17世紀のオランダ絵画黄金期に活躍した巨匠レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)。
女性を描いた彼の絵の中でも屈指とされる 「<水浴する女>」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵)で、巨匠が描こうとした女性とは一体誰なのか、誰を描こうとしたのか? までが前回。
それは、沐浴中に長老二人に覗き見をされ、関係を持つように言い寄られるものの拒絶。
そのため長老たちの逆恨みを買い、姦通の罪で死罪にするよう告発されるが、長老二人の虚を暴いた預言者ダニエルによって無実を実証されたユダヤ人ヨヤキムの妻スザンナ(旧約聖書/ダニエル書)であると。
また、バテシバの水浴姿を目撃、余りの美しさに自分の妻にすべく夫ウリヤを戦場の任務に就かせ戦死させ、その後、娶るものの神の怒りに触れ息子を次々と失うダビデ。
己の行いを悔いたダビデは、バテシバとの間に生まれた末の子ソロモンに王の座を譲ったとされている。
賢王ダビデに、生涯唯一の罪を犯させたバテシバ(旧約聖書/サムエル記)なのかとも言う。
さらには、ギリシャ神話に登場、狩猟中のアクタイオンに入浴中の姿を目撃されたために、その報いとしてアクタイオンを鹿の姿に変えてしまい、彼が連れていた猟犬に食い殺させる<女神ディアナ>であるとも。
なるほど、そう教えられれば 「水浴する女」(前号)、 画家特有の赤褐色の色調の中で輝きを帯びる女性の肌は、官能性よりも寧ろ神聖な雰囲気を携えていると見えなくもない?
ちなみに巨匠、「水浴する女」との関係性を指摘されるふたつの絵を描いている。
それは、彼に共通する特徴のひとつ紅色によるアクセントが際立つ 「長老たちに脅かされるスザンナ」(上/ベルリン国立美術館蔵)。
そして、水浴と王ダビデからの召喚状を受け取るふたつの場面を合成した 「バテシバ(バト・シェバ)」(下/ルーヴル美術館蔵)である。
ペトロ とカタリナ
、時期は異なるもののこの関連三作に対面。
巨匠特有の官能性や甘美性の漂う絵を前に 「なるほどねえ!」と、何時もながらの解(ほど)けた顔で頷くペトロに、誰かはとうとう 「・・・・・」匙を投げたかのようでした。(この稿、続く)。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.809
※ ロンドン・ナショナル・ギャラリーの旅(19)へは(コチラ)から入れます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます