虚業

　本当の意味での必需品を生産している産業は少ない。食料、エネルギー、工業製品の一部、などだろう。
世の中に、なくったってそんなに困らない、そんな職業はたくさんある。塾なんて、その最たるものかもしれない。実際、生まれそだった田舎にはなかった。あの時代は都会にだってそんなに数はなかった。

　なくてもよい仕事だからこそ、頑張らなければならない。なくても何とかなるが、あったほうがずっといい、と思ってもらえなかったら、たちどころに消滅してしまう。実際そうなった例がたくさんある。

　そして、いつか世の中から、「なくてはならないもの」と認められることを目標としていかなければならない。虚業、という言葉がある。作り出すものが形あるものでなくても、皆が切実に求めるものを提供できれば虚ではなくなる。虚を実に変える不断の努力が必要である。