ホルモン屋徒然草~珍しホルブロだ

新米ホルモン屋の親爺の日々。ホルモンのこと、店の出来事、周辺の自然や話題。

荒地の恋

2013-03-27 11:58:03 | 第1紀 読書・JAZZ
3月27日(水)。

前夜遅く祝杯をあげるはずのテレビ観戦が、なぜかテーブル中、おまけに通勤カバンまで泡を浴びることになったのは思わぬ苦戦から手元が狂ったからか。

パジャマも濡れたので早起きし洗濯ついでに朝風呂に浸かることとなった。

いつもは朝起きてすぐ事務仕事に入るのだが、アトピー患者は風呂上がりの休息が大事と蒲団に横になり、昨日、喫茶店であと十数ページを残してきた本を読み終えることとした。

五十三歳で親友の妻と恋に落ちた詩人を描いた、その詩のような物語。
詩人は北村太郎、親友は田村隆一、「荒地派」の詩人たち。
物語は昭和の終期から平成のはじめ、そう昔の話ではない。
そして北村が五十三歳から多発性骨髄腫を患い腎不全でなくなる六十九歳までの恋の物語であり、同時に彼を取り巻く男や女達の物語でもある。
海難事故で亡くした最初の妻と同名の友人の妻と恋に落ち、家族と別れ離婚し、大新聞社の校閲部長という肩書を棄て、恋人に惑わされながら行ったり来たりし、新しい恋に焦がれ小舟のように揺られる彼の姿が「ねじめ正一」によって描かれている。

7年前の初版本だから、買って本棚に置かれたままだったのだろう。
もっとも相方に言わせるとアナタの本棚には読まない本の方が多いそうだから、何かの思いつきで手にとるにふさわしい「歳」をとったのだろう。

純情商店街など何冊かの本は手にしたが、どうもねじめさんは気を張りつめないと底が読み通せないので難しい。
軽やかさの中に含む鋭い視線を読み逃すのはもったいないのだ。

だからこの数年ぶりの本はここ二三日に集中して読むことにしたのだ。
いや、手をつけたら放せなかったというのが本当のところだろう。

少しあっと言う結末もあるのだが、北村・田村、男達・女達それぞれの生き方や恋の物語が凄まじくせまってくる。
危険な香りもあり、詩人達のシャイな生き方もあり、女のしたたかさもあり、家族のつながりもあり、そしてその主人公の年齢が今の自分と重なることで刺激的というよりも言葉を選ばねば「辛辣」という感じで読み終えた。

若い方は今買っておいて数十年後に読むことをお薦めする。
年を経ないとわからぬ事もあるので、これはいたしかたない。
四十を過ぎた方にはお薦めする。
恋とか愛とか関係ないワタシのような方にもお薦めする。

今は文庫本もでているようで、



Amazonさんは、このページである。
  http://www.amazon.co.jp/%E8%8D%92%E5%9C%B0%E3%81%AE%E6%81%8B-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%81%AD%E3%81%98%E3%82%81-%E6%AD%A3%E4%B8%80/dp/4167559048

いまどきの書店では売れない本はすぐ棚から外すから通販の方が確実だろう。

話は飛ぶが一昨日、某、大通店の本屋に入るなりすぐ踵を返した。
なんと月末の月刊誌発売集中デーなのか、一年程前にかわった売らんかな店長の手で、通路は歩くこともできないほど段積みの突き出しで一杯。
これでは立ち読みはダメよ、ワタシのオススメを買いなさいってものだ。
本屋の文化なんて今の時代では期待しない方がいいのかもしれない。
立ち読みをしているとレジの方から睨まれているようなきもして、もうなかなかゆっくりと入れない。
そんな悲しさを覚える。
(といいながら週に数日は通うのだが)


さて、いつものように話はずれた。

次はどの「古本」に手を出そうかと書斎をいじくりまわしたいが、先週(夜の臨時営業)も今週(松園店ランチ従事)も次もその次も(グルージャ公式戦はじまります)、たぶん連休明け(催事シーズン)まで公休日の日曜日にゆったり自宅にいることはかなわないので、さてどうしようかと頭を傾げる春の日。

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