脇に鷲と<孔雀>が描かれていることからユピテルとユノー
アンリ4世を多情の神でもあるユピテルに、早い話が浮気者になぞらえている
♯5 結婚
フィレンツェでの結婚式、欠席したルイ4世に代わって叔父に指輪を填めて貰うマリー
話は前後するが本作は、イタリア貴族の名門メディチ家の出身で、フランス王アンリ4世の二番目の妻にしてルイ13世の母マリー・ド・メディシス(1575-1642)の生涯を、折から建設中のリュクサンブール宮殿を飾るために王妃自らに依頼され、二年をかけて完成させたとされる。
♯6 マルセイユ上陸 ※
祝福されながらマルセイユに上陸、迎えるはフランスを象徴する王家の紋章の青いマントの人物
マリーの頭上で到着のラッパを吹くのは名声を擬人化している
♯7 リヨンでの会見 ※
リヨンでルイ4世と初の対面、この場面も鷲と孔雀が登場する
二頭のライオンが牽く凱旋車から見上げる人物はリヨンの町を象徴
♯8 ルイ13世の誕生
後のルイ13世の誕生、多産の擬人像が子供と花で満たされた籠を差し出す
マリー、太子出産の安堵も手伝ってか、やれやれと靴を脱いでややしどけない
♯9 摂政制度
ドイツとの戦争の準備、青地に金百合の珠を二人で手に、間にいるのは幼きルイ13世
尤も、マリーには政治的な功績や華々しい英雄的逸話もなく、ルーベンスは生涯を21枚もの連作に構成するのに苦労、♯4 〜 ♯7 のモティーフを結婚にしたとか。
なにはともあれ全作品をHPから拝借、三回に分けて、「えっ、三回も!」なんてことは言わずに、まずはそのヴォリュームを感じ取って貰えればと思う。 (この稿、続く。)
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1050
※ 「寄り道ルーヴル(2) ‐ レンブラント」へは、<コチラ>からも入れます。
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