快楽安穏。けらくあんのん。心地よくて楽しげで安らいで穏やかにしている。
仏国土に暮らしている人は常に快楽安穏である。と、経典にある。
仏国土快楽と仏国土安穏。
われわれの娑婆苦界忍土にはそれがない。娑婆快楽と忍土安穏。
だから偽物、紛(まが)い物である。
で、すぐに壊れてしまう。揺らいでしまう。変色変貌する。腐ってしまう。
いやいや、それでいいのである。
ほんものは仏国土に往ってから味わえる。それまでは偽物紛い物に甘んじておく。
ほんもののそれを、思い浮かべて、死ぬるまで楽しみにしているのもいいではないか。