「兵士たちの戦争・ルソン島 悲劇のゲリラ討伐作戦」~秋田県・歩兵第17連隊を観ました。65年前のことで生き証人は皆90歳近いので、生の声を聞けるのはもうないかもしれません。はたして観てよかったのか、観ない方がよかったのか疑問ですね。あまりにすごすぎて。
約3千人の将兵がルソン島に派遣されたのが昭和19年9月のことで、バナハオ山から下りて来たのが昭和20年9月下旬ですから、わずか1年のことですが700人もの生存者がいたというのは驚きでした。もちろん17連隊だけではないと思いますが。最初はどういう訳か歓迎されてたらしいのですが、軍票の乱発によって(住民に)餓死者が出てきたり、食物や家畜を奪われることにより「抗日ゲリラ部隊」」が生まれました。番組では懸賞金をもらう証拠として、小指や耳をそぎ落としたり、(日本軍に)ごちそうして酔わせてから殺して手足をもぎ、腸を出したりと生々しく語っていました。
ヤシの木の上から狙われたり、ゲリラと一般住民との区別がつかなく梃子摺ったため、ゲリラ粛清と称して集落討伐命令が下り、結果9万人以上の虐殺に至りました。一般住民に手を出したのは責められるべきことですが、一旦戦争となればいたちごっこの側面もあり、敵とて結構なことをやっているわけですよ。でもアメリカ軍相手の戦闘はほとんどしていないというのは、意外でした。
追い詰められた日本軍は「斬込み」と言って、背嚢に爆弾を入れて戦車に突撃する玉砕作戦もやっています。ほとんど効果はなかったそうですが。最終的にはバナハオ山に逃げることになり、食料がほとんどなくマラリアや餓えのため、飯盒で人肉らしきものを炊いているのを見たという証言も飛び出しました。人肉は白い泡が立つので分かるんだそうです。私が中学生の時に大岡昇平の「野火」を読んで、それらしきことは想像してましたけど。専門用語ではガニバリズムと言います。たしか戦争では里に下りて行くことが出来ず、塩分補給のためもあって食べたんじゃないかとも書いてありましたね。常食は野ねずみだったみたいです。
さらに、終戦後軍事法廷の「首実験」で、13階段の死刑台を上ることになった人も。「目は覆うために、耳は塞ぐためにあるんじゃない」って歌詞がありましたが、時にはそうせざるを得ないこともありますよ。
でも実体験した人のその強さたるや私など足元にも及びません。かなり昔、阿仁合線で人が列車に轢かれての人がブルブル震えながら警察が来るのを待っていたそうです。しかし戦地を経験した友人の父が内臓が飛び出したその御遺体を即座に抱きかかえ筵に包んだそうです。友人曰く「それを見てオヤジにはかなわないと思った」と。
私は20年ほど前に芸能人の自殺した直後の現場写真が掲載された雑誌みて、あまりの衝撃にいまだに思い出すとgkbrな小心者です。
寺島しのぶばかり目立っててなんですが映画「キャタピラー」を見たらいいだろうか?ってちょっと迷ってます。反戦映画というよりも介護地獄な内容で、最近まで渦中にいたワタシにはちょっとキツイかな~なんて思って。江戸川乱歩の「芋虫」も読んじゃったしorz
日常生活のおいては、死体を見るのも稀なのに、まして事故死や自殺死を見ることはほとんどありません。それゆえ、衝撃的でいつまでも脳裏から離れないんだと思います。
日本では、もう10年もすれば戦争体験者はほとんどいなくなりますので、そういう意味では映画として残しておくことは必要でしょう。キャタピラーって何だろうと思いましたが、戦争で四肢を失ったことからきてるんですね。かなりキツそうで、迷われてるのも分かります。