2021年9月12日。日曜日。この日はまだこの男は生きていた。鼻から息を吸っていた。吸って吐いて吐いて吸っていた。そう、死んではいなかったのだ。
この男は5時に目を覚ました。障子戸の向こうが明るくなるのを待って、外に出た。秋野菜が発芽している畑を見て回った。日が東の空を明るくしていた。
この日この男が生きていたという事実を証明することができるのが、では、あるか。ある。このブログだ。中身の優劣を問わなければ、翻って遡って確かめることはできる。
いつも隣り合わせだ。死は生の隣り合わせだ。風にひらひら揺れている紅葉の葉っぱの、裏と表だ。一枚セットだ。土に落ちてもやはり生死一枚は変わらない。
朝方8時の気温は23・9℃。天気予報を見ると9時からは小雨が降るようになっている。8時はまだ降っていない。空が微かにその兆しを帯びている。庭の片隅では、蜘蛛がしきりに蜘蛛の巣を張っている。
この男は死の中で生を拾って生きている。死の中から生を覗いていると、あれもこれもがまぶしい。輝いている。蜘蛛の巣が光に助けているのさえもが美しく神秘的に見えてしかたがない。