所有すればそれだけそれが、心配の種になる。心配を所有したようではないか。失いはしないかと気を揉むことになる。
所有を減らせば減らしたで、また不安になる。不安を解消しようとして所有を拡大すれば、不安定になる。
どちらにしろ、愚かなことだ。
物でも、物でなくとも。いただく愛情でも。見えない信頼でも。
９月。薩摩芋が畑に元気に育っています。
10月になれば掘り上げます。
猪が侵入して来ないように、友人が柵をこしらえてくれました。
今のところ防げています。
猪は青い色のテープが嫌いらしいよ。
種を蒔いた大根が発芽しています。青々としています。
われ生まれたり、嬉しいなあ嬉しいなあと、青空に向かって叫んでいます。
もう少ししたら間引きができます。大根の葉っぱの一夜漬けがおいしく食べられるでしょう。
気温３０・６℃。まもなく午後４時になるところ。まだ暑そう。どうしようか、畑に出て行こうか、もう少し待とうか。ひざしがまだ強そう。
いまは冷房の部屋の中で好きな音楽を聴いている。半袖シャツ一枚で。リラックスして。
窓から空が見える。空の雲のことにまるで知識がないが、ちぎれ雲をして広がっている。秋らしくなってきた。
家の東側なら、影を作っているだろう。ここにも小さな細い畑がある。庭もある。影に入れば、それほど暑くはないだろう。草はどこにも繁茂している。
外気温が３０・８℃。日照りが強くなっている。
友人がふらりとやって来た。上がってもらってあれこれお喋りをした。９０分のお喋りタイムだった。お喋りが苦手な僕なのに。
家内が外出している。お菓子が何処にあるやら分からない。で、お茶だけを出すしかなかった。
外出から帰ってきた家内が、ああら、羊羹があったのに、それを切って差し上げたらよかったのに、と言った。何が何処にあるのか、日頃気をつけていないと、分からない。
昨日、寝がけに、不動尊秘密陀羅尼経を音読しました。
難しい経典だから、兎に角僕は無理解のままに、ただ音読を重ねているだけ。
それでもそれでいいらしくて、僕はちょくちょくこの経典に走り込んできます。
そして音読をしているうちに機嫌が直ります。いい気持ちになります。ぽわんぽわんになります。
ですからこの不動尊秘密陀羅尼経は、僕のぽわんぽわん経典です。
何が書かれているか。それは秘密になっています。陀羅尼はダーラニーの音訳語です。真言の呪文です。仏陀の言語で書かれています。真如世界のことが書かれています。
僕は仏陀ではないので理解ができるわけがありません。だから１００％ぽわんぽわんでいいのです。
不動尊は不動明王のことです。
☆
のうまくさあまんだ／ばざらだん／たらた／あぼきゃ／せんだまかろしゃだ／そわたや／さらばびきんなん／ままそわしゃち／せんち／しばんめい／あさらたう／くろたら／まや／たらまや／うんたらたかんまん
これは最後の段の陀羅尼です。僕は独特のメロデイーを付けて歌うようにして朗読します。
よくまあ、この年齢まで生きて来られたものよ。
まったくの無才無能無力なのに。まるっきり何処にも秀でたところがないのに。
☆
だから、とても心配してきた。この先どうやって生きていけるのだろう、と心配した。
それが、どうしたわけか、生きて来られた。不思議としか言い様がない。きっとたくさんの助けが入ったんだ、と思う。
助けられて助けられてた助けられてきた。
☆
でも、どうして僕はそんなに助けられたんだろう？ この疑問に僕はまるっきり答えきれないでいる。
僕は誰かに全身を愛情という毛布でふんわり包んでもらって、ハグされているようだ。僕の無能を補って補ってくれている。
誰だか分からないが、とにかく愛情をいっぱいもらっている。それで息を繋いでいる。そうとしか考えられない。
☆
僕は生きている。７６年間も生き続けている。無力のままに。無能のままに。無才のままに。
そんなことがあり得るのだろうか？
☆
体も丈夫な方じゃない。いったいどれだけの病気をしてきただろう。運動能力もまるでない。筋肉もついていない。胸板も薄い。シワシワして痩せっぽをしている。全身に毛がない髪がない。人に役立つことは何一つしていない。
それでも生き長らえている。
☆
あり得ないことがあり得ている。僕の身に、あり得ないことがあり得ていて、今日を生きている。
誰にどうやってお礼を述べたらいいのだろう。
５時になった。NHKのBS放送で、音楽を聴いている。バイオリンとチェロの二重奏曲が流れてきている。クリエールの「作品３９」。うっとりして聴いている。
僕の得意技は「うっとりして聴く」こと。うっとりにはなんにも要らない。耳がひとりでよろこんでいる。
音楽？ 僕は音楽のなんたるかも知らない。それでよくうっとりなれるなあと、僕が僕に感心している。僕は音符すら読めないのだ。
よろよろよろよろしているのに、まあまあ、このお爺さんはよく畑に出て行くことよ。杖にすがってしか歩けないのに、畑がウインクして来る。ラブコールを掛けて来る。それでついついふらりふらりと誘われて出る。
（これだけ女性にもてたらどんなにいいだろうなあ。これだけよろよろよぼよぼしてては、そういうことは１００％不可能）
ま、畑でもいいか。誘ってくれるのだ。有り難く思ってないとね。
丸い小さい椅子に座ってこれを動かしながらの手作業。足は麻痺しているから使えない。もっぱら手作業。右手が大活躍を買って出てくれる。
たいした労働量にはならないが、それでも根気よく土仕事を続ける。おかげで秋野菜の種蒔きが７割方は済んだ。
畑に出ればこの老人は俄然元気になる。秋の空が広がっている。秋風が吹き渡る。
老人が若返る。３０歳は若くなる。気分が元気になる。溌剌となる。無心になれる。爽やかになれる。いいことだらけだ。
今日は２時起床。もう十分寝た。起きて来てパソコンを開いた。
ブログには書けないことを、メモリーステイックの中の「我が思い」のページに書いて過ごした。己との対話の時間だ。
いま４時半を過ぎた。もう一度寝てもいいなあ。このまま起きていてもいいなあ。
☆
夜が明けたら畑に出てみようか。西瓜畑だった西の畑は草が茫々繁茂している。草を抜く作業から始めねばならない。
今日は天気予報では晴れ。昼間は３０℃を超えてくるらしい。そうなれば、暑くて、この高齢者は仕事はできない。
この老人は至って怠け者。夕方まではぶらぶらぶらして過ごすのかも知れない。
