あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

国会の懲罰は平等に行われると思っていませんか?

2006年03月05日 22時29分15秒 | 政治
偽造メール問題で,民主党永田議員に対する懲罰動議が可決し,今後懲罰委員会による審議が進められます。
そして,懲罰では,最高で「除名」もありますが,今のところ「登院停止30日」になるのではないかというのが政治記者筋の味方と報じられています。

果たして正当な懲罰が科せられるでしょうか?

別に民主党や永田議員を擁護するつもりは毛頭ありません。今回の非は民主党や永田議員にあることはいうまでもありません。
ところで,なぜ自民党が声高に「懲罰だ」「除名だ」と叫んでいたのでしょうか。マスコミ的には,「永田議員や民主党の失態に対する制裁を加えるためには当然」的な理由で懲罰になったような報じ方をしています。また,多くの有権者も「懲罰当然」的な態度で見ています。
もちろん,それは理由の一つといえるでしょう。
しかし,懲罰動議を声高にできる事情について,もう少し突っ込んでみる必要があります。

簡単にいえば,懲罰動議が声高に言える理由は次の2点です。
1 与党の失態に対する懲罰事例は,過去ほとんどないこと(言い方を変えると,懲罰は野党に科せられるものといってよい。)
2 除名にする要件は,「出席議員の3分の2以上の賛成」であること。

1については,与党で懲罰になったのは,旧保守党の松浪健四郎議員があの永田議員の野次にきれて壇上から水をまいた時くらいでしょうか。ハマコー氏は,懲罰動議自体は無数に受けていますが,いずれも懲罰委員会に付されませんでした。
なぜでしょうか。理由は簡単です。「懲罰動議には40人以上(衆議院の場合)の請求者が必要であること」と「過半数で懲罰委員会に回すかどうか決める」からです。
当然,野党で自民党議員に対して懲罰動議の議案を出せるのは現在は民主党しかありません。しかし,過半数持っていないため,当然否決されます。
一方,自民党は単独で3分の2以上の議席を持っています。したがって,当然動議を可決できます。
もちろん,懲罰委員会も議席数に比例していますので,結論は「与党の意見」で懲罰は成立するわけです。
こんな懲罰制度で与党議員が懲罰になるはずはありません。

2については,1951年以降除名はないと報じています。当然です。単独で3分の2以上の議席を有していないからです。
しかし,今の国会では,前述のとおり,3分の2以上の議席を有しています。したがって,今までできなかった「除名」もやりたい放題になるわけです。

民主党はもちろん国会のルール,掟を知っています。だから,懲罰動議に対し,ことが大きくならないように小さくなっているしか手法はありません。社民党,共産党は,火の粉が降りかからないように見て見ぬふりをするのがベストな方法なのです。
さらに,こんな状況の中で,あえて永田議員の処遇が除名でなく登院停止となった場合,これは「ものすごい温情」になるわけです。
すると,民主党としては,完全に自民党にイニシアティブを取られたことになるわけです。

「間違えを犯したから懲罰は当然」という世論は,もちろん正しいです。ただし,「懲罰になる間違えを与党がした場合は,別に除名にも何にもならない」ということは,以外と有権者の人は知らないのではないでしょうか。
正しい世論を形成するならば,国会のおける懲罰のルール(もちろん,憲法や国会法に規定されているものです)をちゃんと報じた上で,「国会での懲罰の可否」や「懲罰のレベル」について論じていくべきなのではないでしょうか。

もっとも,そんなことよりも,参議院での予算委員会,各党議員とも真剣に取り組んでほしいものです。

よろしければ1クリックお願いしますm(__)m人気blogランキングへ


TB先一覧
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1753775/detail