わたしの父の母の名は「いち」。「おいったんばあちゃん」と呼ばれていた。
長男のわたしはこのお婆ちゃんに可愛がられた。お婆ちゃん子だった。
寝るときもおばあちゃんの布団で寝た。
(わたしの4歳下の弟がお母さんのおっぱいを独り占めして育った)
おいったんばあちゃんは88歳で亡くなった。老耄していた。最後のころは、「ご飯を食べてない食べさせて貰っていない」が口癖だった。母が最後まで看病看護した。
毎晩、おばあちゃんを背負って母が、集落が共同で使う「モヤイ風呂」まで連れて行った。
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今日、老いたわたしの手の甲の浮き出た血管をみていて、ふっとこのおいちお婆さんを思い出してしまった。(年を取ったおばあちゃんんの手の甲の血管も大きく膨れていた)
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お婆ちゃんの名を呼べば、そこでわたしは幼い頃に戻ることが出来る。擦り寄って行って、べたべたして、甘えてみようか。