~風に吹かれて~ by ポー(paw)

-人の中に 人の創り出した物の中に 動植物の中に 地球や宇宙の中に 魂の琴線にふれ 愛を感じながら 生き込みたい-

阿弥陀堂だより(映画)

2007-05-30 09:09:55 | ・映画・本・絵


寺尾聡、樋口可南子主演のこの映画は2002年秋に公開されたようです。
28日、たまたまBSで見ました。

信州の山里の四季の移り変わりの中で、物語はたんたんと進んでいき
ます。しかし、その中に魂の琴線に触れる言葉が散りばめられていま
した。

ごく普通の山郷の四季を美しくあぶり出し、どう生きて、どう死んで
いくのか・・・。命に営みの流れを私たちが暮らしていく、ごくごく
普通の視点で捉えています。(花見百姓という言葉には笑えました)

その飾り気の無さと、透明感と慈愛に満ちた寺尾聡の演技が溶け込み
誰もが懐かしく感じ、忘れてかけていたものを蘇らせてくれるようで
す。

この映画で、90過ぎのおうめばあさんを演じるのは、北林谷栄さん。
亡父の葬儀に参列していただきました。(父は劇団関連の仕事をしていた)
彼女を目の当たりにした時、ものすごいオーラを感じましたね。
すう~っとした背筋から発せられる姿態は、異次元の世界を歩まれている
ような神々しさを感じさせていました。

96で旅立った義祖母のことも思い出しました。いつも岡崎の山里から
ナンマイダー、ナンマイダーと子供たちを案じ唱えていましたね。

さて、この映画の中で久しぶりに
宮沢賢治の’アメニモマケズ’を聞きました。
以前、このブログでも投稿しましたが、
2004.10.22の投稿
その頃とは、また違った感銘を受けましたね。
その頃にも、おそらく魂の琴線に触れて投稿したのでしょうが、
今となっては、重みが違います。あれから一年半、自分自身も
随分と変わったことに気づかされたのでした。
彼は、まさに到達していた一人だったのですね。
今一度、’アメニモマケズ’を記しておきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
37歳で亡くなった宮沢賢治が亡くなる二年くらい前に
手帳に書き残した
’アメニモマケズ’1931.11.3

雨にも負けず
風にも負けず

雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫な身体をもち

欲はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている

一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ

あらゆることを
自分を勘定に入れずに

よく見聞きしわかり
そして忘れず

野原の松の林の陰の
小さな萱ぶきの小屋にいて

東に病気の子どもあれば
行って看病してやり

西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い

南に死にそうな人あれば
行って怖がらなくてもいいと言い

北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろと言い

日照りのときは涙をながし
寒さの夏はオロオロ歩き

みんなにデクノボーと呼ばれ
ほめられもせず
苦にもされず

そういう者に
私はなりたい