政府与党から日銀総裁として新たに提示された田波氏について,参議院はこれを否決しました。これにより,20日から日銀総裁は不在となる異例の事態となりました。
日銀総裁、戦後初の空席確定 田波氏案を参院否決(朝日新聞) - goo ニュース
人事は政争の具ではない
今回のこの騒動,誰が悪いのでしょうか。
まず,与党としては,「今までの慣例」をベースにして財務省OBに固執してしまった点に大きな問題があったといえます。すなわち,「考えなしの人事」です。
一方,野党側としては,「なぜだめなのか」と「どういう人材が良いと思うのか」という点をほとんど提示することなく,「とにかく財務省OBじゃダメなのだ」という対応しかとっていません。これでは「何を求めているのか」が分からず,与党も適正な人材を探すことが難しくなります。
すなわち,今回の問題は,「与野党ともに考えなし」という点にあるといえます。
とはいえ,人事案件とはそもそも「その人が国のために働けるのか」という点で承認するか否かを決めるべきであり,単なる政争の具にするべき案件ではありません。
そういう点からすると,今回のこの騒動,政争の具としている野党民主党の方が分が悪いように思えます。もちろん,民主党が「この人はこういう理由で不適任である」とはっきりした理由があれば話しは別ですし,むしろ適切な権限行使であるといえますが,冒頭記載のとおり,その理由がほとんど説明されていないため,少なくとも政争の具としてしか映りません。
ところで,今回の騒動を受けて,政府与党は「人事案件について衆議院の優越を認める」という法改正を検討し始めたようです。
しかし,本当に衆議院の優越を認めてよいでしょうか。
確かに,人事不在というのは,社会的混乱を招きかねないため,とにかく決めるという意味で衆議院の優越は必要ともいえるかもしれません。
しかし,政府の人事案件については,「極力中立な人」を選ぶ必要があり,かつ国会の承認が必要な趣旨は「国民全体から承認を受けるべき人材を選ぶべきである」という点にあり,いわば「間接的な国民審査」を受けているといえるのです。
であるとすれば,衆議院の優越を認めることは,政党の中立性を確保できない点や,間接的な国民審査が十分全うできないという可能性が考えられます。
さらに,内閣総理大臣の指名には衆議院の優越がありますが,これは総理には「衆議院の解散」という武器があるために,ここで対等関係が成立しているという事情があるところ,人事案件についてはこのような武器がありません。
であるとすれば,やはり衆参同格とするほうが良いのではないでしょうか。
いずれにせよ,今回の騒動でわかったこと,それは「人事案件も国民不在」ということです。与野党とも,国民生活に混乱を与えてはいけないという大前提を失念しているようでなりません。
もちろん,「その人が本当に適任か」を真剣に議論をした結果,見解の一致が見られず不在になるというのであれば,まだ納得もできるのですが,そういう点が見えない上での不在というのは,考えなさすぎに思えてなりません。
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一方,野党側としては,「なぜだめなのか」と「どういう人材が良いと思うのか」という点をほとんど提示することなく,「とにかく財務省OBじゃダメなのだ」という対応しかとっていません。これでは「何を求めているのか」が分からず,与党も適正な人材を探すことが難しくなります。
すなわち,今回の問題は,「与野党ともに考えなし」という点にあるといえます。
とはいえ,人事案件とはそもそも「その人が国のために働けるのか」という点で承認するか否かを決めるべきであり,単なる政争の具にするべき案件ではありません。
そういう点からすると,今回のこの騒動,政争の具としている野党民主党の方が分が悪いように思えます。もちろん,民主党が「この人はこういう理由で不適任である」とはっきりした理由があれば話しは別ですし,むしろ適切な権限行使であるといえますが,冒頭記載のとおり,その理由がほとんど説明されていないため,少なくとも政争の具としてしか映りません。
ところで,今回の騒動を受けて,政府与党は「人事案件について衆議院の優越を認める」という法改正を検討し始めたようです。
しかし,本当に衆議院の優越を認めてよいでしょうか。
確かに,人事不在というのは,社会的混乱を招きかねないため,とにかく決めるという意味で衆議院の優越は必要ともいえるかもしれません。
しかし,政府の人事案件については,「極力中立な人」を選ぶ必要があり,かつ国会の承認が必要な趣旨は「国民全体から承認を受けるべき人材を選ぶべきである」という点にあり,いわば「間接的な国民審査」を受けているといえるのです。
であるとすれば,衆議院の優越を認めることは,政党の中立性を確保できない点や,間接的な国民審査が十分全うできないという可能性が考えられます。
さらに,内閣総理大臣の指名には衆議院の優越がありますが,これは総理には「衆議院の解散」という武器があるために,ここで対等関係が成立しているという事情があるところ,人事案件についてはこのような武器がありません。
であるとすれば,やはり衆参同格とするほうが良いのではないでしょうか。
いずれにせよ,今回の騒動でわかったこと,それは「人事案件も国民不在」ということです。与野党とも,国民生活に混乱を与えてはいけないという大前提を失念しているようでなりません。
もちろん,「その人が本当に適任か」を真剣に議論をした結果,見解の一致が見られず不在になるというのであれば,まだ納得もできるのですが,そういう点が見えない上での不在というのは,考えなさすぎに思えてなりません。
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