おじたん。的ぶろぐ生活。

おじたん。である。語るんである。

ミュンヘン。

2006-02-26 00:36:22 | 我思う、故に書くなりよ。
観たいねぇ…これ。

私の記憶に残っている一番古いオリンピックがミュンヘンだと思うが、競技とか…選手とか…ってモノじゃない。小学生ながらにテレビに何が映っているかは判っているんだが、オリンピックとは全く関係ない「焼け爛れて形がかろうじて判るヘリコプター」しか記憶に残っていないのである。

1972年9月。オリンピック中のイスラエル選手団をパレスチナ・ゲリラが襲い、人質に取って立て篭もる事件が起きてしまいます。当然、オリンピック中断。犯人側と交渉の末、半ば要求を呑む形で事態の解決を図りますが、西ドイツ政府は人質奪還作戦を強行。挙句の果てに、大失敗。人質全員死亡。イスラエル大激怒。記憶に残る映像は、舌を噛みそうな名前の空軍基地でのものだったんである。

で、映画は「その後…」を主題にしている。前置きの部分なら映画にもなりそうだが、「その後…」は映画にどうやってするのか不思議な部分なのだ。と言うのも、政治的にかなりヤバイ、超1級のアンダーグラウンドな部分なのだ。

「国家としてのテロへの報復」「対外工作機関による暗殺」どれもが「フツー」なワケ無いし、公にならない話なのだが、公になった部分が30年経ってやっと映画化されたのかと言えば、半分はやはりフィクション…って感じだと言う。まぁ、当たり前なんだけど、触れちゃイケナイ物に触れる…ってのも悪く無いし、映像化も良くやった…と思う。

まぁ、都合11人の選手やらコーチを皆殺しにされたイスラエルは大激怒だったのだが、当初はそこまでの計画はまだ無かったとされる。直前に、せっかく捕まえたこのテロリストの一部(大体は作戦失敗時に射殺されている)をハイジャックと引き換えに釈放されてしまうコトがあって、ブチ切れちゃった。

でまぁ、時の首相ゴルダ・メイア女史が自国の誇る諜報機関「モサド」に対処を相談するのだが、そもそもは逮捕の上で裁判にかける…と言うものだった。ところが、相手が相手だし、他国でそれを行うのはかなり難しいコトから、より簡単で効果的な「暗殺」になったそうな。もちろん、イスラエルがやってる…なんてコトがバレたらたまったもんじゃ無いので、極秘だし、しらんぷりを決め込む…のだけど。

で、失った11人と同じ数のパレスチナ・ゲリラを暗殺し、報復を完了させるのだが、
本当にそんなコトをイスラエルがやっている…ってのがバレてしまう。ノルウェーでの作戦が失敗し、工作員が警察に捕まってしまうのだ。おまけに、暗殺したのが「人違い」だったから、世界からボコボコにされちゃう。当たり前だけどね…。

当時はハイテクなんてものは無く、テロリストを探すのも大変な苦労なのだが、ヨソの国で勝手に探し回って、見付けて、暗殺…なんてのはなかなか出来ないし、そもそもやっちゃイケナイ。自国だって、周りの国からいつ攻め込まれるか全く判らない状況が続いていて、実際に戦争が頻繁に起きていた時代。それを成し得たのは「モサド」の組織の優秀さ以外に考えられないのだが、現代の水準で言えば「人海戦術」に近いもの。国を守るのに欠かせないのがまず第一に「情報」だと言うコト、またそれで実際に守ったり、守れなかったりの経験が生かされている国家がイスラエルでもあるのですな。

ゴルダ・メイア女史も、この事件の数年後に政界を去らねばいけなくなった。モサドのもたらした情報を有用に活用出来ず、攻め込まれて戦争状態になってしまったからだ。皮肉とは言え、報復とは違った結果を招いてしまったのは残念だけどねぇ…。

今、世界はやっぱり、テロと戦っている。自動小銃の乱射や、爆弾なんてのが主流だった昔と比べたら、そんなのは基礎になってしまい、乗客満載の旅客機が巡航ミサイルの代わりに使われる様になってしまった。だが、イスラエルのテロに対する姿勢は全く変わっていない。些細なコトでもテロに対しては「キッチリと…」報復し続ける。「報復の連鎖」と言われ、それはこれからも続くと思うが、その裏に何があったかを知るにも、これからを読むにも観ておいて損は無い映画だと思う。

この事件を機に、いわゆる「特殊部隊」が生まれたってコトの意味は大きいです。ドイツはナチス・ドイツの再興を連想させる、こうした部隊の創設はなかなか踏み切れなかったものでしたけど「GSG-9」と言う部隊を国境警備隊の位置づけで作り上げ、世界のお手本となるモノを完成させたのです。対テロと言うカテゴリーもそれまでに無かったモノだし、何よりも人質奪還を優先させる姿勢と、それに見合う装備の開発と配備はこの事件の大失敗が無かったら、より遅れたモノとなっていたハズです。

この映画の公開に合わせてかどうか知らないけど、ノンフィクションでこの部分を語るドキュメンタリーが「CBSドキュメント」でやってました。あまり多くの新しいコトは無かったのですが、当時、実際に作戦指揮にあたったモサド関係者が語っていたのは興味深かったと思います。出て来ないからねぇ、フツーは…。


Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 党首討論。 | TOP | がんばれ。 »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。